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血管外科

2019年7月12日更新

ご挨拶

血管外科とは全身の血管の病気を診る診療科です。外科ですから主に手術治療を行いますが、薬による内科的治療も行います。昔から日本では心臓血管外科という標榜科が多くあるのですが、心臓血管外科が心臓の治療に重きを置く傾向にあるのに対し、私たちは血管病の治療に特化した診療科です。日本で血管外科があるのは、東大、名古屋大、旭川医大、慈恵医大などに限られまだ多くはないのですが、欧米では血管の病気は血管外科が診療することが一般的です。

血管はおおざっぱに動脈と静脈に分けられます。また動脈の病気は拡張する疾患(動脈瘤)と詰まる疾患に大別されますが、いずれに対する治療も近年大きな進化を遂げています。

大動脈瘤は放置すると時に死に至る病気ですが、従来その手術は大手術であると考えられていました。しかし、最近は足の付け根の小さな傷から動脈の中にステントグラフトといわれる人工血管を挿入して動脈瘤を治療する方法が開発され、患者さんへの体力的負担を大幅に軽減できるようになりました。すべての患者さんにこの治療を行うというわけではないのですが、一人一人の患者さんに合った方法を提案します。

近年動脈硬化症の患者さんが増えています。これは、人口の高齢化が主因と考えられますが、動脈硬化を促進する糖尿病の増加も大きな要因となっています。糖尿病の方の血管病変はより細い血管に及び重症化する傾向にあり、治療も難しくなるのですが、私たちはこの分野においては我が国をリードする立場にあると自負しております。

静脈の病気で一番多いのは、足の血管が瘤状に腫れてくる静脈瘤です。これに対しても、近年は血管内治療(レーザー治療やラジオ波焼灼術)が行われるようになっております。私たちはラジオ波(電磁波)を使った治療が優れていると考え、これを採用しております。これも患者さんにより適応が異なりますので、個々の事情に応じて説明させていただきます。

当科の診療について

以下のような血管病を幅広く診療し、手術を中心として患者さんに最適な治療を提供しています。

動脈瘤:
好発部位はおなかの大動脈で、臍の辺りにドッキンドッキンと脈をふれる以外に痛みなどの症状はありません。超音波やCT検査でわりと簡単に見つかりますが、怖いのはこれがある日突然破裂することで、アインシュタインや司馬遼太郎さんもこの病気で亡くなりました。動脈瘤は破裂してからでは助かりにくく、病院に着く前に手遅れとなってしまう方が多くいます。
大きな動脈瘤ほど破裂しやすいので、小さなものでは手術をせずに定期的に検査をするだけのこともあります。
心配な方は、まずかかりつけのお医者さんに相談してください。
私達は、高齢者や心臓や呼吸などの機能が低下している人(ハイリスクの人)に対しても、血管内カテーテルで動脈瘤を治療するステントグラフト内挿術を導入しており、従来からの開腹手術と合わせて患者さんひとりひとりに応じた治療を行っております。
慢性動脈閉塞症:
動脈硬化のために、徐々に動脈が詰まる病気です。特に糖尿病やたばこが病状を進行させます。好発部位は足に行く動脈で、歩くとお尻やふくらはぎが痛む症状が起こります。痛みは歩くのをやめるとすぐに治まるので、病院で検査を受けない人もいます。しかし、病気が進むにつれて、じっとしていても足が痛くなったり、足に潰瘍や壊疽ができたりします。最近は、歩く時に痛みがなくても、いきなり足に潰瘍などができる人も多くなってきました。禁煙や薬の治療を続けても症状が改善しない場合には、バイパス手術や血管内カテーテル手術を行って血流を回復します。
下肢静脈瘤:
足の静脈がごろごろと腫れる、大変多い病気です。治療が必要でないことも多いのですが、足が重い、だるい、痛むなどの症状がある場合は治療を受けた方がよいでしょう。場合によっては、足首の周りに潰瘍ができて治りにくい状況になっている人もいます。この場合は手術などの治療が必要となります。足首の周りが痒かったり、茶色に変色している場合はその前触れである可能性があり、注意が必要です。私達は、弾性ストッキングによる圧迫治療のほか、原因となっている静脈を除去したり(ストリッピング手術)、カテーテルで焼いたり(血管内焼灼術)する手術を短期入院で行っています。

対象疾患

  • 腹部大動脈瘤
  • 胸部大動脈瘤(ステントグラフト治療)
  • 下肢閉塞性動脈硬化症
  • 大動脈腸骨動脈閉塞症
  • 急性動脈閉塞症
  • バージャー病
  • 内臓動脈瘤
  • 下肢静脈瘤
  • 透析シャント不全
  • 深部静脈血栓症
 

