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2024年1月9日更新

ご挨拶

平成19年7月に赴任してから、10年が経過致しました。これまで、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった造血器腫瘍から、貧血まで全ての血液疾患を総合的に診療できる施設を目指してまいりました。この間に血液疾患の病態解明研究は飛躍的に進歩し、新しい治療薬の開発が進みました。その結果、この10年間における造血器腫瘍に関する治療成績の向上は目覚ましいものがあります。私どもはその流れに遅れることなく、最先端の医療を実践できる施設としての体制を整えてきました。そして、通常の化学療法からあらゆる移植医療を実践できる診療体制とともに、未承認薬に対する早期臨床試験(治験)も実施できるわが国でも有数の血液診療施設と発展してまいりました。同時に、多職種によるチーム医療体制の構築とともに患者さん本位の医療にも心がけてまいりました。患者会の皆さん方とともに分かりやすいセミナーや市民公開講座の開設もその一貫としての活動です。

このような高度医療を実践するためには、組織全体とともに構成する個々人のレベルアップが不可欠であり、内科学および血液学の専門医資格とともに学位取得を必須としております。そのために、私どもは日々の精進を怠ることなく、研究成果の国内外への発信にも心がけています。血液内科としてのモットーは、「診療、教育、研究に対して各自がVision, Passion, Missionを持って学ぶ」であり、多くの患者さんや血液学を志す若手医師を受け入れ、造血器腫瘍を中心とした血液診療の拠点になるべく尽力したいと考えています。

埼玉医科大学総合医療センター血液内科は、患者さんには満足度の高い医療の実践を、そして次世代を担う若手医師や学生には広く国際的な視野に立った教育を推進します。日々のこのような活動を通して、私どもはより良い血液診療を実践し、社会に貢献できるように努力したいと考えております。

当科の診療について

無菌治療室7床を含む34床の入院ベッドを有し、急性白血病をはじめとする造血器腫瘍はもちろん、すべての血液疾患の診療に対応いたしております。日本骨髄バンクの移植認定施設であり、非血縁者間移植を含む造血幹細胞移植も行っております。埼玉県における有数の施設であり、臨床試験や治験も積極的に行っております。血液疾患は典型的な病態ばかりではなく、幅広い疾患を網羅して医療を行うことがとても重要です。急性白血病など、血液内科における緊急症例も、柔軟性をもって幅広く受け入れることで質の高い医療の提供を目指しております。

診療に対する基本方針として、世界的に実績にある科学的根拠(Evidence Based Medicine)に基づいた治療法を選択いたしますが、診療方針を十分にご説明させていただき、患者さんにご納得いただき、安心して受けていただける医療を優先しております。

近年では様々な新しい薬剤が開発され実際に応用されるようになり、血液疾患に対する標準治療に組み込まれるようになりました。当科では保険承認された新規治療薬や免疫療法を積極的に用いております。また、我々が主導して行っている臨床試験や、JCOG、JALSGでの多施設共同試験を推進することで、血液疾患の治療成績向上に貢献しております。同様に、全国規模での血液疾患の対する保険未承認の新規治療薬に対する臨床試験(治験)の実施施設に選定されることも多く、数多くの新規薬剤の臨床試験を行っております。このように、通常の標準治療から臨床試験まで幅広い治療選択のなか、満足度の高い医療を提供できるよう、心がけております。

入院治療のみならず外来治療にも力を入れております。外来通院可能な患者さんで輸血あるいは抗がん剤による化学療法が必要な場合は、生活の質(Quality of Life)を優先し外来での治療を積極的に選択しております。院内における他科との連携も行っております。当院には全国でも有数の総合周産期母子医療センターが併設されており、妊娠に伴う血液異常症の診断、治療はこれまで数多くの症例を経験しております。また血液疾患において一番多い症例は悪性リンパ腫ですが、その診断において当院病理部の田丸淳一教授が全国でも著明な専門家の一人でもあり、病理部とのカンファレンスを定期的に行い、双方の情報をもとに正確な診断を目指しております。

