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RFA(ラジオ波焼灼療法)

2024年6月1日更新

1. ラジオ波治療について
 腫瘍に細い針状の電極を刺して電流(周波数480kHz程度のラジオ波電流)を流して発生する熱で焼いて死滅させる治療です。 ラジオ波による治療は「早期乳癌へのラジオ波熱焼灼療法の有効性の検証と標準化に向けた他施設共同研究(RAFAELO試験)」の成果をもとに2023年12月15日から早期乳癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)が薬事承認・保険適応となりました。
乳癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)
乳癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)
2. 一連のラジオ波治療の流れ
 乳がんに対するRFAは、通常の乳房切除をする手術と同様に手術室にて全身麻酔下で行います。まず、通常の手術と同様に、わきの下のリンパ節に対してセンチネルリンパ節生検を行い、センチネルリンパ節に顕微鏡検査でがん細胞が認められた場合は、ひきつづいてリンパ節郭清を行います。
 次に、超音波検査機器で確認しながら、RFA用の針を腫瘍の中心部まで進めていきます。針は腫瘍の真上ではなく、やや離れた位置から刺していきます。針がきちんと腫瘍に刺さっていることを確認してから、熱を加えていきます。がん細胞が壊死するとされる70℃以上まで温度が上昇したことを確認して、針を抜きます。通常、熱を加える時間は30分以内です。手術中と手術後は、乳房の皮膚の熱傷(やけど)を防ぐために、冷凍パックで皮膚を覆います。また、腫瘍と大胸筋(乳房の奥の筋肉)、あるいは腫瘍と皮膚との距離が短い場合に熱傷を防ぐため、これらの間に5%ブドウ糖液の注入を行います。しかし、焼灼終了時の画像検査でRFA治療が完了しない場合には治療を中止することがあります(事前に治療変更について相談している場合は手術治療に切り替えます)。
 試験にご参加いただいた患者さんは全員、放射線治療を受けていただきます。放射線治療の副作用として最も多いのは、放射線を当てた部分の皮膚の障害(やけどのような状態)で、このほか、まれな副作用として放射線による肺炎があります。これらの副作用は、乳房温存手術後に放射線治療を受けられた患者さんにも同様に起こります。
 RFAとその後の放射線治療でがんが死滅したかどうかを確認するために、放射線治療終了後約3か月経過した時点で、診察のほか、造影MRI検査と超音波検査を受けていただきます。さらに、針生検も受けていただいて、治療部位から組織を採取し、顕微鏡レベルでがんが死滅しているかどうかの確認を行います。死滅していないがん細胞が見つかった場合には、外科的切除(乳房温存手術または乳房全切除術)を受けていただきます。
 その後、腫瘍の生検の結果やわきの下のリンパ節へのがん細胞の転移の度合いからお薬の治療が必要と判断された場合、抗がん剤治療は放射線治療の前に行われます。また、ホルモン剤の治療は放射線治療と同時期に開始します。
3. 予想されるRFAによる副作用・合併症について
 わが国で乳がんの患者さんに対し、RFAが行われた合計51人の報告では、重い皮膚熱傷が1人(1.9%)に認められました。重い皮膚熱傷が生じた場合には、外科的な処置が必要になることがあります。この他、組織穿刺による出血(0.1%)、不整脈(0.1%未満)、気胸(0.1%)、血胸(0.1%)、腫瘍播種(0.1%)、血腫形成(あざができる)、膿瘍形成(膿がたまる)、創感染、持続する痛み、発熱、乳房の熱い感じ、嘔気・嘔吐、乳頭の陥没、硬結形成(治療部位が硬くなる)の報告もあります。
4. RFAを行う方の対象
  • ・針生検で組織学的に通常型の原発性乳癌であること。
  • ・腫瘍の大きさが造影MRI検査、乳腺超音波検査を含む画像検査で長径1.5cm以下の単発腫瘍であること
  • ・腫瘍の皮膚浸潤や陥凹などの皮膚所見が認められないこと
  • ・今回の乳癌に対して治療を行った既往がないこと
  • ・年齢が20歳以上の女性であること
  • ・RFA後に放射線治療を行うことが可能なこと
  • ・全身麻酔が可能であること
  • ・術前診断で腋窩リンパ節に転移がないこと

埼玉医科大学総合医療センター ブレストケア科

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