令和6年度 埼玉医科大学総合医療センター 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1,828名 551名 646名 1,296名 1,524名 2,345名 2,853名 5,092名 3,037名 259名
 厚生労働省の令和5年(2023)患者調査の概況【統計表1-2 推計患者数、総数-入院-外来・施設の種類・年次・性・年齢階級別(入院)】によると、施設種類『病院』では患者数が一番多い年代は80歳代ですが、当院では70歳代の患者さんが多く入院しています。背景として当院が高度急性期医療機関であり、積極的な治療を行う患者さんが多いことが考えられます。
 また、総合周産期母子医療センターや小児救命救急センターがあり、10歳未満の患者数が多くなっています。
 令和5年(2023)患者調査の概況 URL:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/index.html
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
消化器・肝臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 296名 3.52日 2.57日 0% 68.32歳
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 166名 9.30日 8.88日 3.01% 71.43歳
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 82名 7.15日 7.45日 0% 73.65歳
06007xxx9910xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 63名 3.87日 4.08日 0% 67.86歳
06007xxx97x0xx 膵臓、脾臓の腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 47名 13.02日 11.52日 14.89% 70.87歳
 胃から十二指腸、小腸、大腸まで消化管のすべての領域の病気を、カメラ(内視鏡)を使って調べることができます。大腸のポリープは良性でも将来癌になる可能性があるので、ある程度の大きさになると内視鏡を使って切除します。胃や十二指腸のポリープ、さらに早期の胃癌も内視鏡で切除可能です。また、膵炎によりお腹の中に溜まった膿や胆管の石も内視鏡で治療することが可能です。さらに肝臓や膵臓の癌に対して、抗癌剤を内服・点滴する治療や、肝臓癌では足の付け根の動脈からカテーテルを挿入して癌のすぐそばまでカテーテルの先を進めてから抗癌剤を注入して癌を養う血管を詰める治療や、癌に針を刺してラジオ波で焼く治療が行われています。
リウマチ・膠原病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070560xxxxx00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等2なし 副傷病なし 40名 30.83日 14.93日 7.50% 60.15歳
070560xxxxx90x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等2-9あり 副傷病なし 11名 34.73日 22.02日 9.09% 43.27歳
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 10名 27.50日 14.23日 10% 61.60歳
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし - - 13.66日 - -
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2なし - - 6.98日 - -
①重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等なし
 全身性エリテマトーデスなどの全身性自己免疫性疾患に対して、ステロイドや免疫抑制剤による治療を行っています。例えばANCA関連血管炎では、腎病変があれば腎臓内科で腎生検をしていただき、リツキシマブやアバコパンなどで加療します。強皮症などに合併する肺高血圧症には、心臓内科で右心カテーテル検査をしていただき、エンドセリン拮抗薬、PDE5阻害薬などの薬剤で治療します。
 免疫抑制剤による副作用には早期に発見し適切に対応します。特に感染症を併発した場合は、抗菌薬による治療を適切に行います。

②重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 関節滑膜切開術等
 膠原病による臓器病変で外科的手術が必要になることがあります(例:血管炎による腸管穿孔に対する腸管切除術、関節リウマチによる関節破壊や変形に対する人工関節再置換術など)。
 また、肺炎後に肺膿瘍を合併した場合は外科的なドレナージの手術が必要になります。

③関節リウマチ 手術・処置等なし
 メトトレキサートを主体とした治療に加え、効果が不十分な場合はさらに生物学的製剤やJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬などの免疫抑制療法を行って、病気の活動性を抑えて痛みを取るだけでなく、骨破壊や関節変形に進まないようにしています。

※各診断群分類10件未満は「-」で表示
心臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1-なし、1,2あり 手術・処置等2なし 134名 4.24日 4.18日 0% 72.01歳
050070xx03x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2なし 119名 5.05日 4.47日 0.84% 72.18歳
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1-1あり 手術・処置等2なし 72名 3.32日 3.07日 1.39% 67.32歳
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1-なし、1,3あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 54名 10.96日 9.59日 0% 77.72歳
050030xx03000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1-なし、1あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 48名 9.52日 11.37日 4.17% 68.71歳
 当科では心血管疾患の診療を幅広く行っており、特に虚血性心疾患・不整脈・心不全の患者さんが多くを占めています。虚血性心疾患に対してはカテーテル治療を中心に行っており、急性冠症候群のような緊急疾患には24時間365日体制で対応しています。発症後できるだけ早くカテーテル治療による再灌流療法を行い、必要に応じて補助循環装置を用いたサポートや集中治療室での管理を組み合わせることで、心筋梗塞患者さんの救命に努めています。
 不整脈に関しては、頻脈性不整脈に対して薬物治療とともにカテーテルアブレーションを実施しています。特に心房細動に対する早期アブレーションの有効性が報告されており、対象患者数の増加に伴い当科での治療件数も今後さらに増えると考えられます。
 また、徐脈性不整脈に対してはペースメーカー治療を行っています。従来の経静脈ペースメーカーに加え、感染リスクが高いなどの条件に応じてリードレスペースメーカーの植え込みも導入しています。高齢化の進行により徐脈性不整脈の患者さんの増加が予想され、この分野の治療ニーズも拡大しています。
腎・高血圧内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 57名 15.19日 11.35日 3.51% 61.35歳
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2-1あり 56名 35.36日 33.81日 5.36% 68.39歳
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 副傷病なし 52名 10.65日 7.38日 3.85% 70.85歳
110280xx991xxx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1あり 45名 8.76日 6.01日 0% 52歳
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2なし 43名 29.53日 19.53日 6.98% 57歳
 日本だけでなく世界的にも、透析治療が必要となる末期腎不全の患者数は増加傾向にあります。また、腎臓病は心臓や脳など他の重要な臓器に障害をもたらすリスク要因であることも広く知られています。腎臓病では、血液検査で腎機能障害が確認されるだけでなく、多くの場合、血尿や蛋白尿などの尿検査異常も見られます。これらの異常は腎臓に何らかの障害があることを示す場合が多いですが、必ずしも原因を特定できるとは限りません。
 腎臓病の治療は基礎疾患ごとに異なるため、原因の特定は非常に重要です。原因を明らかにするために最も有用とされるのが「腎生検」です。腎生検は、腎臓の組織を採取して顕微鏡で観察し、診断を行う検査方法です。超音波ガイドを用いて体外から細い針を刺すだけで行えるため、検査時間も短く、開腹手術に比べて体への負担が少ないのが特徴です。
 当科は埼玉県内だけでなく全国的にも腎生検の実績が豊富で、安全に検査を行い、得られた結果に基づいて効果的かつ効率的な治療を提供しています。たとえば、日本で最も多い糸球体腎炎であるIgA腎症では、腎生検の結果をもとに将来的な腎機能低下のリスクを評価し、一定の基準を満たす場合には扁桃摘出術やステロイドパルス療法など、効果が報告されている治療を実施し、良好な結果を得ています。また、ネフローゼ症候群や急性進行性糸球体腎炎、急性腎不全など、重度の蛋白尿や急速な腎機能低下を伴う病態に対しても積極的に腎生検を行い、高い治療成績を挙げています。
 治療方法については、従来の免疫抑制療法に加え、一部の疾患では分子標的療法や抗体医薬など、疾患特異性の高い新しい治療も取り入れ、幅広い選択肢を提供しています。そのため、川越地域のみならず県内外の医療機関から多くの患者さんをご紹介いただき、治療にあたっています。
 一方で、原因に関わらず腎障害が進行すると「慢性腎不全」となります。慢性腎不全の治療目標のひとつは、病気の進行を抑え、透析治療への移行をできるだけ遅らせることです。そのため、当科では外来や入院での薬物療法、食事療法、安静療法などを通じ、進行をできるだけ遅らせることを目標にしています。
 慢性腎不全治療のもうひとつの目標は合併症の予防と管理です。慢性腎不全が進行すると、生命に関わる合併症が現れることがあります。当科では他診療科と連携し、責任をもって対応しています。また、慢性腎不全が進行すると腎代替療法(透析療法)が必要になります。当科では、透析導入の準備として「内シャント造設術」や「腹膜灌流用カテーテル留置術」を担当し、透析導入後も患者さんが安定して維持透析を受けられるよう、近隣透析施設と連携しながら全身管理や合併症管理に取り組んでいます。
 さらに、腎移植については臓器移植センターと連携し、献腎移植や生体腎移植を円滑に進めています。特に移植後の全身管理が重要なため、移植後外来では献腎移植を中心に当科が担当しています。
 このように、当科では腎疾患を持つ患者さんに対し、すべての病期にわたる継続的な治療を提供しています。腎機能障害や尿検査異常を指摘された方で、ご心配やご不明な点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 96名 16.32日 18.68日 62.50% 66.46歳
010060xx99x40x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等2-4あり 副傷病なし 77名 15.06日 16.89日 49.35% 69.05歳
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 65名 6.34日 9.83日 18.46% 75.86歳
010060xx02x40x 脳梗塞 経皮的脳血管形成術等 手術・処置等2-4あり 副傷病なし 55名 28.95日 23.71日 78.18% 75.25歳
010030xx991xxx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1あり 51名 3.39日 2.86日 0% 59.63歳
 当院脳神経外科では、脳腫瘍(神経膠腫、頭蓋底腫瘍など)や脳血管障害(脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病など)に対して、高度で専門的な治療を行っています。また、重症頭部外傷、小児脳疾患、周産期の脳神経疾患など、通常の病院では対応が難しい患者さんを受け入れ、地域における脳神経外科救急の最後の砦としての役割も担っています。「困っている患者さんを断らない」ことを信条としていることもあり、DPC集計上は、比較的軽症の頭部外傷や検査目的の入院症例が上位に挙がってきます。具体的には、「非外傷性頭蓋内出血」や「脳梗塞」といった救急疾患の患者さんが多く、特に再発や重症化を防ぐための迅速な対応と、必要に応じた脳血管内治療や手術を行っています。また、「未破裂脳動脈瘤」に対する精密検査や予防的治療、重症頭部外傷に対する手術治療も数多く行っており、命を守るだけでなく社会復帰を目指した治療にも力を入れています。一方で、これは当科が実際に重点を置いている分野(脳腫瘍・脳血管障害・脳神経外科救急医療)を必ずしも正確に反映しているものではない、ということも申し添えさせていただきます。当科の特色をよりご理解いただくために、詳しい診療内容については脳神経外科ホームページ(http:// https://www.smc-neurosurgery.com/)をご覧ください。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1なし 手術・処置等2-1あり 23名 22.48日 20.84日 0% 67.43歳
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 手術・処置等1なし 手術・処置等2-1あり 10名 21.60日 21.11日 0% 64.90歳
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 手術・処置等2-1あり - - 27.01日 - -
050161xx9900xx 大動脈解離 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし - - 16.32日 - -
050080xx0102xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1なし 手術・処置等2-2あり - - 35.25日 - -
 安心して患者さんが手術に臨めるよう術前準備期間、および術後退院までの回復リハビリテーションを確保しながら診療を行っており、入院期間は全国平均とほぼ同等です。安定期に入りましたら、多くの患者さんは紹介先および他院へ逆紹介させていただいております。

