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放射線腫瘍科

2024年4月16日更新

ご挨拶

放射線治療はがん診療の3本柱の1つとして外科手術療法、化学療法とならび重要な役割を果たしています。放射線治療機器はここ数年で目を見張る進歩があり、病変局所に放射線を集中させ治療する定位放射線照射や、腫瘍の形状に合わせ正常組織への線量を抑えた照射が可能な、強度変調放射線治療(IMRT,VMAT)などの高精度放射線治療が普及しはじめています。これらにより放射線治療はからだにやさしく、高い局所効果が期待できる治療となってきています。がん診療に関して当院は、地域がん診療連携拠点病院として埼玉県のがん医療の中核を担っています。新患の放射線治療紹介患者数は年々増加しており、2017年は900名を超える全国有数の件数となっています。院内診療科はもとより地域の医療機関との密接な地域連携によって多くの患者さんをご紹介いただいています。

当科では通常分割照射はもとより高精度放射線治療(定位放射線治療、強度変調放射線治療(IMRT,VMAT)や小線源治療から緩和的放射線治療まで、幅広い疾患・症状に対応した治療を行っています。実際の治療は紹介元の診療科の先生方と連携して日々の治療にあたります。放射線治療機器は最新型の放射線治療装置2台を有し、いずれも高精度放射線治療に対応し、子宮頸癌や前立腺癌に対する小線源治療も施行しています。当施設は日本放射線腫瘍学会認定施設(A)に認定されています。

また当科は放射線腫瘍医、医学物理士、診療放射線技師、看護師からなるチーム医療を実践している部門で、充実した診療体制となっています。これにより安全で高品質な放射線治療を患者さんに提供しています。全国に先駆けて放射線治療品質管理室をおき、放射線治療の品質管理、品質保証をチーム医療を通して行っています。これらの活動が評価され、日本医療機能評価機構による病院機能評価において当部門はS評価(最上位)をいただいています。患者さんに良質で効果的な治療を行ってまいります。

当科の診療について

放射線治療では体の機能・形態を温存しつつ、良好は治療効果が得られる治療が可能となっています。高齢者や手術困難な患者さんに対しても積極的な治療を行うことが可能です。腫瘍・がんの治療は外科療法、放射線治療、化学療法を腫瘍の状態に合わせて適切に選択することが重要ですが、当科では定位放射線照射や強度変調放射線治療などの高精度放射線治療はじめとする根治的治療(がんを治すことを目的とする治療)から、症状緩和を目的とする治療まで幅広い領域に対応しています。対象疾患は多岐にわたりますので他の診療科と共同で治療にあたることがほとんどです。密接な連携を図りチーム医療で患者さんの診療にあたります。

  1. 頭頸部腫瘍
    頭頸部癌では形態温存が可能で放射線治療のよい適応です。早期喉頭がんは外来通院で治療が可能であり、治療後は発声が保たれます。
  2. 乳がん
    手術の後、残った乳腺に対して放射線治療を行います(乳房温存療法)。外来通院で治療を行います。
  3. 肺がん
    放射線治療と化学療法(抗がん剤)との併用で放射線治療が行われることが一般的です。
  4. 早期肺がん(体幹部定位放射線治療)
    がん病変にピンポイントに照射することで治療を行います。小さな照射野を用いて、多方向から3次元的に放射線をがん病変局所に集中させ治療を行います。
  5. 食道がん
    放射線治療と化学療法との併用で治療を行うことが一般的です。Ⅱ~Ⅲ期でも外科手術とほぼ同等の治療成績が得られています。
  6. 前立腺がん
    多方向から前立腺に放射線を集中させ治療を行います。強度変調放射線治療(IMRT)ならびに小線源治療を行っています。
  7. 子宮頸がん
    通常の放射線治療に加えて子宮の内側からの局所的な照射を行う小線源治療(腔内照射)を組み合わせて治療を行います。
  8. 骨転移
    骨転移による疼痛症状を和らげる照射効果が80%程度で得られます。
  9. 脳転移
    ピンポイントに照射する定位放射線治療、通常放射線治療を病状に合わせて行います。

