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高度救命救急センター

2025年5月26日更新

ご挨拶

当高度救命救急センターの理念は「突発不測の傷病者が、いつでも、どこでも、その症状に応じ必要かつ適切な医療が受けられることを目指す」というものです。これは、近隣の地域にとどまらず、埼玉県全域の重症救急患者さんに日夜を問わず必要な高度・専門医療を提供し、突発不測の疾病(病気)や外傷(怪我)にて生命を落としたり障害を残したりしないことを目標とする、ということです。次に、このような理念・目標を達成するために邁進してきた当高度救命救急センターのこれまでの歩みを簡単にご紹介します。

当高度救命救急センターは、1987年に生命の危険が切迫する重症救急患者さんを受け入れ、高度・専門医療を行う救命救急センター(三次救急医療施設)として、埼玉県で2番目に開設されました。その後、1999年には一般の救命救急センターでは治療の困難な最重症の救急患者さんを受け入れる高度救命救急センターに、埼玉県では初めて、全国では9番目に指定されました。さらに、2007年には当院が埼玉県ドクターヘリ(以下ドクターヘリ)の基地病院として指定されました。ドクターヘリは、埼玉県全域で発生した重症救急患者さんのもとに、高度救命救急センターの医師や看護師を1分1秒でも早く送り込み高度・専門医療をおこなう、まさに「空飛ぶ救命救急センター分室」です。

救急医療の仕組みでは、高度救命救急センターへの救急搬送や、ドクターヘリの要請は消防(救急隊)や他の医療機関(医師)が決定します。したがって、患者さんやご家族の希望にて高度救命救急センターを受診することはできません。しかし、当高度救命救急センターはド、埼玉県内で発生した重症救急患者さんに、いつでも、どこでも必要な高度・専門医療を提供することにより、埼玉県民の皆さんの「安心・安全」を守るため文字通り24時間365日体制にて力を尽くしていることをご理解いただければ幸いです。

当センターの診療について

一般的な救命救急センターとは異なり当高度救命救急センターは救急科(ER科)と共同して、病院前医療から初期治療、手術、集中管理・集中治療、回復期そして転院や自宅退院までを行う自己完結型救命救急センターです。対象疾患は主として身体の複数箇所が重度に損傷した重症多発外傷や突然の心肺停止、急激に発症した意識障害、急性心筋梗塞や大動脈解離などの心大血管疾患、くも膜下出血や脳梗塞などの脳卒中、出血性ショックや敗血症性ショックなど各種ショック状態、複数科にまたがり内科単独科では対応出来ない内因性疾患、熱中症などです。高度救命救急センターの指定を受けた施設は、これらの疾患の他に四肢切断、広範囲熱傷、急性中毒に対応しなければなりません。私達の施設は重症多発外傷、脊髄損傷、切断四肢の接着などに高度な医療を提供する三次救急医療施設として機能しています。ドクターヘリ運航と共に新病棟が開設し、さらに人的にも設備的にも充実したことで発症早期の傷病者を受入れ、超急性期の手術も可能となったことで手術成績も飛躍的に向上し、米国の最も高度な外傷センターの治療成績を凌駕するまでとなりました。その結果入院患者数は年間約1000名以上、そのおよそ8割が重症外傷(大怪我)で、手術件数も年間1200件を超えています。他科に依頼せず救命救急センター独自で行った手術件数としては全国一と思われます。

さて、このような高度救命救急センターですので診療システムは一般診療科とは異なります。高度救命救急センターには外来がありません。従って一般診療科のように外来受診から入院に至る経路はありません。入院患者は救急車やドクターヘリにより救急搬送された方です。救急隊員やドクターヘリ搭乗医師が救急現場で高度救命救急センターへの搬送を判断し入院は高度救命救急センター医師が決定します。入院期間に関しても高度救命救急センター医師が判断します。入院の適応がなくなったならば転院あるいは自宅退院していただきます。退院後は自宅近隣の医療機関を紹介いたします。救命救急センターは瀕死の状態の救急患者を24時間365日体制で常時受け入れることが社会的使命のため、このようなシステムを取っていますことをご了承下さい。

対象疾患・対象となる症状

心肺停止、突然の意識障害、各種ショック、急性循環不全、急性呼吸不全、慢性疾患の急性増悪などの緊急性のある病態に対応します。以下に対象疾患の代表例を外因性と内因性に分けて列挙します。

