肝胆膵外科・小児外科
2024年4月6日更新
ご挨拶
「ＮＯ」からはじめない。
私たちが、患者さんの診療の際に、常に心がけていることです。たとえ、どんなに具合が悪い患者さんでも、ただ「ＮＯ」と言うのではなく、一人一人の状態に応じた最善の医療を提供することを追求します。
当科は、肝胆膵外科と小児外科の2つの専門医グループに分かれて、それぞれが専門性の高い治療ができるように日々、努めております。
なお当院は、「肝胆膵外科高度技能専門医修練施設Ａ」および「日本小児外科学会教育認定施設」に指定されております。
グループの枠組みを超えた教室全体のテーマは下記の3つです。
- 手術前の正確な診断と治療方針の決定
- 手術に伴う合併症を防ぐ正確で丁寧な手術
- 手術後に起こりうるあらゆる状況に対応できる丁寧な術後管理
これら3つのことを教室員全員が心がけ、患者様が安心して手術・治療が受けられるような体制を構築しております。
また、大腸がん肝転移の症例も当科で積極的に手術しており、「肝転移があっても治癒が得られる 」ことを目標に日々努力しております。
また、大腸がん肝転移の症例も当科で積極的に手術しており、「肝転移があっても治癒が得られる 」ことを目標に日々努力しております。
当科の診療について
肝胆膵外科の特色
- 先進的コンピューターシミュレーションを応用した安全な手術
- 術前に３次元再構築画像を用いた解剖構造の把握や正確な切除範囲の測定をすることにより、外科医の経験と勘に頼っていた部分を排し、より正確で安全な手術を追求しています。
- 高度進行癌に対する積極的手術
- 肝臓、胆道(胆嚢・胆管)、膵臓の悪性腫瘍では、病気の進行により手術不能と判断される場合もあります。私たちは術前の抗がん剤治療や移植技術を応用した手術方法により、手術不能とあきらめられていた患者さんの積極的な治療を行っています。
- 腹腔鏡手術の安全性の追求
- 私たちは、侵襲の少ない腹腔鏡手術を積極的に行っています。当院は高度な腹腔鏡下肝切除術の実施施設として認定を受けています。
小児外科の特色
- 鼠径ヘルニアの腹腔鏡手術
- 女児には整容性に優れている腹腔鏡手術を導入し、男児には安全性を重視して精管や精巣動静脈を直視下に確認できる従来法を施行しています。
- 急性虫垂炎の治療方針
- 抗生剤治療を先行する待機的虫垂切除の方針を取っています。特に、穿孔して膿瘍を形成した虫垂炎については、強力な抗生剤治療を最初に行い、炎症を治してから数ヵ月後に虫垂を切除するかどうか決めております。もちろん汎発性腹膜炎や腸閉塞を合併した虫垂炎には緊急手術を行います。
- 創の目立たない臍部開腹手術
- 小児の腹壁の柔軟性を利用して、お臍の皮膚切開による低侵襲手術法を開発し、肥厚性幽門狭窄症、メッケル憩室、卵巣嚢腫などの手術に導入にしております。
- 数多くの新生児・乳児手術
- 当院には世界で有数の新生児集中治療室(ＮＩＣＵ)があり、新生児・乳児手術を多数行っています。また、胆道閉鎖症（2016年～）と小児腫瘍（2018年～）については、全国登録事業に参加して治療成績の向上に努めています。
対象となる疾患
肝胆膵外科
- 肝癌(肝細胞癌、肝内胆管癌、転移性肝癌など)
- 胆道癌(胆嚢癌、遠位胆管癌、肝門部胆管癌)
- 膵癌
- 膵神経内分泌腫瘍
- 膵管内粘液産生性乳頭状腫瘍(ＩＰＭＮ、ＩＰＭＣ)
- 副腎癌
- 胆石症
- 胆嚢炎
- 膵・胆管合流異常
- 肝のう胞
- 膵嚢胞性腫瘍など
小児外科
- 鼠径ヘルニア
- 臍ヘルニア
- 陰嚢水腫(精巣水瘤)
- 精索水瘤
- ヌック管水瘤
- 停留精巣
- 移動性精巣(遊走精巣)
- 横隔膜ヘルニア
- 横隔膜挙上症
- 先天性嚢胞性肺疾患
- 先天性嚢胞状腺腫様奇形(CCAM)
- 肺分画症
- 気管支原性嚢胞
- 漏斗胸
- 食道閉鎖症・狭窄症
- 食道裂孔ヘルニア
- 胃食道逆流症
- 胃軸捻転症
- 肥厚性幽門狭窄症
- 消化管閉鎖症・狭窄症
- 消化管穿孔、イレウス(腸閉塞)
- 消化管重複症
- 腸回転異常症
- 腸重積症
- 胎便性腹膜炎
- 胎便関連性疾患
- メッケル憩室