※各診断群分類10件未満は「-」で表示
肝胆膵外科・小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
06007xxx9904xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2-4あり 182名 4.59日 5.84日 1.10% 63.50歳
060050xx020xxx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 肝切除術 部分切除等 手術・処置等1なし 57名 12.16日 13.83日 0% 71.82歳
06007xxx010xxx 膵臓、脾臓の腫瘍 膵頭部腫瘍切除術等 手術・処置等1なし 49名 20.51日 27.83日 2.04% 67.80歳
06007xxx9906xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2-6あり 40名 4.63日 7.74日 0% 64.58歳
06007xxx9900xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 34名 10.65日 11.01日 2.94% 70.47歳
【肝臓・胆のう・膵臓領域】
 全国的に膵癌が増えています。膵癌は⾒つけにくいのみならず、癌の中でも最も予後が悪いとされております。しかしながら当院では、⼀般的には⼿術が困難とされる進⾏膵癌に対しても抗がん剤治療を先⾏し、膵癌の縮⼩を図ったうえで根治⼿術を⾏う術前化学療法を積極的に⾏っており、他施設から紹介された患者さんも来院されます。
 膵癌の患者さんは閉塞性⻩疸を伴っていることが多くあり、そのような場合はまずは⻩疸を下げる処置が必要です。消化器・肝臓内科に協⼒して頂き、内視鏡的減⻩処置(内視鏡的経⿐胆管ドレナージや胆管ステント等)を⾏ってから、抗がん剤や⼿術を⾏います。
進⾏膵癌では、腹部の重要⾎管に浸潤があることも多いのですが、詳細な画像検査を⾏った上で、病変とともに⾎管を合併切除し、再建する⼿術も多く⾏っております。他院で⼿術や治療が難しいと判断された⽅でも、治療が可能な場合もあります。
 当院では、腹腔鏡⼿術も積極的に⾏っており、胆のう結⽯に対する腹腔鏡下での胆のう摘出はもちろん、肝腫瘍に対する肝切除や、膵腫瘍に対しても腹腔鏡下の膵切除を⾏っております。また、ダビンチによるロボット膵切除・肝切除も実施しております。急性胆のう炎に対しては発症早期に腹腔鏡下での胆のう摘出を⾏い、⼊院期間の短縮を⽬指しております。

【小児外科領域】
 Top 5にありません。
血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 39名 3.33日 2.66日 0% 66.87歳
050170xx99000x 閉塞性動脈疾患 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 39名 4.92日 10.89日 0% 73.97歳
050163xx9900xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 37名 3.46日 7.58日 0% 77.92歳
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2なし 26名 11.92日 10.18日 3.85% 77.85歳
050170xx99001x 閉塞性動脈疾患 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病あり 20名 7.75日 19.45日 0% 70.75歳
 総合医療センター血管外科では、下肢閉塞性動脈硬化症、血管炎、バージャー病などの動脈閉塞性疾患や大動脈瘤・内臓動脈瘤など動脈瘤疾患、下肢静脈閉塞や静脈瘤などの静脈疾患など血管外科領域の疾患全般を対象に専門的な診療を行っています。
 最も多く行っている下肢動脈閉塞性疾患の手術では、特にCLTI患者は埼玉全域から多数紹介されており、そのため、在院日数は全国平均より長くなっていますが、患者さんの全身状態や組織欠損の進行に合わせて、バイパス手術だけでなく、血管内治療(EVT)および、その組み合わせのハイブリッド治療を行っています。当科でもEVTが増加傾向にあり、低侵襲性を考慮した適応を遵守すれば有効な治療法であり、今年からはハイブリッド手術室が導入され、より効率的な運用を行う予定です。侵襲が大きいバイパス手術も、局所麻酔と静脈麻酔を用いて安全に手術を行っており、術後合併症も迅速に対処することで結果として重症化を低く抑えられています。また術後の患者に関しては、リハビリ目的で転院する患者さんも多く、地域関連病院の連携がより重要となっています。
 腹部腸骨動脈瘤の手術では、ステントグラフト治療と人工血管置換術を患者の身体的リスクに応じてバランス良く施行しています。最近は、解剖学的(形態的)理由で、ステントグラフト治療が不能のため人工血管置換術に回る患者も多くなり、リスクの高く難易度が高い手術も対応してます。術後合併症の発生率、治療成績ともに良好な結果を残しており、術後の患者に関しては、全員が自宅への退院が可能となっています。
 静脈疾患は、うっ滞性静脈疾患が多く、圧迫療法など一定の入院期間が必要のため、入院期間が長くなる傾向があります。ただ、周囲の病院と連携して治癒傾向になったら早期の転院を計画しています。
乳腺科(ブレストケア科)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1なし 110名 11.27日 9.77日 0.91% 62.31歳
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 55名 6.11日 5.50日 0% 62.05歳
090010xx97x0xx 乳房の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 37名 4.00日 6.48日 0% 59.27歳
090010xx99x0xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2なし 22名 9.45日 9.75日 4.55% 64.64歳
110050xx02x0xx 後腹膜疾患 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 手術・処置等2なし 10名 3.00日 6.22日 0% 65.20歳
 入院患者さんのほとんどは手術目的です。乳腺悪性腫瘍症例の約1割程度は薬物療法による副作用や乳がん進行による救急処置等で入院による治療や管理が必要な症例となっています。そして、緩和医療となった症例に対しては連携施設へ転院することもあります。また、乳房部分切除術にはRFA(ラジオ波焼灼療法)によるものが含まれております。そして、乳房全切除術を行った一部の症例に対しては同時に乳房を再建する手術を施行しておりますが、当院でのシステムでは術後にブレストケア科から形成外科に転科となるため本データには反映されておりません。
 また、当院では生殖可能な乳癌患者さんには妊孕性温存についての説明を行い、妊孕性温存を希望する患者さんには当院の産婦人科と連携し妊孕性温存(卵子凍結、受精卵凍結)しながらの乳がん治療を積極的に行っております。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx02x0xx 肺の悪性腫瘍 肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの等 手術・処置等2なし 135名 10.87日 9.82日 0% 71.58歳
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 100名 2.16日 3.03日 0% 73.21歳
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 29名 11.14日 11.12日 0% 67.59歳
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 27名 9.56日 9.59日 0% 37.78歳
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1-2あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 24名 2.00日 2.98日 0% 72.21歳
 総合医療センター呼吸器外科では、肺癌、転移性肺腫瘍などの肺悪性腫瘍や自然気胸、胸部外傷、炎症性疾患、気管・気管支狭窄など呼吸器外科領域の疾患全般を対象に専門的な診療を行っています。
 肺悪性腫瘍の診療においては診断から治療までを担当し、手術では、標準術式はもとより難易度の高い手術である気管気管支再建術や血管形成術を駆使した機能温存手術、左心房や胸壁などを合併切除する拡大手術、胸腔鏡やダビンチ(手術支援ロボット)を用いた低侵襲手術など、様々な手術を行っています。手術以外にも化学療法、放射線治療を中心とした集学的治療を積極的に行い、緩和医療も取り入れて、予後の延長およびQOL(生活の質)の改善、維持に寄与しています。当センターは埼玉県中西部の中核総合病院であるため、合併疾患を有する方々も含め、他施設では治療に難渋する患者さんが数多く来院なさいます。そのため、在院日数は全国平均より若干長くなっていますが、術後合併症の発生率、治療成績ともに良好な結果を残しています。なお、術後再発症例を中心に積極的に化学療法や放射線治療を行っており、治療継続が困難となった患者さんには、緩和医療科と連携して在宅医療への移行や緩和医療施設への転院調整なども行っています。
 肺悪性腫瘍の次に多い気胸に対しては、若年者に多い自然気胸よりもご高齢で肺気腫や間質性肺炎を合併した難治性気胸の方々の治療を担当することが多いものの、在院日数は全国平均より短く、治療成績は良好で、全員がご自宅へ退院なさっています。
消化管・一般外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 120名 10.37日 14.81日 1.67% 71.01歳
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等2-4あり 副傷病なし 87名 7.38日 8.61日 1.15% 67.32歳
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 83名 17.35日 18.48日 6.02% 71.35歳
060040xx0300xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 直腸切除・切断術 切除術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 70名 10.61日 14.91日 2.86% 67.77歳
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 61名 4.95日 4.54日 1.64% 70.43歳
 食道がん、胃がん、大腸がんを中心とした消化管癌の外科的治療を主軸とした集学的治療を積極的に行っています。地域や病院の特性上、高齢者や併存疾患のある患者さんの比率が高いのが特徴の一つです。
 近年注目されているがんゲノム医療もゲノム診療科と連携し、高い専門性を維持しつつ総合的に診療することを心がけております。がんなどの悪性腫瘍以外にも、外科的治療が必要な状態の炎症性腸疾患、穿孔性腹膜炎などの腹部救急疾患や鼠径ヘルニア等、幅広い診療を行っております。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 58名 8.07日 6.22日 0% 1.09歳
0400801199x0xx 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2なし 51名 7.90日 5.61日 1.96% 5.82歳
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2なし 副傷病なし 50名 7.24日 6.38日 6% 3.70歳
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2なし 41名 7.49日 6.98日 0% 2歳
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2なし 32名 5.63日 5.55日 0% 4.16歳
 2024年は2023年に引き続き上位に「急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他)」「肺炎等(1歳以上15歳未満)手術なし 手術・処置等2なし」「喘息 手術・処置等な2なし 副傷病なし」「インフルエンザ、ウィルス肺炎 手術・処置等2なし」と上位4位までで気道感染症を多く占め急性期疾患の入院が多かったです。当科の在院日数は全国平均より1~2日長いですが、医療的ケア児や先天性心疾患などの基礎疾患を持つ児の入院が多いためだと思います。引き続き、救急患者の積極的な診療に励んでいきたいと考えています。
小児科(新生児)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2なし 159名 10.77日 11.83日 0.63% 0歳
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 152名 6.72日 6.11日 3.95% 0歳
140010x199x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 手術なし 手術・処置等2-1あり 30名 11.43日 10.60日 10% 0歳
140010x299x2xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2-2あり 23名 31.70日 - 0% 0歳
140010x299x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2-1あり 17名 26.76日 23.19日 5.88% 0歳
 一年間に生まれてくる新生児の数はついに68万人まで減ってしまい、我が国の少子化はさらに一層深刻の度合いを増しています。一方で、生まれてくる一人一人の新生児は、ご家族だけでなく社会にとってもとても貴重な存在になっているということでもあります。
 当センターは埼玉県内に2カ所ある総合周産期母子医療センターの一つで、年間およそ650人の新生児が入院し、そのうちの約半数は出生体重が2500 g未満の低出生体重児です。最近は、出生体重が1000 g未満の特別に小さな児も少なくありません。昨年度も多くの低出生体重の赤ちゃんが入院し、多くの子ども達が元気にご家族の元へ帰って行きました。
 どんなに小さく生まれようとも、また、どんなに大変な状態で生まれようとも、一人一人の赤ちゃんが元気になってご家族の元に帰って行くこと。そして健やかに成長してゆくことを願って、私たちは引き続き、毎日精一杯努力して行きたいと思います。
小児救命救急センター
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 32名 11.34日 6.22日 18.75% 0.78歳
140590xx97xxxx 停留精巣 手術あり 14名 3日 2.96日 0% 1.21歳
060160x101xxxx 鼠径ヘルニア(15歳未満) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 14名 3.07日 2.73日 0% 1歳
150040xxxxx0xx 熱性けいれん 手術・処置等2なし 13名 3.15日 3.51日 0% 2.15歳
040070xxxxx1xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2あり 11名 12.64日 15.44日 9.09% 1.64歳
 当院の小児集中治療室(PICU)は院内、院外、疾患の種類の有無にかかわらず、すべての小児の重症患者に対して24時間、365日対応しております。
 小児の重症の内科疾患においては呼吸不全が多く、肺炎、細気管支炎、慢性呼吸不全、ARDSなどの症例が多くなります。外科疾患においては術後、無呼吸を起こすような乳児の鼠径ヘルニアや停留睾丸の手術、術後気道狭窄を起こす扁桃&アデノイド手術、ハイリスクな重症心身障害の気管切開、胃ろう手術、術後管理が必要な先天性心疾患手術、脳外科手術、外傷疾患に対する手術などに対応しています。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 230名 13.81日 9.40日 0% 35.07歳
120170x199xxxx 早産、切迫早産(妊娠週数34週未満) 手術なし 89名 38.64日 19.47日 10.11% 33.62歳
120170x101xxxx 早産、切迫早産(妊娠週数34週未満) 子宮破裂手術等 65名 47.34日 35.98日 0% 32.35歳
120260x001xxxx 分娩の異常(分娩時出血量2000ml未満) 子宮破裂手術等 62名 9.26日 9.34日 0% 34歳
120160xx01xxxx 妊娠高血圧症候群関連疾患 子宮破裂手術等 52名 16.37日 12.73日 0% 36.81歳
 当院総合周産期母子医療センターは国内最大規模であるため、妊娠28週未満に出生する可能性のある非常に重症な切迫早産症例が多いことが特徴です。
 極力早産を防ぐべく、子宮収縮抑制薬を最大量まで使用し、早産の主原因である絨毛膜羊膜炎に対しては、厳格な抗生物質による治療を行っていますが、治療に抗して早産となる症例も少なくありません。胎児の状況を勘案して、可能な限り負荷を少なくするため、分娩様式はしばしば帝王切開が選択されますが、スムースな経腟分娩が予想される場合は経腟分娩も行っています。
 また、多胎妊娠症例も年間120〜130例あり、これもDPCコード120170の多い一因となっています。さらに、埼玉県から委託された「母体救命コントロール事業」では、前置癒着胎盤や脳出血のリスクの高い妊娠高血圧症候群などの搬送を原則全例応需しているため、DPCコード120180、120260、120160が多い一因となっています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 157名 6.90日 5.88日 0% 43.56歳
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 126名 6.37日 5.97日 0% 43.69歳
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 52名 10.90日 9.84日 0% 59.52歳
120090xx97xxxx 生殖器脱出症 手術あり 49名 9.00日 7.74日 0% 70.53歳
120010xx97x00x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 45名 6.16日 8.50日 0% 62.87歳
 当院には国内最大級の規模を持つ周産期センターがあるため、産科の症例数を多く取り扱っていますが、不妊症治療や悪性腫瘍を含む婦人科手術にも力に入れています。特に近年では内視鏡手術が充実しており、子宮筋腫、卵巣嚢腫、高齢女性の骨盤臓器脱に対する手術のほとんどが腹腔鏡またはロボット(Da Vinciシステム)を用いて行われています。初期の子宮頸部悪性腫瘍では子宮を温存しています。生理痛、生理不順、赤ちゃんが欲しい~妊娠、出産、更年期など、女性の身体は年齢によって様々に変化していくため、そのライフサイクルの中で遭遇する悩み事も様々です。私達は、多くの女性の方々の力になれるように、幅広い分野に対応できる充実した設備を持っています。
内分泌・糖尿病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2-1あり 47名 10.70日 13.77日 2.13% 70.36歳
100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 25名 5.88日 5.35日 0% 63.32歳
100202xxxxxx0x その他の副腎皮質機能低下症 副傷病なし 18名 6.72日 8.86日 5.56% 52.33歳
100180xx991xxx 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 16名 3.63日 3.88日 0% 52.38歳
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 手術・処置等2なし 副傷病なし 11名 12.00日 13.07日 9.09% 60.09歳
 内分泌・糖尿病内科では埼玉県地域医療計画に基づき地域医療連携を通した専門診療を実施しており、医療圏における糖尿病重症化予防対策と難治性希少疾患の診断治療を重点的に取り組む方針を取っています。また、1型糖尿病症例に対して積極的にインスリンポンプなどを導入し治療をしています。急性期医療としての入院診療では糖尿病ケトアシドーシスや非ケトン性高浸透圧状態患者を多く診療する一方で、糖尿病を合併する外科症例、救急症例そして周産期症例等の難易度の高い症例の診療実績が多く、当科では積極的にチーム医療を推進し看護部、薬剤部、栄養部による多職種チームである代謝メディカルチームによる疾患横断的な栄養代謝管理を行っています。 
 また、近年では内分泌疾患を数多く診療し、特にバセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患の症例数は群を抜いており、下垂体内分泌疾患、副腎内分泌疾患、また性腺内分泌疾患等の専門的な内分泌拠点医療機関として機能しています。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130010xx97x2xx 急性白血病 手術あり 手術・処置等2-2あり 29名 44.66日 35.63日 0% 54.28歳
130030xx99xBxx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2-Bあり 22名 20.55日 12.23日 0% 71歳
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2-4あり 17名 14.00日 8.65日 0% 67.35歳
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2-5あり 16名 31.50日 19.30日 0% 57.81歳
130060xx97x00x 骨髄異形成症候群 手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 12名 20.67日 15.01日 25% 71.50歳
 血液内科では急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器腫瘍に対する入院化学療法治療を数多く行っておりますが、新規治療薬の増加による予後の改善によって再発例や高齢者といった重症例に対する治療が増えています。
 1列目の「急性白血病 手術あり」では従来治療法のなかった高齢者に対する化学療法が開発されたため、治療適応となった高齢の患者数が増加していることと、同種造血幹細胞移植の症例が増えていることから在院日数の延長につながっているもと考えます。今後、長期入院症例に対しては連続した入院を避けて、体調や病状に応じて退院を挟むようにして在院日数の短縮を目指したいと思います。
 悪性リンパ腫では患者のQOLを考慮して入院をせず外来で化学療法を導入する例も増加しておりますが、再発例や高齢者でADL不良例が多いこと、新規治療法が導入され副作用への対応が必要になっていることから入院が長くなっているものと考えます。特に、高齢者やADL不良例に対して入院早期から多職種介入と介護保険申請などによる自宅環境整備を早期に整えることで短縮に努めたいと思います。治療不適応例に対しても入院早期から転院準備を進めたいと思います。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2-4あり 副傷病なし 133名 8.05日 8.16日 0% 73.96歳
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 73名 4.34日 3.03日 1.37% 75.68歳
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 51名 13.92日 13.41日 19.61% 74.53歳
040040xx9905xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2-5あり 33名 22.61日 18.72日 0% 72.18歳
040110xxxx00xx 間質性肺炎 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 31名 22.90日 18.68日 12.90% 74.45歳
 当科では、さまざまな呼吸器疾患を扱っています。外来を受診された患者さんで、入院が必要な場合は、当科の入院病床には限りがあるため、近隣の病院へお願いすることがあります。その状況の中でも、呼吸器内科の専門的な診療を必要とする場合は、当院での入院をお願いしています。その中で、肺がんを疑われる患者さんの気管支鏡などによる生検診断のための入院や、診断後の治療のための入院、間質性肺炎の治療のための入院が多くなっています。また、これら疾患に関して専門的に診療している病院は近隣になく、転院後も引き続き当科で診療を継続させて頂くことが多いような状況です。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010110xxxxx40x 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術・処置等2-4あり 副傷病なし 20名 22.60日 15.45日 5% 56.95歳
010155xxxxx00x 運動ニューロン疾患等 手術・処置等2なし 副傷病なし 17名 11.41日 12.28日 0% 64歳
010090xxxxx0xx 多発性硬化症 手術・処置等2なし 16名 16.13日 11.75日 0% 44.88歳
010080xx99x0x1 脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし 手術・処置等2なし 15歳以上 11名 19.64日 15.94日 27.27% 59.18歳
010170xx99x00x 基底核等の変性疾患 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - - 14.97日 - -
(1)免疫介在性・炎症性ニューロパチー ガンマグロブリンあり
 当科のギラン・バレー症候群(GBS)、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)をはじめとする免疫性ニューロパチー入院症例数は国内有数の実績を誇り、治療介入臨床試験も積極的に行っております。これらの疾患について、当科での平均在院日数22.60日が全国平均15.45日よりも多く、転院率が約5%と比較的低い理由として、重症でかつ専門的治療を継続的に必要とする症例の来院・紹介が多いことがあります。ガンマグロブリンの供給が全国的に滞っていることも、神経免疫疾患を多数集め、集約的に診療を行っている当科に症例が集中する要因となっています。
 当科では免疫グロブリン療法、血漿浄化療法を積極的に行い、かつ先進的高度医療を積極的に取り入れ、可能な限り平均在院日数の短縮につながるよう治療にあたっております。

