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心臓血管外科

2023年02月26日更新

ご挨拶

心臓血管外科は、主に成人の心臓と胸部大動脈の手術治療を行っています。

「自分にしてもらいたいように患者さんを診療する」が当科のモットーです。巷は「名医もの」「ランキングもの」が大流行で、宣伝調の情報すら無きにしもあらずですが、どの分野の疾患であれ、治療を受けるうえで最も重要なことは確実性の高い治療効果です。私たちは何にも増して良質な医療を提供するよう心がけております。

もうひとつ重要なことは信頼できる治療方針であり、斬新な治療よりも、評価の確立したオーソドックスな治療を中心に行っています。そして患者さんたちが納得できるよう御説明します。

当科は心臓内科、ICU、臨床工学部門、関連諸科・諸部門との緊密な連携のもと、患者さんの病状とニーズを検討し、治療方針は特に心臓内科と週2回の合同カンファレンスで協議したうえで決定することも多いです。そのため、大きな手術をお勧めすることもある一方、場合によっては経過観察をはじめ手術以外の方針をお勧めすることもありますが、そのことも含めて信頼される部門となるよう努力しております。また、時には他科と合同で手術を行うこともあり、極めて重症の患者さんでも緊急手術でも原則としてすべて受けいれ、あらゆる対策・工夫を講じて手術の安全性を向上させています。

なお、手術以外で治療すべき心臓血管疾患やペースメーカー治療は心臓内科、腹部以下の末梢血管疾患は血管外科の担当です。
外来診療は、経過観察目的の定期通院は原則としてお受けしていません。術後患者さんも含め、近隣医療機関を御紹介しています。ですから、不安を抱えて、あるいは慌ただしく退院させられた、という思いになることのないよう、客観的には勿論のこと、御本人がある程度安心できる状態になってから退院できるよう配慮しています。

当科の診療について

手術目的の場合、多くは5~6日前の14時頃に入院です。手術までに、主な御親族に同席いただいて手術説明をします。以下が概要です。
手術は全身麻酔で行われます。

  1. 狭心症・心筋梗塞:
    心臓を栄養する冠動脈の狭窄や閉塞に対し、冠動脈バイパス手術を行います。
    従来は人工心肺を使用して心停止下にバイパスが行われましたが、近年、人工心肺を使用しない心拍動下バイパスが急速に広まりました。ですが心拍動下手術は、実際は短期成績がほぼ同じなのに、遠隔期の成績がむしろ悪いことが問題になっています。
    当院では心停止下手術の成績が十分良いので、心停止下手術を基本とし、患者さんの状況で心拍動下手術が有利なら、心拍動下手術を行っています。
    心筋梗塞急性期の手術にも積極的に取り組んできました。致死率の高い心筋梗塞合併症である心室中隔穿孔の経験も豊富です。
  2. 心臓弁膜症:
    従来は、ほぼ全例が自己弁を切除して人工弁に置換する手術でした。
    昨今増えている僧帽弁閉鎖不全症(様々な原因や病状があります)に対しては、人工弁置換と比べて利点が多い、自己弁を温存する弁形成(修復)手術を積極的に行っており、高い確率で自己弁の温存が可能でした。
    大動脈弁の弁膜症(特に狭窄症)も増えていますが、弁形成術で良好な経過が期待できるケースは限られており、現時点では人工弁置換が標準的な治療方法です。カテーテル的な人工弁植え込みは、今のところ行っていません。人工弁には機械弁と生体弁と2種類あり、一長一短があるので患者さんの状況に応じて使い分けています。
    なお、感染性心内膜炎の手術は特に経験が豊富です。
  3. 大動脈疾患:
    大動脈瘤や大動脈解離などの疾患に対し、人工血管置換を行います。
    大動脈疾患は緊急手術や複雑な手術が多く、高齢の患者さんや動脈硬化が高度で持病の多い方も稀ではありません。しばしば脳・脊髄や、腎臓などの重要な臓器を保護しつつ手術する必要があり、病状に合わせた的確な対処で合併症を減らすよう努めています。病状に応じてステント付き人工血管を併用したり、経カテーテル的ステントグラフト治療も行っています。
  4. その他(先天性心疾患、心臓腫瘍、心房細動など)
    手術後の経過が良好なら,集中治療室は2日内外で退室し、退室頃からリハビリを開始。点滴は4日内外で終了、2~3週間内外で退院となります。

対象疾患

  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 心室瘤
  • 心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全・狭窄、大動脈弁狭窄・閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全など)
  • 胸部大動脈瘤
  • 大動脈解離
  • 大動脈縮窄
  • 成人先天性心疾患(心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、肺動脈弁狭窄など)
  • 心臓腫瘍
  • 心房細動
  • 不整脈

(病状によりますが、心臓内科が担当することも多いです。)

対象となる症状

以下の症状の多くは心臓血管外科独特のものではなく、心臓内科と共通していますが、
自覚症状:胸痛、前胸部不快感、息切れ、動悸、呼吸苦、脈の乱れ、背部痛 など
その他、健診のレントゲンで心拡大などを指摘された、心電図異常を指摘されたなど

 

診療実績

2017年 手術
疾患名 症例数
冠動脈バイパス 41
心室中隔穿孔 1
大動脈弁置換 12
僧帽弁形成 10
僧帽弁置換 7
複合弁置換 3
大動脈解離 6
胸部大動脈瘤 15
先天性心疾患 3
心臓腫瘍 その他 6

診療スタッフ

氏名 資格 職位 専門分野 認定資格
別宮 好文
(べっく よしふみ)
心臓血管外科スタッフ
教授 運営責任者
診療部長(代行)
岡田 至弘
(おかだ のりひろ)
心臓血管外科スタッフ
助教 心臓弁膜症
虚血性心疾患
大動脈疾患
外科専門医

外来担当医表

心臓血管外科
  月曜日
Monday
火曜日
Tuesday
水曜日
Wednesday
木曜日
Thursday
金曜日
Friday
土曜日
Saturday
午前
担当


徳永 千穂
(Tokunaga
Chiho)



午後
担当


岡田 至弘
(Okada Norihiro)

池田 晋一郎
(Ikeda
Shinichiro)

医療機関の方へ

1)患者さんを御紹介下さる先生へ

①極力、紹介状をお書きくださるようお願いします。

②事前のFAXや予約などは歓迎いたしますが、必ずしも必要はありません。

経過の安定している術後の患者さんは、紹介元医療機関へ逆紹介させていただくことを原則としておりますが、病状や患者さんのご希望によっては、当科医師定期出向先医療機関や当院心臓内科などでの診療とさせていただくこともあります。

2)研修・入局を希望なさる先生へ

当科は成人の心臓と胸部大動脈診療に特化しています。人数の少なさもあって、この領域における豊富な経験を積むことができます。専門医制度の面では東京大学心臓外科グループの一員で、資格未取得で他領域の修練が必要なら、関連病院をまわっていただくことになります。
学位取得も可能です(課程博士、論文博士)。
平日の勤務は原則的に朝7時30分スタートで、当直制はとっておらず、休日はローテーションでの日勤です。

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