- 虫垂炎
- ヒルシュスプルング病
- 肛門周囲膿瘍
- 乳児痔瘻
- 鎖肛
- 直腸肛門奇形
- 胆道閉鎖症
- 胆道拡張症
- 臍帯ヘルニア
- 腹壁破裂
- 肝腫瘍
- 膵腫瘍
- 腎腫瘍
- 副腎腫瘍
- 仙尾部腫瘍
- 卵巣腫瘍
- 正中頚嚢胞など
対象となる症状
- 肝胆膵外科
- 肝胆膵外科領域で扱う疾患では症状のない場合が多くあります。また、一般的な腹痛、背部痛で発症されている場合も多く、初療の先生の判断により当科を受診してください。
- 小児外科
- 鼠径部やお臍の膨隆・腫瘤(ふくらみ・しこり)、陰嚢腫大(腫れている)、精巣非触知(触れない)、肛門周囲の腫脹、肛門の位置・形態異常、胸の陥凹(へこみ)など。
(腹痛、嘔吐、便秘、下血、腹部膨満、黄疸などの症状については申し訳ありませんが、最初に小児科を受診してください。)
診療実績
肝胆膵外科
| 疾患名 | 症例数 |
|---|---|
| 肝細胞癌 | 19 |
| 肝内胆管癌 | 5 |
| 転移性肝癌 | 2 |
| その他の肝疾患 （移植、その他の腫瘍、外傷など） |
7 |
| 肝門部領域胆管癌 | 5 |
| 遠位胆管癌 | 13 |
| 胆嚢癌（胆嚢管癌を含む） | 1 |
| 乳頭部癌 | 4 |
| 先天性胆道拡張症 | 2 |
| 膵頭部癌 | 34 |
| 膵体尾部癌 | 19 |
| IPMN・IPMC | 9 |
| MCN | 1 |
| その他の膵疾患 （移植、その他の腫瘍、外傷など） |
7 |
| 良性胆嚢疾患 | 50 |
| その他 | 78 |
| 256 |
| 開腹 | 腹腔鏡下 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 肝膵同時切除 | 3 | 3 | |
| 肝切除 | |||
| 肝亜区域切除以上 | 31 | 1 | 32 |
| 肝移植レシピエントの移植手術 | 1 | 1 | |
| 肝移植ドナーの肝切除 | 1 | 1 | |
| 肝部分切除 | 19 | 17 | 36 |
| 肝外側区域切除 | |||
| 膵切除 | |||
| 膵全摘術（残膵全摘を含む） | 6 | 6 | |
| 膵頭十二指腸切除（幽門輪温存を含む） | 52 | 7 | 59 |
| 膵体尾部切除（D2リンパ節郭清を伴った膵癌に限る） | 13 | 14 | 27 |
| 膵移植レシピエント手術 | 1 | 1 | |
| 郭清を伴わない膵体尾部切除 | 2 | 2 | |
| その他 | |||
| 胆嚢胆管切除＋胆管消化管吻合（先天性胆道拡張症） | 1 | 1 | |
| 膵腫瘍核出術 | 1 | 1 | |
| 腎移植レシピエント手術 | 2 | 2 | |
| 胆嚢摘出術 | 1 | 49 | 50 |
| 脾摘出術（腹腔鏡下） | |||
| その他 | 36 | ||
| 年間合計 | 256 |
小児外科
| (1)新生児 | |
|---|---|
| 食道閉鎖症 | 3例 |
| 横隔膜ヘルニア | 3例 |
| 十二指腸閉鎖症 | 2例 |
| 肥厚性幽門狭窄症 | 2例 |
| 小腸閉鎖症 | 1例 |
| 鎖肛 | 1例 |
| 壊死性腸炎 | 1例 |
| ヒルシュスプルング病 | 1例 |
| 胎便性腹膜炎 | 1例 |
| 胎便関連性イレウス | 1例 |
| 胆道閉鎖症 | 1例 |
| 腹壁破裂 | 1例 |
| 臍帯ヘルニア | 1例 |
| 卵巣嚢腫 | 1例 |
| 尿膜管開存症 | 1例 |
| 胸腔内異物 | 1例 |
| 計 | 22例 |
| (2)幼児～年長児 | |
|---|---|
| 鼠径ヘルニア（直視下） | 27例 |
| 同上 （腹腔鏡下） | 28例 |
| 停留精巣・移動性精巣 | 42例 |
| 臍ヘルニア | 18例 |
| 小腸瘻（閉鎖術） | 12例 |
| 急性虫垂炎（腹腔鏡下） | 8例 |
| 摂食障害（胃瘻造設） | 7例 |
| 胃食道逆流症（開腹） | 5例 |
| 同上（腹腔鏡下） | 1例 |
| 腸閉塞症 | 6例 |