対象疾患

  • 急性白血病(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、成人T細胞白血病)
  • 慢性白血病(慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)
  • 骨髄異形成症候群
  • 骨髄増殖性腫瘍(本態性血小板血症、真性多血症、真性赤血球増加症、骨髄線維症)
  • 悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫【びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、MALTリンパ腫、Burkittリンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、成人T細胞リンパ腫、末梢性T細胞性リンパ腫】)
  • 多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、形質細胞腫
  • 貧血(鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血、溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症)
  • 再生不良性貧血、赤芽球癆
  • 血液凝固異常症(血友病、後天性血友病、凝固因子欠乏症)
  • 特発性血小板減少性紫斑病
  • 血栓性血小板減少性紫斑病
  • 播種性血管内凝固症候群
  • 血小板無力症
 

対象となる症状

  • 健診異常、血球数の異常、血算の異常、血球増加症、血球減少症(白血球増加症/白血球減少症/好中球減少症/赤血球増加症/多血症/赤血球減少症/貧血/血小板増加症/血小板減少症/汎血球減少症)
  • リンパ節腫脹
  • 脾腫
  • 持続する発熱、繰り返す発熱、繰り返す感染症、不明熱(病院を受診して精査を行っても原因が不明の3週間以上続く発熱)
  • 出血傾向(異常な出血、止血困難、あざ、紫斑、点状出血)
  • 貧血症状(倦怠感、脱力感、息切れ、めまいなど)
 

診療実績

2020年度 入院患者数(のべ人数)
疾患名 症例数
急性白血病 124
慢性白血病 5
悪性リンパ腫 239
多発性骨髄腫 52
骨髄異形成症候群 12
再生不良性貧血 1
特発性血小板減少性紫斑病 6
2020年度 外来新患数
疾患名 症例数
急性白血病 23
慢性白血病 13
悪性リンパ腫 117
多発性骨髄腫 21
骨髄異形成症候群 33
再生不良性貧血 3
特発性血小板減少性紫斑病 17

診療スタッフ

氏名 資格 職位 専門分野 認定資格
多林 孝之
(たばやし たかゆき)
血液内科スタッフ003
教授 診療部長
研究主任
多発性骨髄腫
悪性リンパ腫
白血病
日本内科学会 総合内科専門医(指導医)
日本血液学会 血液専門医(指導医)
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法認定医(指導医)
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
髙橋 康之
(たかはし やすゆき)
血液内科スタッフ006
助教 診療副部長
教育主任
外来医長
白血病
悪性リンパ腫
造血幹細胞移植
日本血液学会 血液専門医
日本内科学会 内科認定医(指導医)
永沼 謙
(ながぬま けん)
血液内科スタッフ09
助教 病棟医長
教育副主任
研究副主任
白血病
悪性リンパ腫
造血幹細胞移植
日本専門医機構認定 内科専門医
日本血液学会 血液専門医
坂田 憲幸
(さかた のりゆき)
血液内科スタッフ
助教(専攻医) 白血病
悪性リンパ腫
多発性骨髄腫
平田 公美
(ひらた くみ)
血液内科スタッフ
助教(専攻医) 悪性リンパ腫
白血病
多発性骨髄腫
松永 洸昂
(まつなが たけあき)
血液内科スタッフ
助教(専攻医) 白血病
悪性リンパ腫
多発性骨髄腫
日本救急医学会認定ICLS・BLSコースインストラクター
久保田 寧
(くぼた やすし)
血液内科スタッフ
教授
(輸血部兼担)
白血病
造血幹細胞移植
輸血医学
日本内科学会 総合内科専門医(指導医)
日本血液学会 血液専門医(指導医)
日本輸血・細胞治療学会認定医
日本造血・免疫細胞療法学会 造血細胞移植認医
日本血栓止血学会認定医
阿南 朋恵
(あなん ともえ)
血液内科スタッフ007
助教(輸血部兼担) 造血幹細胞移植
骨髄異形成症候群
多発性骨髄腫
日本内科学会 総合内科専門医(指導医)
日本血液学会 血液専門医
日本造血・免疫細胞療法学会 造血細胞移植認定医
木崎 昌弘
(きざき まさひろ)
血液内科スタッフ001
名誉教授 白血病
骨髄異形成症候群
多発性骨髄腫
日本内科学会 総合内科専門医(指導医)
日本血液学会 血液専門医(指導医)
日本臨床腫瘍学会 暫定指導医
三ツ橋 雄之
(みつはし たかゆき)
血液内科スタッフ013
客員講師 血液病理学
臨床検査医学
日本検査血液学会 評議員
川田 泰輔
(かわだ たいすけ)
血液内科スタッフ
非常勤医師(修練医) 悪性リンパ腫
多発性骨髄腫
白血病