(2)脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし
 当科では、重篤で集中治療を要する感染性脳炎、感染性髄膜脳炎例の入院が多く、かつ免疫性疾患、変性疾患との鑑別が難しい非典型的感染性脳脊髄炎、髄膜炎例が診断・治療目的で紹介される場合が多いことが特徴です。そのため、診断、治療および回復までの期間に時間を要する症例の割合が多く、平均在院日数19.64日が全国平均15.94日よりも多くなっております。
 今後も重症例、難治例、診断困難例の紹介を積極的に受け入れ、引き続き早期診断に務め、早期かつ的確な治療を行い、重症度の高い患者には早期から集中管理下で高度医療を積極的に施行していきます。

(3)多発性硬化症
 当科は多発性硬化症の診療において国内有数の実績を誇っております。入院診療では、新規診断の症例、再発の症例が含まれます。他施設から治療抵抗例、診断難渋例の紹介が増えております。新規症例につきましては引き続き早期診断、早期治療を行い、疾患活動性の高い患者へは早期から治療効果の高い疾患修飾薬の投与を行っていきます。

※各診断群分類10件未満は「-」で表示
総合診療内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし - - 13.66日 - -
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く。) 副傷病なし - - 8.02日 - -
040170xxxxxxxx 抗酸菌関連疾患(肺結核以外) - - 10.46日 - -
180020xxxxxxxx 性感染症 - - 9.96日 - -
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし - - 12.98日 - -
 新型コロナウイルス感染症やインフルエンザウイルスなどのウイルス性疾患、デング熱やマラリアなどの輸入感染症、リケッチア感染症のような人畜共通感染症、肺外結核や非結核性肺抗酸菌症、神経・眼梅毒を中心とした性感染症などに加えて、尿路感染症や黄色ブドウ球菌感染症(手術適応のない感染性心内膜炎や化膿性椎体炎、関節炎)などの一般細菌感染症が上位を占めた。当科では大学病院、地域の中核病院の総合診療内科として、近隣医療機関で診断困難な不明熱症例や難治性全身感染症(感染源不明な敗血症、HIV、輸入感染症、真菌症、梅毒、抗酸菌症)、新興・再興感染症など専門性の高い臓器不定疾患に対応しており、地域の中核病院としての役割を果たしたいと考えている。

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整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 125名 18.14日 18.76日 1.60% 69.02歳
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 124名 22.59日 21.38日 8.87% 75.19歳
160620xx01xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。) 腱縫合術等 93名 10.86日 12.71日 1.08% 37.91歳
160610xx01xxxx 四肢筋腱損傷 関節鏡下肩腱板断裂手術等 58名 7.67日 16.15日 0% 68.05歳
070050xx97xxxx 肩関節炎、肩の障害(その他) 手術あり 32名 12.44日 20.26日 9.38% 74.69歳
・股関節骨頭壊死、股関節症変形性股関節症
 股関節骨頭壊死、股関節症変形性股関節症(加齢によって関節の軟骨がすり減り痛みが生じている病態)や大腿骨頭壊死(股関節の太もも側の骨が何らかの原因によって潰れている病態)、関節リウマチによる関節破壊に対して、人工股関節全置換術を行っています。手術方法を工夫し股関節の安定性に重要な役割を果たす靭帯を温存するようにしたところ、早期に歩行自立を達成される患者さんが多くなり患者数も増加し、2024年の入院期間は在院日数が18.1日と短縮しました。病院の特徴として重篤な全身合併症を抱えておられる患者さんも多く、そういった患者さんの入院が長期にわたる例もありますが、特に手術後に問題がない場合は、2週間ほどで退院される患者さんがほとんどです。

・膝関節症
 人工膝関節置換術は、変形性膝関節症(加齢によって関節の軟骨がすり減り痛みが生じている病態)に対する最も一般的な手術法です。変形の程度や活動度に応じて、関節をすべて人工関節に変える全置換術とするか、変形の強い部分だけを変える部分置換手術とするか選択します。入院期間は片側手術であれば術後2週間程度で退院する患者さんがほとんどですが、両側同時手術を行う患者さんや多くの合併症を持っておられる高齢患者さんなどでは少し長くなります。平均在院日数が22.6日で、8.9%の方が転院されました。また関節変形が重度ではない症例に対しては、膝周囲骨切り術も行っています。骨切り術の利点は、関節が温存されるため術後の活動に制限がなく、しゃがみ動作など膝を深く曲げることも可能なことです。若くて活動性の高い患者さんにお勧めしています。