外因性疾患
  • 多発外傷(複数臓器にわたる外傷)
  • 頭部外傷
  • 脊髄損傷
  • 顔面外傷
  • 胸部外傷
  • 腹部外傷
  • 血管損傷
  • 骨盤骨折
  • 開放骨折
  • 四肢切断
  • デグロービング
  • 広範囲熱傷
  • 電撃傷
  • 急性薬物中毒
  • 異物による窒息
  • 溺水
  • 偶発性低体温症など 
内因性疾患
  • 脳血管障害(くも膜下出血、脳梗塞、脳出血など)
  • 急性冠症候群(心筋梗塞)
  • 大動脈解離
  • 重症感染症(敗血症など)
  • 消化管出血(吐血、下血など)
  • 産科救急など
 

救急隊や医療機関の医師の判断で高度救命救急センター搬送の適応が判断され受け入れの要請が行われます。

診療実績

2024年 入院
疾患名 症例数
外傷 737
CPA 99
中毒 36
脳血管疾患 20
心血管疾患 5
熱傷 5
消化器 27
呼吸器 20
アナフィラキシー 3
再入院(抜釘等) 135
その他 122
全体 1,210
2024年 手術件数
整形外科領域 1040
外科領域 75
脳外科領域 32
全体 1,147

診療スタッフ

 
氏名 資格 職位 専門分野 認定資格
澤野 誠
(さわの まこと)
高度救命救急センタースタッフ
教授 高度救命救急センター長
研究副主任
救急医学
外科学
救急科専門医・指導医
井口 浩一
(いのくち こういち)
高度救命救急センタースタッフ
教授 副院長
診療部長
外傷センター長
救急医学
整形外科学
脊椎脊髄外科
救急科専門医・指導医
整形外科専門医・指導医
脊椎脊髄外科専門医・指導医
森井 北斗
(もりい ほくと)
高度救命救急センタースタッフ
准教授 診療副部長 整形外科学 整形外科専門医・指導医
中村 元洋
(なかむら もとひろ)
高度救命救急センタースタッフ
准教授 救急医学
麻酔科学
麻酔科専門医・指導医
救急科専門医
日本航空医療学会認定指導者
大河原 健人
(おおかわら けんと)
高度救命救急センタースタッフ
講師 教育主任
診療副部長
外科学
救急医学
外科専門医
救急科専門医
上田 泰久
(うえだ やすひさ)
高度救命救急センタースタッフ
講師 病棟医長 整形外科学
救急医学
整形外科専門医・指導医
救急科専門医
八幡 直志
(やはた ただし)
高度救命救急センタースタッフ
講師 外来医長 整形外科学
脊椎脊髄外科学
整形外科専門医・指導医
脊椎脊髄外科専門医・指導医
学会認定外傷専門医
松田 真輝
(まつだ まさき)
高度救命救急センタースタッフ
講師 HCU担当医長 外科学
救急医学
外科専門医
消化器外科専門医
救急科専門医
学会認定外傷専門医
今本 俊郎
(いまもと としろう)
高度救命救急センタースタッフ
講師 総務担当医長 救急医学
集中治療学
放射線学
救急科専門医・指導医
救急IVR認定医
集中治療科専門医
村瀬 真
(むらせ まこと)
高度救命救急センタースタッフ
講師 研究主任
研修担当医長
脳神経外科学
救急医学
脳神経外科専門医
学会認定脳神経外傷専門医
救急科専門医
高橋 翼
(たかはし つばさ)
高度救命救急センタースタッフ
講師 整形外科学 整形外科専門医・指導医
坪内 希親
(つぼうち まれちか)
高度救命救急センタースタッフ
講師 整形外科学
救急医学
整形外科専門医・指導医
救急科専門医
大井 秀則
(おおい ひでのり)
高度救命救急センタースタッフ
助教 外傷ICU担当医長 救急医学
集中治療医学
救急科専門医
集中治療科専門医
坂本 博史
(さかもと ひろふみ)
高度救命救急センタースタッフ
助教 教育副主任 救急医学
泌尿器科学
泌尿器科専門医
救急科専門医
平松 玄太郎
(ひらまつ げんたろう)
高度救命救急センタースタッフ
助教 災害担当医長 救急医学
災害医学
集中治療学
救急科専門医
集中治療科専門医
上村 直子
(かみむら なおこ)
高度救命救急センタースタッフ
助教 整形外科学
救急医学
整形外科専門医
園田 健一郎
(そのだ けんいちろう)
高度救命救急センタースタッフ
助教 救急医学
災害医学
救急科専門医
松田 浩美
(まつだ ひろみ)
高度救命救急センタースタッフ
助教 整形外科学
救急医学
救急科専門医
三田 基樹
(みた もとき)
高度救命救急センタースタッフ
助教 整形外科学 整形外科専門医
平埜 貴久
(ひらの たかひさ)
高度救命救急センタースタッフ
助教 外科学
心臓外科学
救急医学
外科専門医
救急科専門医
安田 慎一
(やすだ しんいち)
高度救命救急センタースタッフ
助教 脳神経外科学
救急医学
脳神経外科専門医
町田 はるか
(まちだ はるか)
高度救命救急センタースタッフ
助教 外科学
救急医学
救急科専門医
原野 康平
(はらの こうへい)
高度救命救急センタースタッフ
助教 救急医学 救急科専門医
河本 昌雄
(かわもと まさお)
高度救命救急センタースタッフ
助教 整形外科学 整形外科専門医
井坂 憲治
(いさか けんじ)
高度救命救急センタースタッフ
助教 整形外科学
救急医学
救急科専門医
玉置 祐斗
(たまおき ゆうと)
高度救命救急センタースタッフ
助教 救急医学 救急科専門医
米津 雅之
(よねづ まさゆき)
高度救命救急センタースタッフ
助教 救急医学
景山 貴史
(かげやま たかし)
高度救命救急センタースタッフ
助教(専攻医) 形成外科学
整形外科学
松永 美佳
(まつなが みか)
高度救命救急センタースタッフ
助教(専攻医) 整形外科学
河田 優介
(かわた ゆうすけ)
高度救命救急センタースタッフ
助教(専攻医) 救急医学
落合 峻太郎
(おちあい しゅんたろう)
高度救命救急センタースタッフ
助教(専攻医) 救急医学
人見 理紗子
(ひとみ りさこ)
高度救命救急センタースタッフ
助教(専攻医) 救急医学
前田 航
(まえだ こう)
高度救命救急センタースタッフ
助教(専攻医) 救急医学
堤 晴彦
(つつみ はるひこ)
特任教授
特任教授 埼玉医科大学
常務理事
救急医学
脳神経外科学
救急科専門医・指導医
輿水 健治
(こしみず けんじ)
高度救命救急センタースタッフ
客員教授 救急医学
麻酔科学
脳神経外科学
救急科専門医
杉山 聡
(すぎやま さとる)
高度救命救急センタースタッフ
客員教授 救急医学
脳神経外科学
救急科専門医・指導医
脳神経外科専門医
中田 一之(兼担)
(なかた かずゆき)
高度救命救急センタースタッフ
准教授(兼担)
客員教授
救急医学
内科学
心臓内科学
内科専門医
循環器内科専門医
救急科専門医
集中治療科専門医
大饗 和憲
(おおあえ かずのり)
高度救命救急センタースタッフ
客員教授 整形外科学 整形外科専門医・指導医
安藤 陽児
(あんどう ようじ)
高度救命救急センタースタッフ
客員准教授 救急医学 救急科専門医