受診方法

放射線治療は放射線腫瘍科外来(地下1階)にて担当しています。他院からの初診は原則、月・火・水・木・金曜日午前に受診ください。初診時には紹介状、 治療の際に必要な画像検査情報をお持ちください。

お問い合せ先

049-228-3511(放射線腫瘍科直通)

対象疾患

全身の腫瘍性病変が対象となります。悪性腫瘍が主たる対象ですが、良性疾患でも放射線治療の適応となるものがあります。疾患によって通常放射線治療のみで治療を行うもの、定位放射線治療を行うもの、強度変調放射線治療を行うもの、化学療法との併用で行うもの、術前治療、術後治療行うものなど治療内容が異なります)

悪性腫瘍
  • 脳腫瘍
  • 頭頸部腫瘍(咽頭がん,喉頭がんなど)
  • 肺がん・縦隔腫瘍
  • 食道がん
  • 乳がん
  • 大腸がん(術前)
  • 胆道・膵臓がん
  • 婦人科腫瘍(子宮頸がん、膣がんなど)
  • 泌尿器生殖器腫瘍(前立腺がん、膀胱がんなど)
  • 皮膚がん
  • 悪性リンパ腫
  • 骨軟部腫瘍、等
良性疾患
ケロイド(術後照射)、甲状腺眼症、脳動静脈奇形(定位放射線治療)
症状緩和
骨転移(脊髄圧迫含む)、脳転移、症状を有する再発転移性腫瘍、腫瘍による上大静脈症候群、等

緩和的放射線治療の地域連携

骨転移を中心に緩和的放射線治療を通院治療で施行しております。線量分割は8Gy/単回, 20Gy/4回,30Gy/10回等を用いて行います。事前電話相談を放射線腫瘍科(049-228-3511)(もしくは病診連携室)にしていただけると、患者さんの負担が少ないスケージュール調整を適切に行えますのでご相談下さい(骨転移の疼痛緩和で用いる単回照射の場合、2回の通院で緩和的放射線治療を行うことができます)。
適応の有無や治療実施可能性につきましても随時ご相談ください。

事前相談項目は下記をご参考によろしくお願いいたします。

事前確認チェックシート項目
  • ☐原疾患(+推定される予後の見立て)
  • ☐全身状態(Performance Status:PS)
  • ☐疼痛の部位と程度、鎮痛薬の使用状況(レスキュー薬の有無
  • ☐最近の画像検査の有無(数か月前のCTでも可)
  • ☐画像検査があれば病変と疼痛の部位の関連(責任病巣の同定
  • ☐治療時の照射体位(通常は仰臥位)での安静保持可能時間
  • 外来通院の可否(1回~数回)、あるいは入院の要否
  • ☐外来来院方法(自分で・家族の送迎・病院の送迎など)
  • 過去の照射歴
  • 当日照射(即日照射)の場合、数時間の待機時間が可能かどうか
<日本放射線腫瘍学会ホームページより>

診療実績

2021年 治療実績(外来および入院)
疾患名 症例数
脳腫瘍・脊髄腫瘍 28
頭頸部癌 19
食道癌 5
肺癌・気管・縦隔腫瘍 69
(うち肺癌) 30
乳癌 210
肝癌・胆道腫瘍・膵癌 96
胃癌・結腸癌・直腸癌 38
婦人科系腫瘍(子宮頸癌など) 47
泌尿器科系腫瘍(前立腺癌、膀胱がんなど) 183
(うち前立腺癌) 138
悪性リンパ腫・多発性骨髄腫など 25
皮膚癌・骨軟部腫瘍 13
その他の悪性腫瘍 0
良性疾患 12
15歳以下の小児がん 0

