2024年7月24日更新
がん診療支援室は、当院のがん診療の充実ならびにがん診療にかかわる地域連携の推進を図る目的で設置された部門です。
2006年6月にがん対策基本法が成立し、がん対策基本推進計画として、がんの予防及び早期発見の推進、がん医療の均てん化の促進、医師医療従事者医療機関研究の推進等が掲げられました。また、2018年3月にがん対策基本推進計画が見直され、適切な医療を受けられる体制の構築、がんゲノム医療の提供体制、社会環境の整備等を進めていくことが求められています。これらを背景に、当院は2007年1月に地域がん診療連携拠点病院、2018年4月にがんゲノム医療連携病院に指定されています。更に2020年4月には地域がん診療連携拠点病院(高度型)に指定されました。がん診療支援室では、診療科および臓器横断的にがん診療が遂行できるよう、院内各部署間の調整、患者さんの支援体制、院内・地域医療機関の医療関係者のがん診療への理解の向上等に関する活動を院内外で行っています。医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、事務系職員等のスタッフ一同が、質の高いがん診療を受けて頂けるよう、一丸となって運営しています。
地域がん診療連携拠点病院の指定要件は、1.診療体制、2.診療実績、3.研修実施体制、4.情報の収集提供体制、5.臨床研究及び調査研究、6.PDCAサイクルの確保、7.医療に係る安全管理の7項目です。地域がん診療連携拠点病院(高度型)は前述の指定要件に加えて5項目の要件が求められています。詳細は地域がん診療連携拠点病院(高度型)をご覧下さい。がん診療連携拠点病院としての責務を担うべく、2008年4月に室員12名でがん診療支援室が発足し、業務内容の増大に合わせて室員の増員を行った結果、現在は多職種からなる24名の室員で運営されてます。
各診療科や各部門、ならびに事務部門との緊密な連携のもと、がん診療連携拠点病院(高度型)として必須である各事業の推進、院内がん診療の充実を図っています。
また、当院は年間約3,000名前後の院内がん登録が行われている埼玉県内有数の地域がん診療拠点病院であり、総合病院である当院の特色を生かしたがん診療を展開すべく、その活動のサポートを継続的に行っています。
「がん」は様々な遺伝子の異常が積み重なることで発症し、その遺伝子の異常は個々の患者さんごとに異なることが近年の研究により判ってきました。
がんゲノム医療とは、一人ひとりのがんの個性(原因)を明らかにし、患者さんに、より適した治療薬の情報をご提供する次世代のがん治療です。 遺伝子レベルでご自身のがんを知ることは、治療薬などの治療方針の選択に役立ち、副作用の軽減や病状の緩和などが期待できます。なお、医療を受けられるのは、標準治療を終えた方や、治療法がない方が対象となります。保険診療はがんゲノム医療拠点病院と連携して行っています。詳細はゲノム診療科をご覧下さい。
がんに関する市民公開講座を、毎年1回Kawagoe Clinic、またはWesta Kawagoeにおいて開催しています。第1回~第11回開催記録につきましては、下表をご覧ください。
開催日 | 場所 | 内容 | 参加人数 | |
---|---|---|---|---|
第1回 | 2009/7/11(土) | かわごえクリニック (6階大会議室) |
・特別講演 「家で患者をみ(診・看)るということ」 ・パネルディスカッション 「生活の視点から、がん治療を見つめ直す」 在宅診療所、訪問看護、薬剤師、ソーシャルワーカー、患者・家族の立場からの立場から |
91名 |
第2回 | 2010/7/31(土) | かわごえクリニック (6階大会議室) |
・特別講演 「がん患者さんと家族の心のケア」 ・ミニ講演1「私達の身の回りにある緩和ケアについて」 ・ミニ講演2 「自宅だから こそできること~手を取り合ってささえましょう~」 ・ミニ講演3 「心と体に素敵な笑顔を~緩和ケアにおけるリラクゼーション法のご紹介~」 |
67名 |
