乾癬(かんせん)は、免疫が亢進して全身の炎症が強くなる皮膚の病気です。乾癬の治療は、塗り薬、紫外線照射、飲み薬などさまざまな選択肢があります。近年登場した生物学的製剤と呼ばれる注射薬は、乾癬で過剰につくられ炎症を起こす物質である「サイトカイン(免疫機能に関わるタンパク質)」の働きを抑える薬剤です。乾癬の”根っこ”の部分から叩くため、他の治療方法に比べて効果が高いのが特徴です。
生物学的製剤は、病院で行う注射、もしくは患者さん自身による注射があり、定期的な治療により、症状がほとんどない状態も可能になっています。個人差はありますが、これまでの治療で難治であった患者さんが生物学的製剤治療により、皮膚や関節症状が改善し、温泉に行けたり、半袖を着ることができたり、杖をつかなくてもよくなったりした患者さんもおられます。
埼玉医科大学総合医療センター皮膚科では2010年からの使用実績があり、生物学的製剤による治療を得意としています。当院では現在保険適用となっている十種類以上の生物学的製剤治療を用いることができ、患者さんごとの通院条件、経済的負担、合併症などを考慮し、安全性に十分留意しながら治療に臨んでおります。重症な患者さん、関節症状がある患者さんが該当しますが、これまでの治療で満足が得られない患者さんで、お話だけでも聞いてみたいとの受診もお受けしております。乾癬に関してお困りのことがありましたら、ぜひご相談ください。
乾癬の治療ピラミッド計画 飯塚 一:J Visual Dermatology 2017;16, 850-851改変
埼玉医科大学総合医療センター 皮膚科