・肘、膝の外傷
 膝の外傷では、前十字靱帯損傷、半月板損傷に対する関節鏡手術を多く手がけています。関節鏡は低侵襲で様々な処置を行うことができ、膝関節では一般的な手技ですが、合併症なく行うには技術的な慣れが必要で多くの手術件数を熟している必要があります。半月板損傷に対しては関節軟骨保護、膝関節機能のため、できるだけ切除術ではなく縫合術を選択し半月板温存を図るようにしております。また、救急に力を入れている当院の特色もあって、交通外傷による後十字靭帯損傷に対する手術も多く手がけています。
 数は多くありませんが、肘関節鏡も行っています。野球をはじめとするスポーツや加齢によって生じた変形や遊離体(関節ねずみ)に対する切除術を中心に行っています。

・四肢筋腱損傷
 当科での四肢筋腱損傷に対する治療の多くは、腱板という肩を支える組織に生じた断裂を修復する腱板縫合術です。一度に大きな力が加わって断裂することよりも加齢によって擦り切れて断裂することが多いため、中高年者に多く見られます。腱板断裂を生じると上肢の挙上が痛みや脱力のため困難となったり、夜間痛を生じたりします。注射やリハビリテーションなどの保存療法で改善しない場合が手術適応となります。当院では腱板縫合は関節鏡による低侵襲手術で行っており、早期の回復が見込めます。入院期間は1週間~10日ほどです。手術後は肩を装具で固定しますが、外来でのリハビリテーションで徐々に肩の動きを拡大していきます。腱板縫合術は術後の疼痛が強いことが多いため、麻酔科の協力を仰ぎ、神経ブロックにより術後疼痛の緩和を図っています。

・肩関節周辺の骨折・脱臼、その他の手術あり
 肩関節周辺の骨折・脱臼に対して、切開しての骨接合術が行われることもありますが、主には肩関節内視鏡を用いた損傷部位の修復手術や人工関節置換術などを行っています。平均在院日数は全国平均よりも大幅に短く、今後も患者数が増加する見込みです。
形成外科・美容外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2なし 53名 3.06日 2.74日 0% 73.04歳
070520xx97xxxx リンパ節、リンパ管の疾患 手術あり 38名 10.32日 7.87日 0% 63歳
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 手術あり 手術・処置等1なし 25名 4.48日 4.65日 0% 44.56歳
160200xx030xxx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1なし 23名 3.04日 3.31日 0% 21.74歳
160200xx020xxx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 眼窩骨折観血的手術(眼窩ブローアウト骨折手術を含む。)等 手術・処置等1なし 14名 7.14日 5.98日 0% 35.14歳
1. 眼瞼下垂
 上まぶたが加齢や外傷、その他の原因により下がってしまう状態で、まぶたが開けにくくなるため視野にも影響し、物が見えづらくなるなど日常生活にも影響します。 
形成外科ではこのような状態に対して手術を行うことで、しっかり眼を開けることができるようにします。また、まぶたは見た目にも重要な部分ですので、できるだけ整容面を配慮した治療を心がけています。症例数は年々増加傾向であり、主に数日の短期入院で治療を行っています。また、眼瞼下垂だけでなく、まぶたの腫瘍などの治療も積極的に行っております。

2. リンパ浮腫
 リンパ浮腫は乳がんや卵巣/子宮がんなどの治療後にリンパの流れが悪くなることで生じる難治性、進行性の浮腫(むくみ)です。むくみといえども重症化し、象の足のようになることもあるため、適切な治療が必要です。当科では積極的に外科療法(手術)と保存療法(弾性着衣を用いた圧迫療法など)を上手に組合せながら治療を行うことで良好な治療成績が得られております。手術の入院期間中に圧迫療法や運動療法を集中的に行い、浮腫を最大限減らす取り組みをしています。
 また、乳がんの手術後はリンパ浮腫だけでなく、乳房切除後の変形など整容面も問題となりますので、乳房再建にも力を入れております。

3. 骨軟部良性腫瘍
 脂肪腫という良性腫瘍は四肢、体幹など全身に生じる可能性があり、軟部腫瘍の中でも頻度が高いものです。良性・悪性の鑑別は画像診断および切除検体の病理検査にて行われます。良性でも放置すると大きくなることがあり、また大きさが5cmを越えるものは悪性の可能性も出てきますので、切除するほうが望ましいのですが、形成外科では体の部位に応じた切開の仕方や、術後の傷ができるだけ目立たなくなるような工夫を行っています。

4. 顔面損傷・鼻骨骨折
 顔の中でも鼻は機能のみならず、審美的な要素も大きい部位です。形成外科では顔の傷や骨折などに対して機能面・整容面(外見)の両面について考慮した治療を行います。基本治療は手術となりますが、すべての症例に必要なわけではなく、機能や外見に影響しない程度の損傷であれば手術をせずに様子を見ることもあります。

5. 顔面損傷・眼窩骨折
 眼窩骨折では眼球を守っている周りの薄い骨が骨折することで、目の動きが悪くなったり、物が二重に見えたりする症状が特徴です。治療は手術で骨折した部分を再建しますが、その際に自然に分解される素材を用いて骨折部を覆うなど、できるだけ体の負担の少ない方法を選択するようにしています。また眼科医にも相談し、眼球の動きやものの見え方を評価してもらうなどの連携も取りながり治療にあたります。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 89名 6.81日 5.63日 1.12% 44.06歳
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 88名 8.15日 7.35日 0% 24.52歳
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 81名 7.48日 5.84日 0% 53.67歳
030428xxxxx0xx 突発性難聴 手術・処置等2なし 48名 8.04日 8.21日 0% 60.33歳
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 43名 6.60日 6.68日 0% 50.63歳
 扁桃周囲膿瘍、突発性難聴は緊急入院の対象となる疾患で、全国的に見てもかなり症例数が多いです。慢性副鼻腔炎に対しては内視鏡下鼻・副鼻腔手術が主たる治療になり、扁桃、アデノイドの慢性疾患に対しては口蓋扁桃摘出術やアデノイド切除術が主たる治療になります。唾液腺腫瘍に対しては、耳下腺腫瘍摘出術または顎下腺摘出術を施行しております。また、突発性難聴に対しては副腎皮質ステロイド投与療法(点滴)を中心とする治療を行っております。いずれの疾患の在院日数は全国平均在院日数とほぼ同等となっています。また、これら5つの疾患の治療は当科のみで完結しています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 715名 3.03日 2.49日 0% 76.17歳
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり 両眼 86名 3.66日 4.29日 1.16% 75.87歳
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 片眼 66名 5.00日 7.53日 0% 57.30歳
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 34名 4.29日 5.47日 0% 67.47歳
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 片眼 32名 4.03日 4.83日 3.13% 66.63歳
 白内障手術は、散瞳不良、進行例、水晶体振盪、水晶体脱臼などの難易度が高い症例、高齢や全身合併症のため入院が必要な症例、認知症などのため全身麻酔下での手術が必要とされる症例などが紹介されてくることが多いです。
 全身麻酔下での白内障手術は両眼同時に行うこともあります。白内障手術は原則、2泊3日の入院で行っていますが、全身状態が悪い方や遠方の患者さんは、入院退院の負担を軽減するため、3泊4日〜5泊6日の入院で片眼ずつ両眼の白内障手術を行うことがあります。1泊2日入院や日帰り白内障手術に関しては検討中です。網膜剥離、⻩斑前膜、⻩斑円孔、糖尿病網膜症、硝子体出血などに対する網膜硝子体手術が多いのも基幹病院としての特徴です。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 47名 18.89日 12.98日 2.13% 58.77歳
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 31名 8.42日 9.33日 0% 63.52歳
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1なし 24名 6.17日 3.77日 0% 53.67歳
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし 23名 10.30日 6.92日 0% 78.04歳
080110xxxxx0xx 水疱症 手術・処置等2なし 19名 38.47日 28.94日 5.26% 76.47歳
1)膿皮症:皮膚の細菌感染症である「蜂窩織炎」や「丹毒」が中心です。重症化し易い糖尿病患者や免疫抑制剤を使用中のリウマチ疾患患者、高齢者も受け入れています。抗生剤治療に加えて、必要に応じて壊死組織の外科的切除、持続陰圧療法なども行っています。

2)帯状疱疹:顔面の帯状疱疹や汎発疹を伴う重症例は即日入院とし、7日間の抗ウイルス薬の点滴治療を行っています。後遺症を軽減するために遅滞のない十分な治療を心掛けています。

3)皮膚の良性新生物:「脂肪腫」や「色素性母斑(ほくろ)」、「脂腺母斑」が中心です。多くの方は術後早期に退院し、外来再診時に抜糸しています。術後に長期安静が必要な「巨大腫瘍」や「毛巣洞」は創部が落ち着くまで入院としているため、平均在院日数が全国平均よりもやや長めになっています。

4)皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外):「扁平上皮癌」や「基底細胞癌」が中心ですが、「外陰部乳房外パジェット病」にも対応しています。腫瘍切除後に単純縫縮が困難な場合は、皮弁形成術や植皮術、人工真皮固定術を行っております。

5)水疱症:自己免疫性水疱症(「天疱瘡」や「類天疱瘡」)が中心です。副腎皮質ホルモンの内服・外用治療のほか、難治例ではステロイドパルス療法や免疫抑制薬治療、免疫グロブリン大量療法、血漿交換療法を組み合わせて対応しています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 180名 2.84日 2.45日 0% 71.94歳
110080xx03xxxx 前立腺の悪性腫瘍 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術 90名 2.53日 2.59日 0% 77.20歳
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 72名 12.08日 11.11日 0% 70.97歳
11001xxx01x0xx 腎腫瘍 腎(尿管)悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 68名 10.09日 10.12日 0% 67.74歳
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 副傷病なし 55名 7.49日 5.16日 1.82% 60.64歳
・110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり
 前立腺針生検は、前立腺癌の診断を確定し、治療方針を正確に決めるために必須の検査です。
 当センターでは、経直腸超音波ガイド下経会陰生検法を採用しています。感染の合併症が少なく、局所麻酔で施行できる利点があります。

・110080xx03xxxx 前立腺の悪性腫瘍 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術
 前立腺への放射線治療を行う際に、前立腺内に金のマーカーを挿入しています。
 これにより照射の精度を上げることが可能となり、周囲臓器の被爆の低減にもつながると考えられます。

・110080xx01xxxx前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等あり
 当センターでは2020年10月よりダヴィンチ・システムを用いたロボット支援前立腺全摘除術を導入しました。根治性を維持しつつ、より低侵襲な治療を提供しています。

・11001xxx01x0xx 腎腫瘍 腎(尿管)悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし
 当センターでは2022年9月よりダヴィンチ・システムを用いたロボット支援腎尿管全摘除術を、2023年8月よりダヴィンチ・システムを用いたロボット支援腎摘除術を導入しました。根治性を維持しつつ、より低侵襲な治療を提供しています。