第3回 | 2011/7/9(土) | かわごえクリニック (6階大会議室) |
テーマ:「埼玉医科大学総合医療センターでのがん診療支援‐がん診療をどのようにして支えるか‐」 ・講演1「当院での肺がんの診断から治療までの流れ」 ・講演2「がん診療における医療費について」 ・講演3「がん患者の在宅支援について」 ・講演4「がんのリハビリテーションの概要」 |
59名 |
第4回 | 2012/7/7(土) | かわごえクリニック (6階大会議室) |
・ミニ講演1「食事を味わう喜びを?患者さんへの食事支援についてー」 ・ミニ講演2「栄養と運動?リハビリテーションの視点からー」 ・特別講演:「がん治療を栄養・食事でサポート?がん患者さんが健やかにすごすためにー」 |
85名 |
第5回 | 2013/8/24(土) | かわごえクリニック (6階大会議室) |
・基調講演「在宅ケアの不思議な力~どんな時でも命は輝く~」 ・パネルディスカッション 「おうちに帰ろう~がん患者さんが自分らしく生きるためには~」 クリニック医師、訪問看護ステーション看護師、病院看護師、社会福祉士 |
73名 |
第6回 | 2014/7/26(土) | かわごえクリニック (6階大会議室) |
・基調講演 「誰でもわかるがんの鎮痛講座」 ・シンポジウム 「~がんの痛みQ&~」 放射線治療医、がん性疼痛看護認定看護師、緩和薬物療法認定薬剤師の立場から |
55名 |
第7回 | 2015/8/22(土) | かわごえクリニック (6階大会議室) |
・ミニ講演 「当院のがん患者さんの就労支援相談について」 ・基調講演 「がんとともに働く~知っておきたい就労とお金に関する制度~」 |
45名 |
第8回 | 2016/7/16(土) | ウェスタ川越 活動室1.2 |
・導入講演「喫煙と呼吸器疾患」 ・基調講演「世界にひとつだけの健康エンターテイメント唄って禁煙、笑って卒煙、踊って救命」 |
60名 |
第9回 | 2017/7/29(土) | 埼玉医科大学 総合医療センター 5階大講堂 |
・講演1 「親と子で学ぶ-家族でがんととももに過ごすことを目指して-」 ・講演2 「パパ・ママ、ぼくも心配しているよ~がん患者さんのこどもへのサポートを考える」 |
62名 |
第10回 | 2018/8/25(土) | ウェスタ川越 活動室1.2 |
・講演1 「がん治療に伴う口の中の様々な症状と口腔ケア」 ・講演2 「口腔ケアの実践」 |
67名 |
第11回 | 2019/8/10(土) | かわごえクリニック (6階大会議室) |
・講演1 「当院のがんゲノム診療体制の紹介」 ・講演2 「ゲノム情報を医療や健康管理に活用するには。-検査前から知っておくこと、検査後に誤解・心配がないように」 |
62名 |
当院は年に3回、がん医療の質の向上を目的として、医師のみならず、医療従事者向けの講演会を開催しています。第1回~37回までの開催につきましては、下表をご覧ください。
開催日 | 開催場所 | 講演タイトル | 参加人数 | |
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第1回 | 2008/3/5(水) | 大講堂 | プロスタグランディン合成酵素(COX-2) | 69名 |
第2回 | 2008/5/14(水) | 大講堂 | がん診療における放射線治療の役割 | 79名 |
第3回 | 2008/9/17(水) | 小講堂 | 非小細胞肺癌の外来化学療法 | 53名 |
第4回 | 2008/10/22(水) | 小講堂 | 乳がん化学療法の現状 | 69名 |
第5回 | 2009/5/20(水) | 小講堂 | 子宮体癌の治療-up to date- | 49名 |
第6回 | 2009/11/18(水) | 小講堂 | 胃癌の内視鏡治療 | 47名 |
第7回 | 2010/2/17(水) | 小講堂 | 当院における肝癌治療の現況 | 50名 |
第8回 | 2010/5/25(水) | 大講堂 | 前立腺癌診療2010アップデート | 38名 |