診療スタッフ

氏名 資格 職位 専門分野 認定資格
髙橋 健夫
(たかはし たけお)
放射線腫瘍科スタッフ
教授 診療部長
教育主任
放射線腫瘍学
腫瘍画像医学
放射線生物学
放射線治療専門医(日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会)
がん治療認定医機構認定医
日本医学放射線学会研修指導者
山野 貴史
(やまの たかふみ)
放射線腫瘍科スタッフ
准教授 健康管理科専従
放射線腫瘍科兼担
放射線腫瘍学 放射線治療専門医(日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会)
がん治療認定医機構認定医
日本医学放射線学会研修指導者
PET核医学認定医
早川 豊和
(はやかわ とよかず)
放射線腫瘍科スタッフ
講師 副診療部長
外来医長
総務医長
放射線腫瘍学 放射線治療専門医(日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会)
日本医学放射線学会研修指導者
内海 暢子
(うつみ のぶこ)
放射線腫瘍科スタッフ
講師 副教育主任 放射線腫瘍学 放射線治療専門医(日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会)
がん治療認定医機構認定医
日本医学放射線学会研修指導者
齊藤 美音
(さいとう みお)
放射線腫瘍科スタッフ
助教 放射線腫瘍学 放射線科専門医(日本医学放射線学会)
町田 史晴
(まちだ ふみはる)
放射線腫瘍科スタッフ
助教 放射線腫瘍学
松本 優介
(まつもと ゆうすけ)
放射線腫瘍科スタッフ
助教 放射線腫瘍学
森田 大也
(もりた だいや)
放射線腫瘍科スタッフ
助教 放射線腫瘍学
水野 統文
(みずの のりふみ)
放射線腫瘍科スタッフ
講師 副研究主任 医学物理学 医学物理士
治療専門医学物理士
梅田 真梨子
(うめだ まりこ)
放射線腫瘍科スタッフ
助教 医学物理学 医学物理士
加藤 唯斗
(かとう ゆいと)
放射線腫瘍科スタッフ
助教 医学物理学
村田 修
(むらた おさむ)
放射線腫瘍科スタッフ
非常勤講師 放射線腫瘍学 放射線治療専門医(日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会)
がん治療認定医機構認定医
日本医学放射線学会研修指導者
PET核医学認定医
本戸 幹人
(ほんど みきと)
放射線腫瘍科スタッフ
非常勤講師 放射線腫瘍学 放射線治療専門医(日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会)
がん治療認定医機構認定医
西村 敬一郎
(にしむら けいいちろう)
放射線腫瘍科スタッフ
非常勤講師 放射線腫瘍学 放射線治療専門医(日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会)
日本医学放射線学会研修指導者
PET核医学認定医
惣田 梨加奈
(そうだ りかな)
放射線腫瘍科スタッフ
非常勤講師 放射線腫瘍学 放射線治療専門医(日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会)
日本医学放射線学会研修指導者
畑中 星吾
(はたなか しょうご)
放射線腫瘍科スタッフ
非常勤講師 医学物理学 医学物理士
放射線治療品質管理士
針生 将嗣
(はりう まさつぐ)
放射線腫瘍科スタッフ
非常勤講師 医学物理学 医学物理士

外来担当医表

放射線腫瘍科
  月曜日
Monday
火曜日
Tuesday
水曜日
Wednesday
木曜日
Thursday
金曜日
Friday
土曜日
Saturday
初診

再診
早川 豊和
(Hayakawa Toyokazu)
早川 豊和
(Hayakawa Toyokazu)
早川 豊和
(Hayakawa Toyokazu)
髙橋 健夫
(Takahashi Takeo)
山野 貴史
(Yamano Takafumi)
(交替制)
内海 暢子
(Utsumi
Nobuko)
内海 暢子
(Utsumi
Nobuko)
内海 暢子
(Utsumi
Nobuko)
早川 豊和
(Hayakawa Toyokazu)



齊藤 美音
(Saito
Mio)
森田 大也
(Morita
Daiya)
内海 暢子
(Utsumi
Nobuko)


齊藤 美音
(Saito
Mio)

松本 優介
(Matsumoto
Yusuke)