・11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 副傷病なし
 腎結石、尿管結石に対する標準的手術です。当センターでは、合併症などが原因で他院での治 療が難しい患者さんに対し、麻酔科をはじめとした各診療科と連携を取り安全な治療の提供を心がけています。大きな腎結石に対しては、経皮的結石破砕術と組み合わせて行う手術(ECIRSと略称されます)をご提案することもあります。
 最近は、安全面に配慮しつつ抗凝固薬・抗血小板薬の内服を継続したままでの治療も行っています。
高度救命救急センター
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160870xx01x00x 頸椎頸髄損傷 脊椎、骨盤脱臼観血的手術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 95名 25.77名 28.80名 68.42% 71.97歳
160870xx01x1xx 頸椎頸髄損傷 脊椎、骨盤脱臼観血的手術等 手術・処置等2あり 45名 53.16名 44.89名 88.89% 74.04歳
160690xx01xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 脊椎、骨盤脱臼観血的手術等 42名 28.86名 30.34名 59.52% 56.98歳
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 副傷病なし 30名 2.87名 3.58名 3.33% 36.47歳
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 24名 7.63名 7.99名 8.33% 61.67歳
 当院の救命センターは埼玉県で2施設しかない高度救命救急センターの一つであり、また、埼玉県で唯一のドクターヘリ運行施設であることから、埼玉県の救急医療の最後の砦と位置付けられています。重病や重症外傷など様々な患者さんが救急車やドクターヘリで搬送されてきますが、当院は特に重症外傷の患者さんが集中的に搬送されてくるのが特徴です。
 TOP5の1位は頚椎頚髄損傷手術症例のうち、術後人工呼吸器管理を行なわなかった症例、2位は頚椎頚髄損傷手術症例のうち、術後人工呼吸器管理が必要だった症例で、3位は胸椎腰椎の脊椎脊髄損傷手術症例となっており、県内にとどまらず、埼玉の周辺の都県からも患者さんが転院搬送で送られてきています。その理由は、当院が脊椎脊髄損傷の重症例に対して、全国に先駆けて緊急手術を行なってきたためです。これらの重症例の転院要請は全て応諾し、院内各部門と協力し、たとえ真夜中でも緊急手術を行っています。
 心筋梗塞や脳梗塞は発症から治療開始までの時間を短縮することが重要で、以前は救命センターでの治療が多かったのですが、全国的に心筋梗塞は心臓内科、脳梗塞は脳神経外科が救急車の受け入れから、緊急処置、集中治療、退院まで治療を行なうようになってきました。同様に、1分1秒を争う緊急処置が重要視されている外傷が頚髄損傷です。当院高度救命救急センターでは、この重症外傷に対し緊急手術、集中治療、急性期リハビリテーション、再生医療などあらゆる手を尽くすことによって、他の救命センターでは達成不可能な高い救命率と麻痺の改善率を獲得しています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 79名 20名 31名 37名 118名 26名 1 8
大腸癌 35名 94名 102名 77名 185名 60名 1 8
乳癌 69名 98名 31名 15名 25名 35名 1 8
肺癌 150名 48名 127名 268名 145名 188名 1 8
肝癌 14名 17名 - 27名 80名 65名 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
当院では早期がんに対する内視鏡治療をはじめ、胸腔鏡や腹腔鏡を用いたからだに負担の少ない手術や、抗がん剤治療、放射線治療や痛みの管理などの緩和ケア等、患者さんの病期に応じた医療を提供しています。また、初発症例だけでなくStageⅢ~Ⅳの進行癌や再発症例も多く診療しています。

※Stage 0は集計対象外
※各病期分類10件未満は「-」で表示

【参考】
・国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん情報」
 URL: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
・国立がん研究センター がん情報サービス
 胃がん   URL:https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/index.html
 大腸がん URL:https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/index.html
 乳がん   URL:https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/index.html
 肺がん   URL:https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/index.html
 肝がん   URL:https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/index.html
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 18名 13.22日 54.22歳
中等症 68名 16.74日 70.79歳
重症 19名 18.89日 76.53歳
超重症 15名 21.67日 73.87歳
不明 - - -
日本呼吸器学会が定めている年齢や検査データ、身体の状態によって重症度を分類するA-DROPスコアを用いて集計しています。患者さんの状態に応じて高度救命救急センターやGICUにて治療を行うこともあります。

※各重症度10件未満は「-」で表示
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 287名 21.09日 73.52歳 49.35%
その他 21名 18.38日 64.43歳 1.95%
 当院は、2017年4月脳血管センター開設に始まり、2020年一次脳卒中センター認定、2023年一次脳卒中センターコア施設の認定を受け、川越比企地区約50万人の脳卒中重要拠点病院として24時間365日診療を行っています。また、埼玉県急性期脳梗塞治療ネットワーク(SSN)の基幹病院であり、近隣地域の救急隊、他の医療機関と緊密に連携し、脳梗塞をはじめとする超急性期脳卒中診療に積極的に取り組んでいます。
 当院の脳卒中症例の特色として、心原性脳梗塞をはじめとする多臓器疾患の合併症例が多く、診療科をまたいで緊密に連携をとり、血栓溶解療法(t-PA静注療法)や脳血管内治療(カテーテル治療)など高度な治療を積極的に行い、治療件数も年々増加し年間100件以上と実績も重ねています。
 2024年度の脳梗塞の総件数は308件(3日以内287件、その他21件)で、そのほとんどが3日以内に入院し、平均在院日数も20日前後で超急性期病院としての役割が示されています。今後も地域としての役割を果たし、また院内の多職種連携も緊密に行い、脳卒中専門看護師、リハビリ、ソーシャルワーカー、薬剤師などと連携を積極的に行い、チームとして円滑に診療してまいります。

(文責:脳神経外科教授 脳血管センター長 飯星 智史)
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
消化器・肝臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 292名 1.20日 1.23日 0% 68.85歳
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 132名 1.78日 7.26日 3.79% 71.24歳
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル以上 74名 1.31日 2.26日 0% 66.84歳
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 69名 1.67日 4.49日 0% 73.72歳
K654 内視鏡的消化管止血術 55名 1.29日 11.13日 9.09% 73.38歳
 大腸のポリープは良性でも将来、癌になる可能性があるので、ある程度の大きさになると大腸のカメラ(内視鏡)を使って切除します。
 胃や十二指腸のポリープ、さらに早期の胃癌も内視鏡で切除可能です。また、食道や胃、大腸の出血もまず内視鏡で観察して、出血している血管をクリップで挟んだりして止血を試みます。さらに極めて高度な治療として、胆管が炎症や癌などにより狭くなったり途絶したりした場合には、内視鏡でチューブを挿入して胆管を広げるステント留置術を行います。
 また、肝臓の癌に対して足の付け根の動脈からカテーテルを挿入して癌のすぐそばまでカテーテルの先を進めてから抗癌剤を注入し、癌を養う血管を詰める治療も数多く行われています。
心臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 136名 2.60日 3.43日 2.21% 72.04歳
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 112名 1.96日 2.97日 2.68% 71.94歳
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術 不安定狭心症に対するもの 59名 0.03日 14.03日 10.17% 67.98歳
K5481 経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの) 高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルによるもの 30名 1.87日 1.63日 0% 76.53歳
K597-2 ペースメーカー交換術 22名 1日 6.64日 0% 78.68歳
 心臓内科では、冠動脈の狭窄や閉塞による虚血性心疾患と、不整脈に対するカテーテル治療を積極的に行っています。
 虚血性心疾患の治療では、手首や肘、足の付け根からカテーテルを局所麻酔で挿入し、冠動脈の狭い部分にガイドワイヤーを通します。その後、風船で血管を広げ、続けてステント(金属の筒)を入れて血流を確保します。突然発症する急性冠症候群にも、24時間体制で緊急治療を行っています。
 不整脈に対しては、特に心房細動のカテーテルアブレーションを多く行っています。心房細動は脳梗塞や心不全の原因となる不整脈で、動悸を伴うこともあります。アブレーションでは、肺静脈の入口を焼灼して不整脈の原因となる異常な電気信号を遮断します。近年、早期治療の有効性が示されており、幅広い患者さんが対象となっています。
 高齢化に伴い心房細動やその他の不整脈は今後さらに増加すると予想されます。そのため、当科ではより安全で体への負担が少ない治療方法を導入し、確実な成果が得られる診療体制を整えています。
腎・高血圧内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの 128名 9.22日 14.38日 3.13% 68.20歳
K616-41 四肢の血管拡張術・血栓除去術 15名 2日 11.07日 13.33% 66.67歳
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 - - - - -
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 - - - - -
K654 内視鏡的消化管止血術 - - - - -
 腎不全が進行し、体内に老廃物や水分がたまる場合には、血液をきれいにする治療として透析療法が行われます。透析には大きく分けて「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。どちらの治療を選ぶ場合でも、事前に手術による準備が必要です。
 血液透析では、体外に血液を取り出し、人工透析膜を通して血液を浄化します。そのため、大量の血液が安全に流れるよう、静脈と動脈をつなぐ血管(内シャント)を作る手術が行われます。この手術を「内シャント造設術」と呼びます。
 一方、腹膜透析では、お腹の中(腹腔)に透析液を注入し、体内で血液を浄化します。この治療では、腹腔に透析液をためるためのカテーテルを挿入する手術、「連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術」が必要です。
 透析療法は患者さんの生活に大きく関わる治療です。そのため、外来診療の中で患者さんと相談しながら、透析を始める時期(透析導入期)に合わせて計画的に行うことが大切です。当院は川越周辺地域で中心的な医療施設として、多くの患者さんに透析治療を提供しています。
 また、血液透析を安全に始めた後も、時間の経過とともに内シャントが狭くなり閉塞することがあります。この場合は、血管にカテーテルを挿入して狭くなった部分をバルーンで広げる「経皮的シャント拡張術」が広く行われています。最近では、薬剤塗布バルーンや人工血管を覆ったステントなどの新しい治療機器も積極的に活用しており、県内全域から多くの患者さんをご紹介いただいています。
 これらの治療についてご不明な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

※各診断群分類10件未満は「-」で表示
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K178-4 経皮的脳血栓回収術 98名 0.21日 25.33日 69.39% 75.66歳
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 70名 0.59日 5.93日 21.43% 75.63歳
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術 その他のもの 48名 7日 31.40日 29.17% 61.77歳
K1781 脳血管内手術 1箇所 38名 2.84日 21.26日 18.42% 60.79歳
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭して行うもの) 脳内のもの 32名 0.13日 38.22日 93.75% 64.13歳
 当科は、脳腫瘍(神経膠腫や頭蓋底腫瘍など)や脳動脈瘤といった、手術難易度の高い疾患に対して積極的に治療を行っている施設です。本表で2位から4位に示されている手術(脳腫瘍摘出術、脳血管内治療、脳動脈瘤など)がそれに該当しますが、実際には病変の部位や状態に応じて多様な術式を組み合わせており、脳腫瘍や動脈瘤関連の手術件数は、この数字よりもさらに多くなっています。正確な手術件数については、当脳神経外科ホームページ(https://www.smc-neurosurgery.com/)をご覧ください。
 一方で、最も多かったのは「経皮的脳血栓回収術」および「慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術」です。これらは脳梗塞や慢性硬膜下血腫といった救急疾患に対して行われる緊急手術であり、当科が地域における救急医療に力を入れている結果を反映しています。特に脳梗塞に対する血栓回収術は、発症からの時間が極めて重要となる治療であり、迅速かつ24時間体制で対応しています。また脳内出血に対する「開頭血腫除去術」も多数行われており、私共の医療圏における重症患者の救命と社会復帰に貢献しています。
 このように、当科では「高度で難易度の高い手術」と「地域の救急医療の中核」の双方を担っており、幅広い分野で専門的な医療を提供しています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5551 弁置換術 1弁のもの 20名 6.25日 18.15日 0% 69.35歳
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺不使用)(2吻合以上) 18名 6.61日 18.22日 5.56% 64.39歳
K5601ニ 大動脈瘤切除術(上行大動脈・その他のもの) - - - - -
K6011 人工心肺(初日) - - - - -
K5944イ 不整脈手術(左心耳閉鎖術)(開胸手術によるもの) - - - - -
 安心して患者さんが手術に臨めるよう術前準備期間、および術後退院までの回復リハビリテーションを確保しながら診療を行っており、入院期間は全国平均とほぼ同等です。安定期に入りましたら、多くの患者さんは紹介先および他院へ逆紹介させていただいております。