| 鎖肛 | 6例 |
| 陰嚢水腫 | 4例 |
| 腸重積症 | 3例 |
| 水頭症 | 3例 |
| ヒルシュスプルング病 | 2例 |
| 痔瘻 | 2例 |
| 胆道閉鎖症 | 2例 |
| 胆道拡張症 | 2例 |
| 先天性肺嚢胞症 | 2例 |
| 後腹膜膿瘍 | 2例 |
| 舌小帯短縮症 | 2例 |
| 悪性腫瘍（妊孕性温存手術） | 2例 |
| 肥厚性幽門狭窄症 | 1例 |
| 食道閉鎖症 | 1例 |
| 食道狭窄症 | 1例 |
| 食道裂孔ヘルニア | 1例 |
| 腸回転異常症 | 1例 |
| 腸管重複症 | 1例 |
| 漏斗胸 | 1例 |
| 横隔膜ヘルニア | 1例 |
| 胆汁うっ滞症 | 1例 |
| 膵嚢胞性腫瘍 | 1例 |
| 腹部・骨盤リンパ節腫 | 1例 |
| 計 | 197例 |
診療スタッフ
肝胆膵外科
| 氏名 | 資格 | 職位 | 専門分野 | 認定資格 |
|---|---|---|---|---|
| 別宮 好文 (べっく よしふみ)  |
教授 | 病院長 診療部長 |
肝胆膵外科 移植外科 化学療法 |
日本外科学会 専門医・認定医 日本消化器外科学会 認定医 日本小切開・鏡視外科学会 理事 優秀専門臨床医™ 日本膵・膵島移植学会 代議員・ 実務者委員 |
| 牧 章 (まき あきら)  |
教授 | 診療副部長 教育主任 臓器移植センター センター長 |
肝胆膵外科 移植外科 低侵襲肝切除 |
日本外科学会専門医・指導医 日本消化器外科学会 専門医・指導医 日本肝胆膵外科学会 評議員・ 高度技能専門医 日本移植学会 専門医・評議員 米国移植外科学会 認定医 |
| 竹村 信行 (たけむら のぶゆき)  |
教授 | 肝胆膵外科 化学療法 肝胆膵領域の悪性腫瘍手術 |
日本外科学会 専門医・指導医 日本消化器外科学会 専門医・指導医 日本肝臓学会肝臓専門医・東部評議員 日本肝胆膵外科学会 評議員 |
|
| 浦橋 泰然 (うらはし たいぜん)  |
准教授 | 研修医長 研究副主任 |
肝胆膵外科 移植外科 再生医療 |
日本外科学会 専門医・指導医 日本移植学会 移植認定医 米国医師免許(ECFMG) Certification for Senior Fellowship of Transplant Surgery in Queensland Liver Transplant Service (Australia) International College of Surgeons Fellow (USA) |
| 木村 暁史 (きむら あきふみ)  |
講師 | 病棟医長 | 肝胆膵外科 移植外科 化学療法 |
日本外科学会・日本消化器外科学会 専門医・指導医 日本肝胆膵外科学会 評議員 日本膵臓学会 認定指導医 日本肝臓学会 肝臓専門医 Intuitive社ロボット手術（da Vinci） 助手認定 |
| 駒込 昌彦 (こまごめ まさひこ)  |
助教 | 医局長 臓器移植センター 副センター長 |
肝胆膵外科（特に胆道外科） 移植外科 化学療法 |
日本外科学会 専門医・指導医 日本消化器外科学会 専門医 日本肝胆膵外科学会 評議員 Intuitive社ロボット手術（da Vinci） 助手認定 |
| 二宮 理貴 (にのみや りき)  |
助教 | 外来医長 | 肝胆膵外科（特に膵臓外科） 低侵襲膵切除 ロボット支援下肝胆膵外科手術 |
日本外科学会・日本消化器外科学会 専門医・指導医 日本肝胆膵外科学会 評議員・ 高度技能専門医 日本内視鏡外科学会 技術認定医 日本膵臓学会 認定指導医 ロボット支援下膵切除学会認定プロクター (膵頭十二指腸切除、膵体尾部切除) |
| 長田 梨比人 (ながた りひと)  |
助教 | 肝胆膵外科 移植外科 化学療法 |
日本外科学会 専門医 日本消化器外科学会 専門医 日本移植学会 移植認定医 日本肝胆膵外科学会 評議員 Intuitive社ロボット手術（da Vinci） 助手認定 |
|
| 岡田 憲樹 (おかだ のりき)  |
助教 | 肝胆膵外科 移植外科 化学療法 |