対象となる症状

大動脈瘤の症状:
症状がないことが多い。
下肢閉塞性動脈硬化症の症状:
間歇性跛行(歩くときにふくらはぎや太ももの痛みが生じて休憩すると治る),足の潰瘍・壊疽。
大動脈腸骨動脈閉塞症の症状:
間歇性跛行,性機能障害。
急性動脈閉塞症の症状:
突然の手足の冷たい感じ,痛み,蒼白。
下肢静脈瘤の症状:
足のだるさ,つり,痛み,痒み。
深部静脈血栓症の症状:
片足の突然の腫れと痛み。
 

診療実績

2017年 手術
疾患名症例数
腹部大動脈瘤70
胸部大動脈瘤9
閉塞性動脈硬化症(大動脈腸骨動脈閉塞症を含む)145
下肢静脈瘤68
バスキュラーアクセス80
その他34
396

診療スタッフ

氏名 資格 職位 専門分野 認定資格
佐藤 紀
(さとう おさむ)
血管外科スタッフ001
教授 診療科長 血管外科全般 日本外科学会指導医・専門医・認定医
日本心臓血管外科専門医
心臓血管外科修練指導医(施設責任者)
脈管専門医
下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医
出口 順夫
(でぐち じゅんお)
血管外科スタッフ002
教授 診療副科長
外来医長
病棟医長
血管外科全般 日本外科学会指導医・専門医・認定医
日本心臓血管外科専門医
心臓血管外科修練指導医
脈管専門医
ステントグラフト指導医(腹部)
橋本 拓弥
(はしもと たくや)
血管外科スタッフ003
講師 医局長 血管外科全般 日本外科学会専門医
日本心臓血管外科専門医
脈管専門医
ステントグラフト指導医(胸部,腹部)
血管内治療医
山本 諭
(やまもと さとし)
血管外科スタッフ004
助教 血管外科全般 日本外科学会専門医
日本心臓血管外科専門医
脈管専門医
下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医
須原 正光
(すはら まさみつ)
血管外科スタッフ005
助教 血管外科全般 日本外科学会専門医
脈管専門医
下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医

外来担当医表

血管外科
  月曜日
Monday
火曜日
Tuesday
水曜日
Wednesday
木曜日
Thursday
金曜日
Friday
土曜日
Saturday
午前
6
出口 順夫
(Deguchi Jyuno)

佐藤 紀
(Sato Osamu)
橋本 拓弥
(Hashimoto Takuya)

山本 諭
(Yamamoto Satoshi)
4





初診
交替制
午後
6
出口 順夫
(Deguchi Jyuno)

佐藤 紀
(Sato Osamu)
橋本 拓弥
(Hashimoto Takuya)

山本 諭
(Yamamoto Satoshi)

医療機関の方へ

埼玉医大総合医療センター血管外科は、末梢血管を専門とする診療科です。現在医師5人、臨床検査技師2人が在籍しており、大動脈、末梢動脈、静脈、リンパ系疾患を対象疾患として、手術のみならず診断・検査も行っております。手術については、従来のopenの手術と血管内治療をバランス良く選択し、時には両者を組み合わせることで(hybrid治療)、ひとりひとりの患者さんに最も適した治療を柔軟に提供すべく日々努めております。

大動脈瘤のステントグラフト治療においては、胸部指導医1人、腹部指導医2人の体制で行なっており、当然のことながら血管内治療で最も重要とも言える術後のフォローアップにも力を入れております。

動脈閉塞性疾患の症例も多くご紹介いただいており、特に重症虚血肢治療においては、術前よりフットケアチーム(専門の看護師、形成外科、皮膚科、糖尿病・代謝内分泌内科、血管外科)で協力して集学的アプローチで診療にあたり、術後の日常生活への復帰をアシストします。

動脈閉塞性疾患の症例も多くご紹介いただいており、特に重症虚血肢治療においては、術前よりフットケアチーム(専門の看護師、形成外科、皮膚科、糖尿病・代謝内分泌内科、血管外科)で協力して集学的アプローチで診療にあたり、術後の日常生活への復帰をアシストします。

臨床研究にも力を入れており、以下の国内および国際多施設共同研究に参加しています。

  1. 重症下肢虚血患者に対するアンギオサムに基づいた血行再建術の有効性に関する多施設・前向き観察研究(WARRIORS study)
  2. 破裂性腹部大動脈瘤に対する開腹手術とステントグラフト内挿術の治療選択に関する全国多施設観察研究
  3. 深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制に対するリバーロキサバンの有効性及び安全性に関する登録観察研究
  4. 下肢血行再建術施行後の症候性末梢動脈疾患患者を対象とした重大な血栓性血管イベントの発現リスクの低減におけるリバーロキサバンの有効性及び安全性を検討する国際共同、他施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第III相試験(VOYAGER PAD)
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