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肝胆膵外科・小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 50名 1.98日 6.44日 0% 65.02歳
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 32名 1.59日 5.63日 6.25% 70.44歳
K7032 膵頭部腫瘍切除術 リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍切除術の場合又は十二指腸温存膵頭切除術の場合 25名 2.52日 17.16日 0% 71.56歳
K695-21イ 腹腔鏡下肝切除術 部分切除 単回の切除によるもの 23名 1.91日 7.22日 0% 72.35歳
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 22名 1日 1日 0% 5.50歳
 近年では膵癌や胆管癌、転移性肝癌といった悪性疾患に対する⼿術件数が増加していますが、良性疾患である胆のう結⽯症に対する腹腔鏡下胆のう摘出術も行っています。どうしても癌の患者様を優先しないといけないため、お待たせする期間が長い場合は、当科関連病院での手術をお勧めすることもあります。
 膵癌や胆管癌、肝臓癌に対する⼿術件数が近年増加しております。難治といわれる肝臓胆道膵臓領域の悪性疾患に対して、抗癌剤治療の後に、⾎管合併切除を要する拡⼤⼿術も積極的に導⼊し、治癒切除を⽬指しています。一方で、低侵襲手術である腹腔鏡下手術あるいはロボット支援下手術についても、適応を判断し適切に実施していす。また重症肝不全に対する⽣体肝移植、末期腎不全に対する腎移植、Ⅰ型糖尿病に対する膵移植(膵腎同時移植)も併せて⾏っております。
 内視鏡的胆道ステント留置術や内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術など、癌に伴って必要となる内視鏡治療は消化器・肝臓内科医と連携し、実施しています。
 小児外科では、積極的に腹腔鏡下にヘルニア手術を行っています。
血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 37名 7.16日 21.92日 10.81% 76.78歳
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 25名 3.36日 7.64日 4% 79.12歳
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 24名 1.17日 1.04日 0% 70.17歳
K5607 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(その他のもの) 21名 3.24日 14.57日 4.76% 72.81歳
K6145 血管移植術、バイパス移植術 下腿、足部動脈 13名 6.92日 20.92日 7.69% 70.77歳
 総合医療センター血管外科では、下肢閉塞性動脈硬化症、血管炎、バージャー病などの動脈閉塞性疾患や腹部・胸部大動脈瘤・内臓動脈瘤など動脈瘤疾患、下肢静脈閉塞や静脈瘤などの静脈疾患など血管外科領域の疾患全般を対象に専門的な診療を行っています。
 静脈疾患での当院の特色は、深部静脈血栓症後後遺症からのうっ滞性皮膚潰瘍の患者が多く、その為圧迫療法など保存的治療が主流となりますが、下肢静脈瘤があり必要な場合は血管内焼灼術を追加しています。このような患者さんは、生活習慣も変える必要があり、その指導を含め在院期間が長くなる傾向がありますが、このような事にもしっかり対処する病院が必要であり、当科の特色のひとつとなっています。
 動脈閉塞性疾患の診療においては、動脈閉塞の症状がでているだけの跛行患者に対しても、全身に動脈閉塞リスクが高く、進行した動脈硬化である包括性高度慢性下肢虚血(CLTI)の患者に対しても、症状や重症度に応じてバイパス手術、血管内治療(EVT)およびそれらを組み合わせたハイブリッド治療を行っています。それに加え、血行再建以外にも血管新生療法、血液浄化療法(レオカーナ)など集学的治療を積極的に行い、予後の延長およびQOL(生活の質)の改善に寄与しています。その結果、患者さんの殆どは他の医療機関からの紹介患者であり、特にCLTIでは治療に難渋する患者が埼玉全域から多数紹介されているのが当科の特徴です。そのため、在院日数は全国平均より長くなっていますが、術後合併症の発生率、治療成績ともに良好な結果を残しています。
 動脈瘤疾患は、全国的に血管内治療(ステントグラフト治療)が中心となり、在院時間が短縮されています。しかし、最近は血管内治療ですべて終了させようとする風潮があり、遠隔期に問題となっていることが少なくありません。当科は最初の段階から患者さんに応じた治療選択をするという立場から、従来の開腹治療にも拘っており、長期的視点から患者さん個々に応じた治療ができていると考えています。血管内治療に限定すると、当科は全国平均より短い在院日数となっています。
乳腺科(ブレストケア科)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 75名 1.01日 8.31日 1.33% 63.51歳
K4762 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 53名 1日 3.89日 0% 61.96歳
K4765 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの 31名 1.97日 10.71日 0% 61.10歳
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 12名 1日 1日 0% 65.25歳
K6112 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) 10名 9.80日 3.50日 0% 57.30歳
 手術症例の約3割に乳房を温存する手術を行っており、乳房を温存する割合は全国統計と同様に減少傾向にあります。近年では乳房を温存する手術で整容性が保てない症例に対しては、無理な乳房温存手術はせずに、乳房全切除とともに乳房同時再建を行う傾向が多いのも一つの原因です。(当院ではブレストケア科から形成外科に転科となるため掲載されておりません) また、乳房部分切除術にはRFA(ラジオ波焼灼療法)によるものが含まれており、腫瘍径が1.5cm以下の症例に対してRFA手術を行っております。
 そして、乳房を温存する手術を行った場合には残乳房に対して放射線治療が予定されます。そのために、放射線治療のための通院が困難と想定される患者さん(高齢者や通院困難者)には乳房を温存する手術を敬遠することがしばしば散見されます。
 また、約8割の症例に対しては脇のリンパ節郭清を行わずに、センチネルリンパ節を生検するのみで終了しているものが多いです。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 98名 2.08日 10.03日 0% 70.89歳
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 36名 2.64日 6.06日 0% 71.67歳
K5131 胸腔鏡下肺切除(肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) 30名 5.90日 4.37日 0% 38.70歳
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 区域切除 17名 1.76日 7日 0% 70.18歳
K5143 肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 14名 3.93日 11.07日 0% 72.71歳
 総合医療センター呼吸器外科では、肺癌、転移性肺腫瘍などの肺悪性腫瘍や自然気胸、胸部外傷、炎症性疾患、気管・気管支狭窄など呼吸器外科領域の疾患全般を対象に専門的な診療を行っています。
 最も多く行っている肺悪性腫瘍の手術では、標準術式(肺葉切除+リンパ節郭清)はもとより難易度の高い手術とされている気管気管支再建術や血管形成術を駆使した機能温存手術、左心房や胸壁などを合併切除する拡大手術、患者さんの全身状態や癌の進行具合に合わせた縮小手術など、様々な手術を行っています。
 近年、早期肺癌の患者さんには肺葉切除ではなく縮小手術である区域切除が標準手術の1つとなりました。当科でも区域切除が増加傾向にあり、今後も積極的に取り組んで行く方針です。
 標準手術や縮小手術には胸腔鏡やダビンチ(手術支援ロボット)を用いた低侵襲手術を積極的に行っており、現在当科の肺悪性腫瘍手術は胸腔鏡やダビンチを用いた低侵襲手術が全体のおよそ9割を占めています。また、肺嚢胞切除術は、比較的若い患者さんの自然気胸に対してすべて胸腔鏡を用いて実施している他、高度の閉塞性肺疾患を合併した難治性気胸に対しても安全に胸腔鏡手術を行っています。
 当センターは埼玉県中西部の中核総合病院であるため、ご高齢の患者さんや合併疾患を有する患者さんも含め、他施設では治療に難渋する患者さんが数多く来院なさいますが、術後合併症の発生率、治療成績ともに良好な結果を残しています。
消化管・一般外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 147名 1.92日 7.78日 1.36% 71.47歳
K740-22 腹腔鏡下直腸切除・切断術 低位前方切除術 111名 2.22日 11.41日 1.80% 66.65歳
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 69名 1.45日 5.59日 0% 67.36歳
K655-23 腹腔鏡下胃切除術 悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 59名 1.24日 12.12日 1.69% 70.17歳
K6335 鼠径ヘルニア手術 42名 1.02日 2.67日 0% 69.60歳
 定時手術、緊急手術にかかわらず術式の定型化に努め、大腸がんや胃がんにおいては、周術期治療内容も定型化している結果として、平均在院日数が全国平均を大きく下回っております。地域の特性上、リスクの高い患者さんの割合が高いものの、緊急手術を含めて低侵襲な外科治療を選択しています。ロボット支援手術を大腸がん、胃がんの標準術式として実施しており、昨年度より食道がんにおいても導入し、現在適応を拡大しております。
小児科(新生児)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9131 新生児仮死蘇生術 仮死第1度のもの 78名 0日 56.54日 3.85% 0歳
K9132 新生児仮死蘇生術 仮死第2度のもの 46名 0日 81.78日 2.17% 0歳
K5351 胸腹裂孔ヘルニア手術 経胸又は経腹 - - - - -
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
K7292 腸閉鎖症手術(腸管切除を伴う) - - - - -
 当センターは埼玉県内に2カ所ある総合周産期母子医療センターの一つで、年間およそ650人の新生児が入院し、そのうちの約半数は出生体重が2500 g未満の低出生体重児です。最近は、出生体重が1000g未満で生まれる特別に小さな児も少なくありません。
 新生児仮死蘇生術は、児が生まれた時の状態を点数化して評価し、点数に応じて処置方法が変わってくるため、出生した児、個々の状態に合わせて治療が選択されます。仮死状態で出生する新生児の数は年々減る傾向にありますが、より重症の仮死第2度の児については、退院まで長い期間が必要です。また、低出生体重児では、消化管穿孔などの外科的合併症を併発することもありますが、当科の合併症発生率は全国的に見ても低率です。
 出生直後からの緊急事態を乗り越え、ご家族のもとに元気な赤ちゃんをお返しできるように、引き続き努力したいと思います。

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小児救命救急センター
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K836 停留精巣固定術 13名 1日 1日 0% 1.23歳
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 10名 1.10日 1日 0% 1歳
K6335 鼠径ヘルニア手術 - - - - -
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 - - - - -
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 - - - - -
 当院の小児集中治療室(PICU)は院内、院外、疾患の種類の有無にかかわらず、すべての小児の重症患者に対して24時間、365日対応しております。
 小児の重症の内科疾患においては呼吸不全が多く、肺炎、細気管支炎、慢性呼吸不全、ARDSなどの症例が多くなります。
 外科疾患においては、術後無呼吸を起こすような乳児の鼠径ヘルニアや停留睾丸の手術、術後気道狭窄を起こす扁桃&アデノイド手術、ハイリスクな重症心身障害の気管切開、胃ろう手術、術後管理が必要な先天性心疾患手術、脳外科手術、外傷疾患に対する手術などに対応しています。

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産科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 279名 13.96日 5.90日 0% 34.52歳
K8981 帝王切開術 緊急帝王切開 219名 10.89日 6.61日 0% 34.56歳
K9062 子宮頸管縫縮術 シロッカー法又はラッシュ法 20名 1.65日 3.90日 0% 34.60歳
K9061 子宮頸管縫縮術 マクドナルド法 19名 6.53日 16.26日 5.26% 35.74歳
K8721 子宮筋腫摘出(核出)術 腹式 12名 7日 6日 0% 39.25歳
 当院総合周産期母子医療センターの特徴は、ほとんどの妊婦さんが何らかの合併症(例えば、妊娠高血圧症候群、糖尿病、高血圧、全身性エリテマトーデス、慢性腎炎、子宮筋腫など)を有しており、胎児機能不全を起こす可能性が高く、しばしば帝王切開や鉗子分娩による急速遂娩が必要となります。また、このような理由で前回帝王切開になった妊婦さん、あるいは子宮筋腫核出術後など、瘢痕子宮のため今回の分娩も帝王切開が選択される症例が多いです。これが、K8982やK8981が多い一因となっています。子宮筋腫合併症例の帝王切開時に子宮筋腫摘出術を行うことがあるためK8721が多くなっています。
 子宮頸管無力症による切迫流早産に対しては、シロッカー法やマクドナルド法による頸管縫縮術を必要としますが、このような既往を有する妊婦や妊娠初期・中期に頸管が短縮し、頸管無力症が疑われる妊婦の紹介が多いです。これが、K9061とK9062の多い一因となっています。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 154名 1.14日 4.73日 0% 43.80歳
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 129名 1.19日 5.49日 0% 47.61歳
K865-2 腹腔鏡下仙骨腟固定術 48名 2.33日 5.71日 0% 70.29歳
K867 子宮頸部(腟部)切除術 45名 0.24日 1日 0% 38.80歳
K872-2 腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術 39名 1.31日 4.36日 0% 37.90歳
 卵巣のう腫や子宮内膜症など、良性の卵巣腫瘍に対してはほぼ全例を腹腔鏡下手術で行っています。
 子宮筋腫や子宮腺筋症などに対する子宮全摘手術に関しては、臍を超える大きなものに対しては開腹手術を行っていますが、それ以下のものに対しては腹腔鏡またはロボット(Da Vinciシステム)を用いて施行し、開腹手術より多くなっています。子宮筋腫に対しても多くを腹腔鏡またはロボットで行っており、妊娠・出産を希望する患者さんに対しては筋腫のみを摘出して子宮を温存しています。
 高齢女性の骨盤臓器脱に対する手術も腹腔鏡またはロボットを用いて実施しています。
 悪性腫瘍に対する手術も県内屈指の症例数を施行していますが、子宮頸部の上皮内がんや高度異形成に対しては子宮頸部円錐切除術を施行し、子宮を温存しています。
血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6261 リンパ節摘出術 長径3センチメートル未満 - - - - -
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植) - - - - -
K722 小腸結腸内視鏡的止血術 - - - - -
K654 内視鏡的消化管止血術 - - - - -
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術 その他のもの - - - - -
 血液内科では急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器腫瘍に対する入院化学療法治療を数多く行っておりますが、新規治療薬による予後の改善によって、入院中の再発例や高齢者といった重症例が増えています。
 1列目の「急性白血病 手術あり」では従来治療法のなかった高齢者に対する化学療法が開発されたため、治療適応となった高齢の患者数が増加しており在院日数が全国平均より長くなっています。長期入院例の在宅や施設などへの移行を早期より判断して在院日数の短縮を目指したいと思います。 悪性リンパ腫では患者のQOLを考慮して入院をせず外来で化学療法を導入する例も増加しておりますが、重症例ではADL不良例が多いため、入院が長くなっているものと考えます。治療適応例では多職種介入によってリハビリ強化と早期の自宅環境整備を行い、在院日数の短縮に努めたいと思います。治療非適応については入院早期から転院準備を進めたいと思います。