齊藤 美音
(Saito
Mio)

森田 大也
(Morita
Daiya)
松本 優介
(Matsumoto
Yusuke)

齊藤 美音
(Saito
Mio)
森田 大也
(Morita
Daiya)

松本 優介
(Matsumoto
Yusuke)


森田 大也
(Morita
Daiya)





松本 優介
(Matsumoto
Yusuke)


午後
再診
早川 豊和
(Hayakawa Toyokazu)
早川 豊和
(Hayakawa Toyokazu)
早川 豊和
(Hayakawa Toyokazu)
早川 豊和
(Hayakawa Toyokazu)
山野 貴史
(Yamano Takafumi)
(交替制)
内海 暢子
(Utsumi
Nobuko)
内海 暢子
(Utsumi
Nobuko)
内海 暢子
(Utsumi
Nobuko)
内海 暢子
(Utsumi
Nobuko)



齊藤 美音
(Saito
Mio)
森田 大也
(Morita
Daiya)



齊藤 美音
(Saito
Mio)

松本 優介
(Matsumoto
Yusuke)
齊藤 美音
(Saito
Mio)
齊藤 美音
(Saito
Mio)

森田 大也
(Morita
Daiya)
松本 優介
(Matsumoto
Yusuke)

森田 大也
(Morita
Daiya)
森田 大也
(Morita
Daiya)

松本 優介
(Matsumoto
Yusuke)


松本 優介
(Matsumoto
Yusuke)


専門治療
早川 豊和
(Hayakawa Toyokazu)


早川 豊和
(Hayakawa Toyokazu)


医療機関の方へ

放射線治療はがん診療の3本柱の1つとして外科手術療法、化学療法とならび重要な役割を果たしています。当科の特色は定位放射線治療(ピンポイント照射)や強度変調放射線治療をはじめとする高精度放射線治療から、当該診療科とともに行う化学放射線療法、症状緩和・QOL向上を目的とした緩和的放射線治療と幅広い疾患に対して放射線治療を行っている点です。当院は地域がん診療連携拠点病院として院内診療科はもとより、地域の医療機関の先生方と積極的に連携を図っています。

紹介方法・受診方法

放射線腫瘍科は地下1階の放射線腫瘍科外来が窓口となっており、隣接して放射線治療部門があります。患者さんは受付から診察、放射線治療に至るまでスムーズに診療を受けることができます。

  • 他院からの初診:原則、月・火・水・木・金曜日午前に受診していただきます。
    治療の際に必要な画像検査情報を患者さんにもたせていただければ幸いです。
  • お問合せ先 : 049-228-3511(放射線腫瘍科直通)
  • 骨転移など症状が強い患者さんの場合、事前に電話を頂きますと、その後の治療がスムーズに行えます。

当科の放射線治療(放射線治療機器)について

放射線治療装置(リニアック)はTrueBeam(Varian)2台を有しています。高精度放射線治療から通常放射線治療まで幅広く対応できる高精度放射線治療機器です。イリジウム線源を用いた小線源治療装置も有しています。

定位放射線照射:
TrueBeam STxとBrainLabの放射線治療計画を組み合わせて行います。脳転移(小病変)や一部の手術が困難な脳腫瘍、脳動静脈奇形などが適応となります。患者さんにやさしいセットアップが可能な治療法です。
体幹部定位放射線治療:
TrueBeamを用いて早期肺癌に対してピンポイント照射を行います。早期肺癌(3cm以内)や少数個の転移性肺腫瘍が良い適応です。治療期間は1週間ほどで、外来通院で治療を行います。外科手術に匹敵する治療効果が得られています。
強度変調放射線治療(IMRT):
腫瘍と副作用の原因となるリスク臓器が近くにある場合、腫瘍病変に放射線を均一にあてながら、リスク臓器への線量を低減させる高精度な放射線治療法です。前立腺癌を中心に行っています。
小線源治療:
子宮頸癌に対する腔内照射と前立腺癌に対する高線量率組織内照射を行っています。
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