第9回 | 2010/10/27(水) | 大講堂 | 聴くことから始まるスピルチュアル・ケア | 97名 |
第10回 | 2011/2/9(水) | 小講堂 | 造血腫瘍の診断 | 63名 |
第11回 | 2011/7/12(火) | 大講堂 | 出会いは人生の宝 | 137名 |
第12回 | 2011/11/8(火) | 大講堂 | 食道癌診断における最先端 | 65名 |
第13回 | 2012/2/13(月) | 大講堂 | 前立腺癌の放射線治療:高精度治療による | 72名 |
第14回 | 2012/6/8(金) | 大講堂 | 今、改めて緩和ケアを考える | 109名 |
第15回 | 2012/10/3(水) | 大講堂 | がん検診のエビデンス-科学的根拠とは何か | 67名 |
第16回 | 2013/2/13(水) | 大講堂 | 子宮頸癌に対する放射線の治療 | 93名 |
第17回 | 2013/6/8(金) | 大講堂 | がんと就労 | 60名 |
第18回 | 2013/10/31(木) | 大講堂 | 地域でがん患者さんを支えるー私たちの町の緩和ケア | 75名 |
第19回 | 2014/2/5(水) | 大講堂 | 組織を動かす力 | 73名 |
第20回 | 2014/6/4(水) | 大講堂 | 遺伝性腫瘍の遺伝子診断- 遺伝性乳癌卵巣癌と遺伝性大腸癌を中心に |
94名 |
第21回 | 2014/11/12(水) | 大講堂 | 乳がんを経験して学んだこと | 65名 |
第22回 | 2015/2/18(水) | 大講堂 | 進行・終末期のがん患者と家族を支えるコミュニケーション ~「偽りの希望」という名の重罪~ |
169名 |
第23回 | 2015/5/26(火) | 大講堂 | 1.入院患者の麻薬自己管理について 2.ここまでできる突出痛看護 3.突出痛、広がるアプローチ フェンタニルレスキューを現場で活かすには |
175名 |
第24回 | 2018/11/14(水) | 大講堂 | がん哲学外来~医療の協働体~ | 97名 |
第25回 | 2016/2/19(金) | 大講堂 | 大学病院で看取るということ~緩和ケアチームとして~ | 78名 |
第26回 | 2016/5/25(水) | 大講堂 | 悪性腫瘍患者の栄養管理はどうする? | 106名 |
第27回 | 2016/10/12(水) | 大講堂 | 大丈夫だよ、がんばろう | 266名 |
第28回 | 2017/2/7(水) | 大講堂 | あなたが住む街のひとひらに~緩和ケアがもつ可能性~ | 102名 |
第29回 | 2017/5/17(水) | 大講堂 | がん性疼痛の緩和~疼痛のメカニズムからのアプローチ~ | 94名 |
第30回 | 2017/9/27(水) | 大講堂 | 臨床で活かすアピアランスケア~その意義とエビデンス | 54名 |
第31回 | 2018/2/21(水) | 大講堂 | どのようにがん患者さんの意思決定を支援するか? -行動科学を用いた意思決定支援の方法ー |
91名 |
第32回 | 2018/6/2(火) | 大講堂 | 超高齢社会の医療課題;がん・生活習慣病の格差と将来推計 | 56名 |
第33回 | 2018/11/7(水) | 大講堂 | がん患者のQOL/PRO評価の基礎と応用 | 60名 |
第34回 | 2019/2/20(水) | 大講堂 | がんと生きることを支える医療ー「倫理的な問い」とはなにか? | 91名 |
第35回 | 2019/6/5(水) | 大講堂 | 肺癌に対する治療の現状と展望 | 77名 |
第36回 | 2019/12/4(水) | 大講堂 | がんと栄養~高度侵襲手術から緩和ケアまで~ | 51名 |
第31回 | 2020/2/4(水) | 大講堂 | 「家で過ごしたい」を支えるために | 84名 |
患者図書室(かしの木文庫・談話室)は、平成29年9月から開設しました。
書籍の閲覧、インターネット回線もござます。お気軽にお立ち寄りください。