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脳神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
K178-4 経皮的脳血栓回収術 - - - - -
K386 気管切開術 - - - - -
K6181 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(四肢) - - - - -
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 - - - - -
経皮的脳血栓回収術・経皮的頸動脈ステント留置術
 当院は埼玉県急性期脳梗塞治療ネットワーク(SSN)の基幹病院であり、近隣地域の救急隊、他の医療機関と緊密に連携し、脳梗塞をはじめとする超急性期の脳血管障害症例の診療に積極的に取り組んでいます。
 当科入院の脳梗塞患者さんの特色は、心原性脳梗塞による重症例が発症早期に救急搬送されることです。急性期血行再建療法の適応患者さんについては、血栓溶解療法(t-PA静注療法)、血管内治療(カテーテルによる血栓回収療法)による血行再建療法を脳血管センター・脳神経外科と協同し積極的に行っていることから、経皮的脳血栓回収術の患者数が多いと考えられます。
 また同様に、頭蓋内動脈の動脈硬化性病変に起因する脳梗塞患者さんには経皮的脳血管形成術を、頭蓋外頸動脈の動脈硬化性病変に起因する患者さんには経皮的頸動脈ステント留置術を施行する機会も多いと考えられます。

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整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 290名 1.16日 17.50日 4.83% 72.31歳
K079-21 関節鏡下靱帯断裂形成手術 十字靱帯 55名 1日 7.95日 0% 32.60歳
K069-3 関節鏡下半月板縫合術 42名 1日 10.17日 2.38% 45.48歳
K080-41 関節鏡下肩腱板断裂手術 簡単なもの 42名 1日 5.60日 0% 66.07歳
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓切除 25名 2.76日 15.52日 8% 73.32歳
・人工関節置換術、肩、股、膝
 股関節や膝関節において変形性股関節症、変形性膝関節症(加齢によって関節の軟骨がすり減り痛みが生じている病態)や大腿骨頭壊死(股関節の太もも側の骨が何らかの原因によって潰れている病態)、関節リウマチによる関節破壊等に対して、人工関節置換術を行っています。また、近年、肩の変形性関節症に対する人工関節置換術も増えてきました。併存症を抱えておられる患者さんも多く、必要な治療のため入院が長期にわたる例もありますが、特に手術後に問題がない場合は、10日~2週間ほどで退院される患者さんがほとんどです。

・関節鏡下靱帯断裂形成手術 十字靱帯
 膝前十字靱帯損傷患者に対する関節鏡手術での靱帯再建手術を多く手がけています。靱帯再建手術の成績が良好であり、多くの患者が術後6~9か月後にスポーツ復帰を果たしております。また将来的な変形性膝関節症の発症予防にも貢献していると考えられています。救急に力を入れている当院の特色もあって、交通外傷による後十字靭帯損傷に対する手術も多く手がけています。

・関節鏡視下半月板縫合術
 膝の外傷による半月板損傷に対する関節鏡手術を多く手がけています。近年では加齢に伴う半月板損傷に対する手術も増えております。半月板損傷に対しては関節軟骨保護、膝関節機能のためできるだけ切除術ではなく縫合術を選択し、半月板温存を図るようにしております。

・関節鏡視下肩腱板断裂手術
 肩には腱板という肩関節の動きを支える構造があり、その断裂を修復するのが腱板縫合術です。加齢によって擦り切れて断裂することが多いため、中高年者に多く見られます。腱板断裂を生じると上肢の挙上が痛みや脱力のため困難となったり、夜間痛を生じたりします。注射やリハビリテーションなどの保存療法で改善しない場合が手術適応となります。当院では腱板縫合は関節鏡による低侵襲手術で行っており、早期の回復が見込めます。手術後は肩を装具で固定しますが、外来でのリハビリテーションで徐々に肩の動きを拡大していきます。平均術後日数は5.60日で多くの方が早期退院されます。

・脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術
 頚部や腰部の脊柱管狭窄が起きると、脊柱管内にある脊髄や馬尾と呼ばれる神経が圧迫されて、手足のしびれや運動障害を起こすことがあり、ある程度重症な場合に神経の圧迫を軽減したり、脊椎を固定する手術を行います。術前の麻痺が重症な方ほどリハビリに時間を必要とします。歩行が不自由で長期間のリハビリが必要な方は、リハビリ病院などに転院して頂くことがあり、昨年度は8%の方が転院されました。
形成外科・美容外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2191 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法 42名 1日 1日 0% 72.79歳
K628 リンパ管吻合術 35名 1.23日 7.23日 0% 63.54歳
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術 肩、上腕、前腕、大腿、下腿、躯幹 27名 1日 2.67日 0% 49.41歳
K333 鼻骨骨折整復固定術 20名 1日 1.05日 0% 21.05歳
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径2センチメートル以上4センチメートル未満 16名 1日 1.94日 0% 38.13歳
1. 眼瞼下垂症手術(挙筋前転術)
 まぶたは加齢とともに皮膚がたるみます。特に上まぶたは、まぶたを開けるための筋肉(上眼瞼挙筋)などの支持組織もたるんでしまうことでまぶたが開けにくくなり、日常生活に支障が出ることがあります。それに対して、形成外科では皮膚のたるみをとり、筋肉のゆるみも矯正する手術(挙筋前転術)を行います。まぶたは外見的にも重要なパーツですので、整容面にも十分に配慮しながら手術を行っており、年々手術の件数も増えています。

2. リンパ管吻合術
 リンパ浮腫の外科的治療(手術)の方法のひとつで、流れの悪いリンパ管(リンパの通り道)を流れの良い静脈(血液が心臓に返る道)に繋いでリンパの流れを改善する方法です。手術は小さな傷から微細なリンパ管と静脈をつなぎ合わせるため、顕微鏡下に行います。(スーパーマイクロサージャリーという技術です)
 傷が小さく局所麻酔でも行えるなど体の負担を極限まで少なくした治療で、比較的ハードルが低いこともあり手術件数は多くなっています。手術と併せて理学療法(圧迫療法や運動療法)などを行うことで、治療効果を高める研究や取り組みを行っており、安定した治療成果をあげています。

3. 四肢体幹軟部腫瘍摘出術
 皮下にできる良性の脂肪腫は、比較的日常的によく診る疾患です。皮下脂肪があれば体のどこにでも発生し得る腫瘍で、良性ですが放置すれば大きくなるため、手術で切除することも多いです。手術の際は傷跡が目立たないよう見た目にも最大限の配慮を行っております。

4. 鼻骨骨折整復固定術
 鼻骨は鼻の付け根にある顔面骨の一部で、転倒などの事故やスポーツ中のアクシデントで強くぶつけることで起こりうる顔面骨骨折のなかでも頻度が高い骨折です。見た目に鼻が曲がったり(斜鼻)、低くなったり(鞍鼻)などの変形をきたすことがありますので、手術件数も多くなっています。手術は骨折により変形している骨をできるだけ元の位置に戻し(整復)、見た目を整えます。十分な整復操作を行うため、当科では全身麻酔で治療を行います。

5. 皮膚皮下腫瘍摘出術(露出部)
 皮膚や皮下にできる良性のしこりは、日常的にもよく見られる疾患で、手術が必要となることも多いです。特に顔や手足などの、人目につく部位の腫瘍を傷が目立たないように切除するのは形成外科の得意分野です。小さなものは外来で日帰り手術も可能ですが、大きいものや深くに存在するものは短期の入院治療が必要です。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 99名 1日 6.34日 0% 24.06歳
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術III型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 44名 1日 5.36日 0% 54.57歳
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術IV型(汎副鼻腔手術) 22名 1日 5.41日 0% 53.82歳
K319-21 経外耳道的内視鏡下鼓室形成術 上鼓室開放を伴わないもの 21名 1日 3.67日 0% 38.29歳
K340-4 内視鏡下鼻・副鼻腔手術II型(副鼻腔単洞手術) 20名 1.05日 5.70日 0% 53.70歳
 口蓋扁桃摘出術(慢性扁桃炎に対する手術)、内視鏡下鼻副鼻腔手術Ⅱ,Ⅲ,およびⅣ型(慢性副鼻腔炎に対する手術)、内視鏡下鼓室形成術(慢性中耳炎,真珠腫性中耳炎に対する手術)はいずれも耳鼻咽喉科領域の代表的な手術ですが、いずれの手術も症例数が多く、平均術前日数および平均術後日数はどの手術も全国平均とほぼ同等です。また、これらの手術後の転院率は0%で、これらの手術症例の治療が当科で完結しています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 786名 1日 1.09日 0.13% 76.17歳
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの 96名 1.08日 2.65日 0% 63.39歳
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術 その他のもの 33名 1日 2.21日 3.03% 64歳
K281 増殖性硝子体網膜症手術 23名 1.87日 3.22日 0% 54.70歳
K275 網膜復位術 14名 0.93日 3.21日 0% 44.43歳
 白内障手術は、散瞳不良、進行例、水晶体振盪、水晶体脱臼などの難易度が高い症例、高齢や全身合併症のため入院が必要な症例、認知症などのため全身麻酔下での手術が必要とされる症例などが紹介されてくることが多いです。
 白内障手術は原則2泊3日の入院で行っています。 網膜剥離、⻩斑前膜、⻩斑円孔、糖尿病網膜症、硝子体出血などに対する網膜硝子体手術が多いのも基幹病院としての特徴です。近年、過去に白内障手術で挿入した眼内レンズが眼底に落下するという患者さんが徐々に増加しています。その場合、落下した眼内レンズを摘出し、新しい眼内レンズを強膜に固定するという手術を行います。これも難易度の高い手術です。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術 単純切除 27名 1日 8.41日 0% 75.15歳
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径3センチメートル以上6センチメートル未満 12名 1日 3.33日 0% 58.00歳
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径2センチメートル未満 10名 1.10日 4.30日 0% 44.50歳
K0053 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径4センチメートル以上 - - - - -
K013-21 全層植皮術(25c㎡未満) - - - - -
1)「皮膚悪性腫瘍切除術」は単純切除だけで年間27件施行しています。「悪性黒色腫」で転移が疑われる方(腫瘍細胞の深部浸潤を示唆する潰瘍や腫瘤が見られる方)はセンチネルリンパ節生検を行い、リンパ節転移の有無を組織学的に確認しています。

