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ゲノム診療科

2024年1月23日更新

ご挨拶

がんゲノム診療がわが国の政策として行われるようになり,当院でも2019年4月からゲノム診療が開設されました。「ゲノム医療」とは,本来きわめて広い範囲の診療を含みますが,現在急速に普及しつつあるのが「がんゲノム医療」です。当科の責務は,この「がんゲノム医療」を実践することにあります。健康保険のもと,あるいは自費診療の中でのがん遺伝子パネル検査によって,患者さんのがんに有効な薬物(抗がん剤)があるかということを調べ,最適ながん治療を受けていただくことを目指します。がん遺伝子パネル検査は今後急速に進歩していく可能性があり,当科ではこのような動きに迅速に対応する体制で臨んでいます。

がんゲノム診療の一環として,遺伝性腫瘍が見つかることがあり,適切に対応することが求められています。つまり遺伝性腫瘍の患者さんと血縁者の方には一般のがん(非遺伝性のがん)とは異なる治療,検査,支援が必要なことがあります。当院では,がんゲノム医療の普及前より,遺伝性腫瘍,特に遺伝性大腸癌であるリンチ症候群や家族性大腸腺腫症の治療経験数が全国的にもトップクラスであり,消化管・一般外科と連携して遺伝性腫瘍の診療のサポートを積極的に行っています。また,社会で関心が高まっている遺伝性乳がん卵巣がんについては,関連診療科との密接な連携を行っています。

遺伝(遺伝性腫瘍を含む)等の専門医や認定遺伝カウンセラーが責任をもってがんゲノム医療を受ける患者さん,遺伝性腫瘍の患者さん,血縁者の方に対応致します。なお,がんではない遺伝性疾患(疑いを含め)についても関連診療科や他の医療機関を紹介する等,適切に対応しますので,お気軽にご相談下さい。

当科の診療について

【がんゲノム医療】→申込み方法は診療科HPをご覧ください

【遺伝性疾患(特に遺伝性腫瘍)の診断と治療】

1.遺伝性腫瘍の診断と治療

遺伝性腫瘍の患者さんは同じがんを何度も発症する(多発性)、様々な臓器に発がんする(多重性)、若年で発がんする(若年発症)、家族にがんの患者さんが多発する(家族集積性)などの特徴があります。患者さん自身の適切な診断・治療・定期的な健康管理が必要なばかりでなく、同じ原因を持った血縁者の方にも同様の対策が必要です。代表的な遺伝性腫瘍は血液を用いた遺伝子診断が可能です。多くの遺伝性腫瘍の遺伝子診断は自費診療で行いますが、一部の疾患については研究として行うことも可能です。
また、がんゲノム遺伝子パネル検査などのがんゲノム医療で遺伝性腫瘍が見つかった患者さんやご家族の支援を行います。
当科でご相談に応じることができる遺伝性腫瘍を以下に挙げますが、実際の診療や定期検査については他の診療科を紹介することもあります。

対応可能な遺伝性腫瘍

リンチ症候群
大腸癌、子宮内膜癌(子宮体癌)、卵巣癌、胃癌、腎盂・尿管癌、小腸癌、膵癌、脳腫瘍、胆道癌など、さまざまな種類のがんに他の方よりも罹りやすいことが知られています*1。
ご本人やご家族、ご親戚の癌の種類や罹患年齢から、リンチ症候群が疑われます。確定診断には遺伝学的検査が必要となります(保険適応外)。
 ※1必ずすべてに罹患するということではありません。
家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)
生まれつき大腸に多発するポリープができる疾患で、放置すると大腸癌がほぼ100%発生します。その他に十二指腸癌、デスモイド腫瘍、甲状腺癌などの病変を伴うこともあります*1。
大腸や胃、十二指腸などにポリープが多発することが知られており、特に大腸は10~20代から無数のポリープが観察されることも多くあります。そのため、大腸内視鏡検査にて家族性大腸腺腫症の診断がつく場合もあります。
大腸のポリープが癌になる前に大腸の切除を行い、癌を予防する方法が世界中で勧められています。
 ※1必ずすべてに罹患するということではありません。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群
生まれつき乳癌、卵巣癌に罹りやすい体質で、その他に膵癌、前立腺癌も一般の方より罹りやすいことがわかっています*1
ご本人やご家族、ご親戚の癌の種類や罹患年齢から、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の可能性を考慮します。遺伝性乳がん卵巣がん症候群の確定診断には、遺伝学的検査が必要となります(2020年4月より保険収載)。
 ※1必ずすべてに罹患するということではありません。
その他
  • Peutz-Jeghers(ポイツ・ジェガース)症候群
  • 若年性ポリポーシス症候群
  • Cowden(カウデン)/PTEN過誤腫症候群
  • Li-Fraumeni(リ・フラウメ二)症候群
  • 多発性内分泌腫瘍症(Multiple endocrine neoplasia, MEN)1型,2型
  • 遺伝性びまん性胃癌
  • その他の家族集積性腫瘍症候群