外来担当医表

高度救命救急センター
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火曜日
Tuesday
水曜日
Wednesday
木曜日
Thursday
金曜日
Friday
土曜日
Saturday

医療関係の方へ

「夢」を見つけ、実現する場所
当高度救命救急センターの診療を支えているスタッフは、医者としても人間としても極めて多種多様です。内科系・外科系を問わず、様々な専門(診療科)の医者が集まって、それぞれの専門領域の知識や経験を深く追求する一方で、他の専門領域についても日々議論しています。また、スタッフ全員が、救急医学関連の学会にとどまらず、外科学会、整形外科学会、集中治療医学会から基礎系の学会に至るまで、実に多様な領域の国内外の学会にて活躍しています。 大事なことは、診療や研究の中で、スタッフがそれぞれ自分の「夢」を抱くことです。その「夢」は、脊髄損傷の患者さんが全員歩いて帰ること、出血死や感染死、重度四肢外傷の切断をなくすこと、外科医に頼らず外傷を治すこと、新たな治療法を開発すること、などこれも多種多様です。そして、私がセンター長として何より大切にしたいと考えているのは、スタッフ全員がそれぞれの「夢」を実現していくことです。 少しでも当センターに興味を持たれたら、ぜひ、長い医師人生のほんの一時期でも良いので、私たちと共に過ごしてみませんか。そして、あなたの「夢」を見つけ、走り出してみませんか。

当高度救命救急センターでは、将来日本の救急医療を背負って立つことができる人材を求めています。 皆さん自信がないと言われるかもしれませんが、ここで研修を積めば、ほかの様々な施設でも、必ずトップで活躍できる人材になることができます。
当高度救命救急センターで育った多くの人が、現在、各所で大変活躍しています。 それぞれがみんな、この救命救急センターで培った力を発揮して、社会に貢献できているということです。 はじめは誰でも未熟です。でも、数年後には大きく成長している自分を感じることができるはずです。 また、当センターではどんな診療科を志していようと、活躍の場があります。外科系のみならず、幅広く募集しておりますので、一度門戸を叩いてみてください。

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