外来担当医表

血液内科
  月曜日
Monday
火曜日
Tuesday
水曜日
Wednesday
木曜日
Thursday
金曜日
Friday
土曜日
Saturday
午前
初診
FAX診療予約制
多林 孝之
(Tabayashi Takayuki)

FAX診療予約制
髙橋 康之
(Takahasi Yasuyuki)

FAX診療予約制
多林 孝之
(Tabayashi Takayuki)
髙橋 康之
(Takahasi Yasuyuki)

再診
髙橋 康之
(Takahasi Yasuyuki)
木崎 昌弘
(Kizaki
Masahiro)
多林 孝之
(Tabayashi Takayuki)
移植後外来
永沼 謙
(Naganuma
Ken)








午後
再診
多林 孝之
(Tabayashi Takayuki)
川田 泰輔
(Kawada
Taisuke)
血液凝固外来
山本 晃士
(Yamamoto Koji)
永沼 謙
(Naganuma
Ken)
多林 孝之
(Tabayashi Takayuki)







・初診は月曜日・水曜日・金曜日の受付です。
・初診外来はFAX診療予約申込(FAX診療予約サービス)による予約制となります。医療機関からの紹介申込みとなります。

医療機関の方へ

急性白血病、慢性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、骨髄線維症、凝固異常症、EBウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症など、造血器悪性腫瘍をはじめ貧血、血小板減少症などの非腫瘍性疾患まで、血液疾患全般を対象として診療しております。血球数の異常やリンパ節腫脹などで血液疾患が疑われる場合や、病理組織診断にて血液腫瘍と確定診断されている場合、また血液疾患で加療中に当院近くへ転居される場合には当科へご紹介ください。他院に受診歴のある方は診療情報提供書(紹介状)をご持参頂きますと、円滑に診療が行うことが可能となりますので、なるべくご持参くださいますよう、ご協力お願い申し上げます。

土曜日の初診も受け付けしておりますが、血液疾患の診断のために必要な遺伝子検査や骨髄検査など、土曜日に検査が行えない検査項目もございます。その場合は、月曜日から金曜日までの平日に再度、受診をお願いさせていただく場合があります。初診担当医から受診時にご案内させていただきます。

当院は日本骨髄バンクの移植認定施設です。血縁者間の造血幹細胞移植はもとより、骨髄バンクドナーからの非血縁者間移植、臍帯血移植も適応により積極的に行っております。

臨床試験や治験も多数行っております。対象疾患で治験を希望される患者さんがいらっしゃいましたら、ご紹介いただければ幸いに存じます。その際には診療情報提供書も併せてお願い申し上げます。

また、セカンドオピニオン外来も行っております。セカンドオピニオンは保険診療の外来枠とは別に、セカンドオピニオン枠にて十分な時間を設けて対応させていただいております。通常の初診外来ではなく、セカンドオピニオン外来の受診をお申し込みいただきご来院くださいますよう、お願い申し上げます。

急患等の場合は初診受付時間外でも可能な限り対応させていただきます。平日・土曜日の17時までは当科外来にお電話(049-228-3569)にてご相談ください。夜間・休日も当直医による対応が可能です。当院の夜間・休日電話受付(049-228-3595)にお電話にてご相談ください。

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