2)サイズの大きな腫瘍の多くは「脂肪腫」です。ただし、臨床的に脂肪腫と思われても、腫瘍サイズが大きかったり急速に増大したりしているような例では「脂肪肉腫」である可能性があります。そういった症例はあらかじめ針生検を行い、組織学的に悪性でないことを確認してから全摘しています。

※各診断群分類10件未満は「-」で表示
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 108名 1.69日 5.22日 0.93% 72.47歳
K007-2 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術 90名 0.56日 0.98日 0% 77.20歳
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 73名 1.23日 9.89日 0% 71.07歳
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 55名 1.38日 4.16日 1.82% 61.62歳
K773-52 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) その他のもの 40名 1.23日 7.90日 0% 69.10歳
・K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの
 膀胱腫瘍または膀胱がんに対して、診断の確定と治療を目的として行う基本的な内視鏡手術です。

・K007-2 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術
 前立腺への放射線治療を行う際に、前立腺内に金のマーカーを挿入しています。
 これにより照射の精度を上げることが可能となり、周囲臓器の被爆の低減にもつながると考えられます。

・K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器)
 当センターでは2020年10月よりダヴィンチ・システムを用いたロボット支援前立腺全摘除術を導入しました。根治性を維持しつつ、より低侵襲な治療を提供しています。

・K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの
 腎結石、尿管結石に対する標準的手術です。当センターでは、合併症などが原因で他院での治療が難しい患者さんに対し、麻酔科をはじめとした各診療科と連携を取り安全な治療の提供を心がけています。大きな腎結石に対しては、経皮的結石破砕術と組み合わせて行う手術(ECIRSと略称されます)をご提案することもあります。最近は、安全面に配慮しつつ抗凝固薬・抗血小板薬の内服を継続したままでの治療も行っています。

・K773-52 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) その他のもの
 当センターでは2023年8月よりダヴィンチ・システムを用いたロボット支援腎摘除術を導入しました。根治性を維持しつつ、より低侵襲な治療を提供しています。
高度救命救急センター
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 後方又は後側方固定 104名 0.97日 32.52日 66.35% 67.23歳
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓形成 59名 1.37日 42.19日 74.58% 71.29歳
K128 脊椎、骨盤内異物(挿入物)除去術 49名 1.10日 7.76日 2.04% 47.39歳
K046-3 一時的創外固定骨折治療術 32名 0日 48.19日 53.13% 56.34歳
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術) 31名 0.26日 14.16日 32.26% 66.35歳
 当院の救命センターは埼玉県で2施設しかない高度救命救急センターの一つであり、しかも重症外傷に対して常に緊急手術を行う体制を取る施設として、埼玉県から重度外傷センター(県内3施設)および特定外傷センター(県内1施設)に指定されています。そのため高度救命救急センターは、当院の中では最も手術件数が多い診療科で、その大部分が重症外傷に対する緊急手術です。
 特定外傷センターの最大の特徴は、重症の頚椎頚髄損傷に対する超早期除圧術です。重症の頚椎頚髄損傷は重症外傷の中でも最も回復が困難な損傷のひとつであり、救急搬送時に完全四肢麻痺であれば、一生寝たきりの生活を強いられることが通例です。しかも完全四肢麻痺の症例は、生命の危険性が極めて高く、緊急手術は危険と言われています。しかし当院では、緊急手術こそ完全四肢麻痺からの脱却の唯一の鍵と考えており、心筋梗塞や脳梗塞の治療と同じような緊急性で手術を行っています。中央手術部、中央放射線部、麻酔科、リハビリテーション科、輸血部などとの緊密なチーム医療のもと、多くの完全四肢麻痺の患者さんが不全麻痺へと回復し、極めて高い救命率を誇っています。
 TOP5のうち1位は、脊椎の脱臼や骨折に対する後方固定手術で、2位は脊髄損傷に対する椎弓形成術です。平均術前日数がそれぞれ0.97日、1.37日となっており、昼夜を問わず緊急手術を行っていることが結果として表れています。また患者さんの平均年齢が67.23歳、71.29歳となっており、わが国の超高齢社会における脊椎脊髄損傷患者の高齢化が浮き彫りになっています。
 4位の一時的創外固定は、四肢の重症開放骨折に対する緊急手術で、平均術前日数が0日と、全例即座に緊急手術を行なっています。5位の血管塞栓術は、主に重症骨盤骨折の大量出血症例に対する緊急止血術で、出血性ショックの患者さんを劇的に救命しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 17件 0.09%
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 124件 0.6%
異なる 33件 0.1%
 播種性⾎管内凝固症候群(DIC)や敗⾎症等、これらのDPCコードの多くは、重篤な合併症ですが、当院は患者数が比較的低く推移しております。

※症例数10件未満は「-」で表示
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
3,001名 1,948名 64.91%
 肺血栓塞栓症の予防方法には弾性ストッキングの着用や間歇的空気圧迫装置の使用、抗凝固薬療法があり、リスクレベルに応じて単独あるいは併用が推奨されています。本指標は、肺血栓症発症のリスクレベルが「中」以上の手術を実施した患者のうち、上記予防法が実施された患者数を示しています(リスク評価、指示、実施記録が記載されている患者数)。医療の質可視化プロジェクト2024の報告では病床数600床以上の医療機関における実施率は89-90%(平均値)でした。
 周術期の肺血栓塞栓症の予防行為の実施は、急性肺血栓塞栓症の発生率を下げることにつながると考えられており、より高い値が望ましいと言えます。また、記載を徹底することが必要です。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
5,290日 2,780日 52.55%
 当院では多職種で構成された抗菌薬適正使用チーム(AST)を組織し、抗菌薬の選択や投与量だけでなく、必要な検査の提案やその結果の解釈についても主治医と連携して感染症治療の支援を行っています。特に死亡率の高い菌血症という重篤な感染症を診断する上で血液培養は不可欠な検査であり、2セット以上での実施によって、病原微生物の検出感度や検査精度の向上が期待でき、感染症により死亡率の低下に繋がるとされています。
 一方で、当院には総合周産期母子医療センターもあり、新生児特定集中治療室(NICU)などでは2セットの血液培養を行うことが難しいため、血液培養2セット実施率としては低くなる傾向があります。しかし、成人においては約90%の2セット実施率を維持しており、今後も医療の質のさらなる向上に貢献できるよう取り組みを継続してまいります。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
1,787名 1,492名 83.49%
 抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動は、薬剤耐性菌対策において世界的にみても積極的な取り組みが必要とされています。ASTは多職種で構成され、抗菌薬の適性使用を推進し、耐性菌の出現を抑制することを目的として日々活動を行なっています。
 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率については、AST活動の一環として抗菌薬使用状況や血液培養検査の陽性結果をモニタリングし、適切な治療を支援することが含まれます。
 今年度、広域抗菌薬使用時の細菌培養実施率が昨年度の87.73%から83.49%へと低下していることは、抗菌薬適正使用の観点から憂慮すべき傾向と考えられます。血液培養ボトルの供給不足が要因の一つではあると考えますが、細菌培養は感染症診療において病原微生物の同定と感受性情報の取得を可能にし、抗菌薬の適正選択・適正使用に不可欠なプロセスです。ASTとして広域抗菌薬使用に際しては可能な限り培養検査を提案し、エビデンスに基づいた治療へと移行するよう貢献してまいります。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
333,094名 745件 2.23%
 入院中の患者の転倒やベッドからの転落は少なくありません。原因としては、 入院という環境の変化によるものや疾患そのもの、治療・手術などによる身体的なものなどさまざまなものがあります。 転倒・転落の指標としては、転倒・転落によって患者に傷害が発生した率と、 患者への傷害に至らなかった転倒・転落事例の発生率との両者を指標とすることに意味があります。事例を分析することで、より転倒・転落発生要因を特定しやすくなります。こうした事例分析から導かれた予防策を実施して転倒・転落発生リスク を低減していく取り組みが、転倒による傷害予防につながります。医療の質可視化プロジェクト2024の報告では病床数600床以上の医療機関における転倒転落発生率は2.43-2.59%(平均値)となっており、当院での発生率は高くはありませんが、今後も継続的な取り組みが必要です。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
333,094名 10件 0.03%
 入院中に発生したインシデント影響度分類レベル 3bの発生率の指標です。インシデント影響度レベル3b以上とは、転棟転落によって患者さんに骨折などの大きな影響があったことを示しています。医療の質可視化プロジェクト2024の報告では病床数600床以上の医療機関における転倒転落によるインシデント影響度分類レベル 3b 以上の発生率は0.07-0.69‰(パーミル)となっており、当院での発生率はやや高めとなっており、今後も継続的な取り組みが必要です。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
4,459件 4,373件 98.07%
 抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動は、薬剤耐性菌対策において世界的にみても積極的な取り組みが必要とされています。ASTは多職種で構成され、抗菌薬の適性使用を推進し、耐性菌の出現を抑制することを目的として日々活動を行なっています。
 当院では手術前予防的抗菌薬についてマニュアル上で適切な抗菌薬の選択・投与時間など設定しており、当院における手術開始1時間以内の予防的抗菌薬投与率は98.07%と、全国平均を上回る結果となりました。
 これは、術後感染予防に対する医療スタッフの高い意識と、手術前の抗菌薬投与プロセスが適切に運用されていることを示しています。
 予防的抗菌薬の適切なタイミングでの投与は、手術部位感染(SSI)の発生率を低下させ、患者の予後改善、入院期間の短縮、医療費の削減にも寄与する重要な要素です。特に、手術開始直前の投与は血中濃度を最適化し、術中の感染リスクを最小限に抑えるために推奨されています。この高い達成率を維持・向上させるために、今後もASTとして、感染対策の質を高めるための支援を継続し、患者安全の向上に貢献してまいります。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
306,659名 371名 0.08%
 当院では、褥瘡の早期発見と重症化防止を目的に多職種からなる褥瘡対策チーム活動を行っています。具体的には、褥瘡対策専従看護師による各部署へのラウンド、体圧分散寝具の定期的な見直しと更新、スキンケア実践の定着化活動、褥瘡回診、職員への教育活動や啓蒙活動等です。
 d2以上発生患者の内訳ですが、約6割がd2(真皮までの褥瘡)、その他は褥瘡発生から日が浅く深達度不明な褥瘡であり、皮下組織や筋層、骨までに至る褥瘡の院内発生の症例はほぼ認めません。発生率が0.1%以下で、褥瘡深達度がd2を多く占めることから、褥瘡対策活動の一定の効果はあると評価しています。   
 さらに発生率の低下や褥瘡の重症化防止を目指して活動を継続していきます。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
9,765名 8,711名 89.21%
 当院は、入院患者を対象に多職種共同で栄養スクリーニングを含む栄養状態の評価、及び栄養計画の作成を行い、入院患者の栄養状態改善を行っている。
 手法としては、48時間以内を目標に栄養スクリーニング(MUST)を実施し、低栄養リスクのある症例を特定、低栄養リスクが高度の症例にはGLIM基準を用い低栄養診断の確定と重症度判定を実施、これより低栄養患者を抽出し、早期栄養介入することにより栄養状態を改善し、在院日数の短縮に繋がるように努めています。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
250,579日 10,502日 4.19%
 身体拘束は、患者の尊厳や自立を損ない、身体機能や認知機能を低下させ、心理的・身体的苦痛を生むとされています。当院では、2024年度の診療報酬改定に伴い同年6月に身体拘束最小化チームを立ち上げ、18歳以上の入院患者の身体拘束の最小化に向け活動を開始しました。医師、薬剤師、看護師、MSWなど多職種で構成されるチームが、身体拘束を実施している患者を巡回し、身体拘束の軽減や解除に向けた助言をしています。また、身体拘束最小化のための指針の作成、全職員対象のeラーニングの実施、職員へ向けた身体拘束実施状況の周知を行っています。
 当院の18歳以上の入院患者の身体拘束率は、7~8%前後で推移しています。日本病院会が発表しているデータ(2023年度 11.8%)と比較しても決して高い数値ではありませんが、患者の尊厳を守り、かつ安全・安心な医療が提供できるよう取り組みを続けて参ります。
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