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炎症性腸疾患(IBD)センター

2024年12月10日更新

ご挨拶

炎症性腸疾患(IBD)センターは、診療科の垣根を越えて、患者の診療にあたるという総合医療センターの目指す診療センター化構想の1つとして、消化器・肝臓内科、消化管外科・一般外科、小児科、産婦人科、メンタルクリニックの5診療科と看護部、薬剤部、栄養部、化学療法センター、内視鏡センターの支援を受けて2023年4月に新規に開設されました。また、埼玉医科大学かわごえクリニックでも一部外来通院の患者を診察しております。

炎症性腸疾患とは原因不明の腸管に炎症や潰瘍を形成する疾患群の総称で、代表的なものは潰瘍性大腸炎とクローン病ですがその他にも多くの病気がIBDには含まれます。現在、難病の患者に対する医療等に関する法律(平成27年制定)(難病法)の下、2024年4月の時点で341疾患(一定の重症度以上の患者)が難病医療費助成制度の対象となっております。この中で平成26年度の統計では1位:潰瘍性大腸炎(170,781人)、2位:パーキンソン病関連疾患(136,559人)、3位:全身性エリテマトーデス(63,622)、4位:強皮症、皮膚筋炎および多発性筋炎症(52,715)、5位:クローン病(40,855)と1位と5位をIBDが占めるほど患者数は多い疾患群です。

当センターの診療について

IBD患者さんの発症のピークは潰瘍性大腸炎(男性20~24歳、女性25~29歳)、クローン病(男性20~24歳、女性15~19歳)と学生時代や壮年層で発症する患者さんが多いため、できるだけ入院せずに治療ができるように外来での治療を優先して行っています。しかし、病状によっては手術を優先させなければならない場合もあり、消化管外科と連携を密にとり治療にあたっています。また、女性の患者さんでは妊娠・出産を控えた患者さんもいるため、産婦人科・周産期母子センターとの併診も行っております。IBDは難病であるという病気の特性から完治させることができないため、患者さんの精神面での負担も多く、メンタルクリニックのサポートもケース・バイ・ケースで受けることが可能です。また、小児の患者さんは小児科で基本診療を行っておりますが消化器・肝臓内科との併診も行っております。

対象疾患・対象となる症状

以下の疾患はIBDセンターで取り扱っている疾患の代表例です。

潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍が生じる病気です。病変は直腸から口側に向かって連続性に生じるのが特徴です。若年~壮年期に発症することが多いのですが、最近は65歳以上の高齢発症の潰瘍性大腸炎患者さんも増えております。
クローン病
クローン病は口から肛門までの消化管に縦走潰瘍(腸の長軸方向に発生する縦に長い潰瘍)や石畳状の敷石状変化が認められるのが特徴です。潰瘍性大腸炎に比べて若年から壮年期に発症します。動物性脂肪の摂取量が多くなると炎症が悪化するため、臨床症状の重い患者さんでは動物性脂肪の摂取を控えるようにします。また、日本の特徴として肛門周囲膿瘍や痔瘻の合併が多いのも特徴です。
腸管ベーチェット(ベーチェット病)
ベーチェット病はアフタ性口内炎、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼病変の4つの症状が特徴的です。 腸管ベーチェットは主に回腸と盲腸との移行部(回盲部)に腸の壁の下に掘れるような深い潰瘍潰瘍(打ち抜き潰瘍)ができるのが特徴です。
好酸球性食道炎、好酸球性胃腸炎
アレルギーを引き起こす好酸球が特異的なアレルギーの原因が無いにもかかわらず、食道や胃腸に炎症や潰瘍を起こす病気です。

治療について

炎症を抑える内服薬(メサラジン・チオプリン・副腎皮質ホルモン)による治療が基本です。これらの薬を用いても炎症がよくならない患者さんには、抗体製剤(皮下注射・点滴)や低分子化合物(経口剤)による治療を行います。疾患ごとに適応が異なりますし、患者さんの状態(栄養状態・年齢等)によっても治療薬の選択を行っています。基本的には内科治療が優先されますが、内科治療に反応しない場合には手術を行う場合があります。

 そのほか、非特異的多発性小腸潰瘍、地中海熱など多数の疾患がございますがご相談ください。

 

診療実績

診療患者数
2022年 2023年
総数(延べ) 9,589 9,333
外来患者数 7,576 7,200
入院患者数 2,013 2,113
(潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病、腸管ベーチェット病、好酸球性胃腸炎、好酸球性食道炎)
手術件数
2022年 2023年
潰瘍性大腸炎
 腹部手術(件) 17 22
クローン病
 腹部手術(件) 7 16
 痔瘻手術(件) 1 2

診療スタッフ

役職 氏名 所属
IBDセンター長 加藤 真吾(かとう しんご) 消化器・肝臓内科
IBD副センター長 松山 貴俊(まつやま たかとし) 消化管・一般外科
田川 慧(たがわ けい) 消化器・肝臓内科

外来担当医表

炎症性腸疾患(IBD)センター
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医療機関の方へ

地域の医療機関の方へ
総合センターとかわごえクリニックともにIBD患者さんの診療を行っております。成人の患者さまは消化器・肝臓内科外来、小児の患者さんは小児科にご紹介ください。かわごえクリニックでは基本的に軽症で通院可能な患者さんを対象に診療しております。
医学生・研修医の方へ
IBD診療に携わっていただける医師の方を募集しています。当センターには多くのIBD患者さんが通っておられます。是非、われわれとともにIBDの診療・研究に参加してくださる方をお待ちしています。
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