家族や親戚にがんに罹患した人が多く、自分もがんに罹るのではないかと心配
自分ががんに罹患したけれども、子どもたちもがんに罹りやすいのか心配
などがんと遺伝(罹りやすさ)に関するご質問などございましたらお気軽にご相談ください。

2.非腫瘍性遺伝性疾患の診断と治療

産科・小児科領域を除く成人の遺伝性代謝疾患、神経疾患のご相談に応じることが可能です。当科ではこういった非腫瘍性遺伝性疾患の遺伝子診断や治療・定期検査は行っておりませんが、院内の診療科や他の医療機関へご紹介することが可能です。

臨床遺伝専門医、家族性腫瘍専門医が診療を担当し、専属の認定遺伝カウンセラーが遺伝カウンセリングを行います。
遺伝子診断・遺伝カウンセリング料:原則自費(研究に参加される場合を除く)

対象疾患

がんゲノム医療

1.保険診療の場合
  • 希少がん、原発不明がん、標準治療が終了したがん
  • 薬物療法(抗がん剤、分子標的薬など)が継続して行える体調である方
2.自費診療の場合
がんの種類やステージ,病状に特別な制限はありません

その他の遺伝性腫瘍

リンチ症候群
大腸癌、子宮内膜癌(子宮体癌)、卵巣癌、胃癌、腎盂・尿管癌、小腸癌、膵癌、脳腫瘍、胆道癌など、さまざまな種類のがんに他の方よりも罹りやすいことが知られています*1。
ご本人やご家族、ご親戚の癌の種類や罹患年齢から、リンチ症候群が疑われます。確定診断には遺伝学的検査が必要となります(保険適応外)。
 ※1必ずすべてに罹患するということではありません。
家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)
生まれつき大腸に多発するポリープができる疾患で、放置すると大腸癌がほぼ100%発生します。その他に十二指腸癌、デスモイド腫瘍、甲状腺癌などの病変を伴うこともあります*1。
大腸や胃、十二指腸などにポリープが多発することが知られており、特に大腸は10~20代から無数のポリープが観察されることも多くあります。そのため、大腸内視鏡検査にて家族性大腸腺腫症の診断がつく場合もあります。
大腸のポリープが癌になる前に大腸の切除を行い、癌を予防する方法が世界中で勧められています。
 ※1必ずすべてに罹患するということではありません。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群
生まれつき乳癌、卵巣癌に罹りやすい体質で、その他に膵癌、前立腺癌も一般の方より罹りやすいことがわかっています*1
ご本人やご家族、ご親戚の癌の種類や罹患年齢から、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の可能性を考慮します。遺伝性乳がん卵巣がん症候群の確定診断には、遺伝学的検査が必要となります(2020年4月より保険収載)。
 ※1必ずすべてに罹患するということではありません。
その他
  • Peutz-Jeghers(ポイツ・ジェガース)症候群
  • 若年性ポリポーシス症候群
  • Cowden(カウデン)/PTEN過誤腫症候群
  • Li-Fraumeni(リ・フラウメニ)症候群
  • 多発性内分泌腫瘍症(Multiple endocrine neoplasia, MEN)1型,2型
  • 遺伝性びまん性胃癌
  • その他の家族集積性腫瘍症候群

対象となる症状

様々な症状がある場合もあれば、何も症状がない場合もあります。また、遺伝性の病気にかかりやすい方の中にもまだ発症・発病していない方、一生涯発症しない方もおられます。