日本外科学会 専門医 日本消化器外科 専門医 日本肝臓学会 肝臓専門医 Intuitive社ロボット手術（da Vinci）助手認定 |
|
| 松平 慎一 (まつだいら しんいち)  |
助教 | 肝胆膵外科 移植外科 化学療法 |
日本外科学会・日本消化器外科学会 専門医 日本肝臓学会専門医 日本消化器病学会専門医 日本肝胆膵外科学会 評議員 日本がん治療認定医 |
|
| 山本 雅樹 (やまもと まさき) |
助教 | 肝胆膵外科 移植外科 化学療法 |
日本外科学会 専門医 日本消化器外科 専門医 日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医 |
|
| 丸田 祥平 (まるた しょうへい)  |
助教(出向中) | 肝胆膵外科 移植外科 化学療法 |
日本外科学会 専門医 Intuitive社ロボット手術（da Vinci）助手認定 |
|
| 山田 永徳 (やまだ ながのり)  |
専攻医 | |||
| 布川 靖啓 (ぬのかわ やすひろ)  |
専攻医 （出向中） |
小児外科
| 氏名 | 資格 | 職位 | 専門分野 | 認定資格 |
|---|---|---|---|---|
| 小高 明雄 (おだか あきお)  |
教授 | 診療副部長 外来医長 |
小児外科 新生児外科 低侵襲手術 |
日本外科学会指導医・専門医 日本小児外科学会 指導医・専門医 日本消化器病学会 専門医 日本消化器内視鏡学会 専門医 日本超音波医学会 指導医・専門医 |
| 井上 成一朗 (いのうえ せいいちろう)  |
教授 | 研修医長 研究主任 |
小児外科 新生児外科 外科免疫 |
日本外科学会 指導医・専門医 日本小児外科学会 指導医・専門医 日本周産期・新生児医学会 認定外科医 日本移植学会 移植認定医 小児慢性特定疾病指定医 |
| 牟田 裕紀 (むた ゆうき)  |
助教 | 教育副主任 病棟医長 |
小児外科 新生児外科 小児泌尿器科 |
日本外科学会 専門医 日本小児外科学会 専門医 日本周産期・新生児医学会 認定外科医 日本小児泌尿器科学会 認定医 |
| 竹内 優太 (たけうち ゆうた)  |
助教 | 小児外科 | 日本外科学会 専門医 | |
| 林 泰輔 (はやし たいすけ) |
専攻医 | 小児外科 | ||
| 川嶋 寛 (かわしま ひろし)  |
客員准教授 | 小児外科 内視鏡手術 |
日本外科学会 専門医 日本小児外科学会 指導医・専門医 日本内視鏡外科学会 技術認定医 |
|
| 池田 理恵 (いけだ りえ) |
非常勤講師 | 小児外科 | 日本外科学会 専門医 日本小児外科学会 専門医 |
外来担当医表
医療機関の方へ
- 肝胆膵外科グループの初診外来診療は月曜〜土曜日の午前11:00まで受け付けています。
担当医は
月曜日：駒込昌彦
火曜日：牧 章
水曜日：木村暁史
木曜日：別宮好文
金曜日：二宮理貴
土曜日：交代制
となっています。 - 小児外科グループの外来診療日は
月曜日午前(担当医：井上成一朗)
月曜日午後(担当医：小高明雄)
火曜日午後(担当医：牟田裕紀)
水曜日午後(担当医：牟田裕紀)
木曜日午後(担当医：竹内優太)
土曜日午前(担当医：交代制、第１週のみ池田理恵)です。 - 都合により担当医は変更になることがありますので、担当医をご指定の場合には事前に外科外来へご確認をお願いいたします。また、救急の場合には外来診療日以外でも診察しますので外科外来へご連絡ください。
(連絡先)外科外来、TEL: 049-228-3618 - セカンドオピニオンは随時受け付けております。申込み予約方法については、ホームページ上の受診案内→セカンドオピニオン外来をご覧ください。
(担当)肝胆膵外科疾患：別宮好文
小児外科疾患 ：小高明雄 - その他、扱っている疾患や治療法、研修について等、お問い合わせはメールにてお願いいたします。
(連絡先)肝胆膵外科：別宮好文 ybeck@saitama-med.ac.jp
小児外科 ：小高明雄 07aoda@saitama-med.ac.jp