書籍の貸出を行っています。詳しいことは担当者にお尋ねください。
場所は本館3階外来化学療法センター向かいにございます。
かしの木は川越市の樹木です。「かし」は、四季を通じて市民生活にうるおいを与えてくれる常緑樹で、古くからこの地方の土壌に根を下ろし、屋敷などの防風林・防災林としてなじみの深い木です。
また、材質が堅いため鍬(くわ)や鋤(すき)などの農具の柄としても用いられ、市民の暮らしを支える役割を果たしてくれているということです。
当院の患者図書室も、川越のかしの木のように、川越市及び近隣地域の患者さんならびにそのご家族に根ざしたお手伝いが出来ればと考え、【患者図書室(かしの木文庫・談話室)】と命名
しました。詳細は下記をご参照ください。
氏名 | 資格 | 職位 | |
---|---|---|---|
室長 | 石田 秀行 (いしだ ひでゆき) |
医師 | 院長補佐 消化管・一般外科教授 |
副室長 | 髙橋 健夫 (たかはし たけお) |
医師 | 放射線腫瘍科教授 |
副室長 | 植松 和嗣 (うえまつ かずつぐ) |
医師 | 呼吸器内科教授 |
室員 | 川上 理 (かわかみ さとる) |
医師 | 泌尿器科教授 |
室員 | 儀賀 理暁 (ぎか まさとし) |
医師 | 緩和医療科教授 |
室員 | 北條 隆 (ほうじょう たかし) |
医師 | ブレストケア科教授 |
室員 | 堀江 憲夫 (ほりえ のりお) |
歯科医師 | 歯科口腔外科教授 |
室員 | 母里 淑子 (もり よしこ) |
医師 | ゲノム診療科講師 |
室員 | 構 奈央 (かまえ なお) |
認定遺伝カウンセラー | ゲノム診療科助教 |
室員 | 近藤 正巳 (こんどう まさみ) |
薬剤師 | 薬剤部部長 |
室員 | 安藤 てる子 (あんどう てるこ) |
看護師 | 看護部看護師長 |
室員 | 佐藤 治恵 (さとう はるえ) |
看護師 | 看護部看護師長 |
室員 | 穴澤 友美 (あなざわ ゆみ) |
看護師 | 看護部主任 |
室員 | 藤野 優子 (ふじの ゆうこ) |
看護師 | 看護部主任、がん相談支援センター |
室員 | 笛木 知子 (ふえき ともこ) |
臨床検査技師 | 中央検査部係長 |
室員 | 大西 未歩 (おおにし みほ) |
管理栄養士 | 栄養部 |
室員 | 皆川 勉 (みながわ つとむ) |
事務部次長 | |
室員 | 青木 貴宏 (あおき たかひろ) |
医務課係長 | |
室員 | 小川 英明 (おがわ ひであき) |
総務課係長 | |
室員 | 飯田 里美 (いいだ さとみ) |
社会福祉士 | がん相談支援センター、医療福祉相談室係長 |
室員 | 相原 翠 (あいはら みどり) |
社会福祉士 | がん相談支援センター、医療福祉相談室主任 |
室員 | 岡田 由貴 (おかだ ゆき) |
社会福祉士 | がん相談支援センター、医療福祉相談室 |
室員 | 川井 紗織 (かわい さおり) |
診療情報管理士 | 診療情報管理室 |
室員 | 新井 香菜子 (あらい かなこ) |
がん診療支援室 | ||||||
月曜日 Monday |
火曜日 Tuesday |
水曜日 Wednesday |
木曜日 Thursday |
金曜日 Friday |
土曜日 Saturday |
当院は、川越比企医療圏にあり、埼玉県内のがん診療拠点病院の中では、最大規模を誇る急性期総合病院です。
がんの患者さんに対して、地域から信頼される、安全で質の高い医療を提供するよう心がけています。
また、急性期総合病院の立場から、様々な併存症のあるがん患者さんにも対応でき、かつ緊急を要するがん患者さんに対しても早急に受け入れる体制が整っています。
当院は、がんゲノム医療拠点病院と連携して、希少がん、原発不明がん、標準治療が終了した患者さん、薬物療法(抗がん剤、分子標的治療薬など)が継続して行える患者さんを対象に、保険診療でがん遺伝子パネル検査を実施しています。検査後結果に基づいて、治験・臨床試験の施行や遺伝カウンセリングを適宜行っています。