費用について

■遺伝カウンセリング費用について

遺伝カウンセリング料は1回あたり5,500円(税込)です。
疾患によっては研究として行える場合もあります。

■がんゲノム医療費用について 診療科HPのがんゲノム医療申込方法 をご参照ください

診療実績

がん遺伝子パネル検査 診療実績
合計60症例 (2019年2月-2021年2月)
 前立腺がん  14例
 大腸がん  12例
 原発不明がん  5例
 胃がん  3例
 尿路上皮がん  3例
 消化管間葉系腫瘍 3例
 膵がん 3例
 子宮がん 3例
 十二指腸がん  2例
 頭頸部癌 2例
 神経内分泌腫瘍 2例
 その他の癌  8例

診療スタッフ

氏名 資格 職位 専門分野 認定資格
石田 秀行
(いしだ ひでゆき)
ゲノム診療科スタッフ
教授 診療部長 消化管・一般外科全般(特に大腸肛門外科)
遺伝性大腸癌
消化器癌化学療法
日本外科学会 指導医・専門医・認定医
日本消化器外科学会 指導医・専門医
日本消化器がん外科治療認定医
日本臨床腫瘍学会 暫定指導医
日本遺伝性腫瘍学会 正規遺伝性腫瘍指導医・専門医
鈴木 興秀
(すずき おきひで)
ゲノム診療科スタッフ
講師 研究主任 消化管・一般外科全般
遺伝性/家族性腫瘍・遺伝性疾患
消化器癌化学療法
日本外科学会 指導医・専門医
日本遺伝性腫瘍学会 正規遺伝性腫瘍指導医・専門医
日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医
日本消化管学会 指導医・専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
母里 淑子
(もり よしこ)
ゲノム診療科スタッフ
講師 消化管・一般外科全般
遺伝性大腸癌
消化器癌化学療法
日本外科学会 専門医
日本遺伝性腫瘍学会 指導医・専門医
日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医
日本消化器外科学会 指導医・専門医・消化器がん外科治療認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
田辺 記子
(たなべ のりこ)
ゲノム診療科スタッフ
講師 遺伝カウンセリング 認定遺伝カウンセラー(日本遺伝カウンセリング学会・日本人類遺伝学会共同認定)
構 奈央
(かまえ なお)
ゲノム診療科スタッフ
非常勤講師 遺伝カウンセリング 認定遺伝カウンセラー(日本遺伝カウンセリング学会・日本人類遺伝学会共同認定)

外来担当医表

ゲノム診療科
  月曜日
Monday
火曜日
Tuesday
水曜日
Wednesday
木曜日
Thursday
金曜日
Friday
土曜日
Saturday
午後
専門外来
鈴木 興秀
(Suzuki Okihide)

鈴木 興秀
(Suzuki Okihide)


鈴木 興秀
(Suzuki Okihide)
専門外来
田辺 記子
(Tanabe
Noriko)

母里 淑子
(Mori Yoshiko)


母里 淑子
(Mori Yoshiko)


田辺 記子
(Tanabe
Noriko)





石田 秀行
(Ishida
Hideyuki)



水曜日 午前 (9:00-11:30)
・がんゲノム医療受診前調査 ・遺伝性腫瘍外来
水曜日 午後 (13:00-16:00)
・がんゲノム医療外来
・遺伝性疾患外来
担当医:石田 秀行、鈴木 興秀、母里 淑子
担当遺伝カウンセラー:田辺 記子、構 奈央
その他の曜日をご希望の場合は個別にご相談ください。
当外来は予約制になっております。患者さんご本人または主治医の先生より当科スタッフまでご連絡ください。

医療機関の方へ

【がんゲノム医療外来 申込み方法の概要】詳細および申込み書類は 診療科HPへ

がんゲノム医療の対象となる患者さん

基本的には希少癌 原発不明癌 標準治療が終了した癌
薬物療法(抗癌剤・分子標的治療薬)が継続できるだけの体調の方(ECOG PS=2以下)が対象となります。
標準治療が無効/不耐中止が見込まれる患者さんも対象とします。

上記以外の場合は、個別にご相談ください。

連絡先:049-228-3619

遺伝性腫瘍外来の対象となる患者さん

多発性腫瘍、多臓器に発生する多重性腫瘍、若年発症、家族集積性など遺伝性腫瘍の可能性についてご相談したい方が対象となります。

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http://isp-sik.sakura.ne.jp/smc/chiken/hec/opt-out/