令和4年度 埼玉医科大学総合医療センター 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1705 522 668 1262 1514 2079 2669 4989 2469 224
 厚生労働省の令和2年(2020)患者調査の概況(統計表1-2 推計患者数、総数-入院-外来・施設の種類・年次・制・年齢階級別(入院))によれば、年代別で一番多いのは80歳台となっておりますが、当院では70歳台の患者さんが多く入院されています。これは、当院が高度急性期医療機関で積極的な治療を行う患者さんが多く治療を受けていることが背景にあると考えられます。また、10歳未満の患者さんの入院数については、早産児や低出生体重児が多く入院する総合周産期母子医療センターがあることが挙げられます。

厚生労働省令和2年(2020)患者調査の概況
:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/index.html
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
消化器・肝臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 291 3.30 2.64 0.00% 67.88
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 ほか手術・処置・定義副傷病なし 151 9.24 8.94 0.66% 70.93
06007xxx9906xx 膵臓、脾臓の腫瘍 化学療法あり 102 5.92 5.06 0.00% 70.14
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 98 7.48 7.76 0.00% 75.87
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 手術・処置等なし 62 11.13 10.34 3.23% 74.44
 胃から十二指腸、小腸、大腸まで消化管のすべての領域の病気を、カメラ(内視鏡)を使って調べることができます。大腸のポリープは良性でも将来癌になる可能性があるので、ある程度の大きさになると内視鏡を使って切除します。胃や十二指腸のポリープ、さらに早期の胃癌も内視鏡で切除可能です。また、膵炎によりお腹の中に溜まった膿や胆管の石も内視鏡で治療することが可能です。さらに肝臓や膵臓の癌に対して、抗癌剤を内服・点滴する治療や肝臓癌では足の付け根の動脈からカテーテルを挿入して癌のすぐそばまでカテーテルの先を進めてから抗癌剤を注入し、癌を養う血管を詰める治療や、癌に針を刺してラジオ波で焼く治療が行われています。
リウマチ・膠原病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置・定義副傷病 なし 38 29.34 14.67 5.26% 54.37
070560xx97xxxx 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 関節滑膜切開術等 23 57.00 34.59 13.04% 59.17
070560xx99x4xx 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし アダリムマブ - - 17.82 - -
070560xx99x70x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 ガンマグロブリン - - 18.79 - -
070470xx99x0xx 関節リウマチ 手術・処置なし - - 15.73 - -
①重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等なし
 全身性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾患に対して、ステロイドや免疫抑制剤を中心とした加療を行っています。例えば、ANCA関連血管炎では、腎病変があれば腎臓内科で腎生検をしていただき、リツキシマブやアバコパンなどで加療します。強皮症などに合併する肺高血圧症には、心臓内科で右心カテーテル検査をして、エンドセリン拮抗薬、PDE5阻害薬など高価な薬剤で治療します。
 個々の免疫抑制剤における特有の副作用に対しては早期に発見し適切に対応します。また過剰な免疫抑制によってガンマグロブリンが低下した場合は、ヒトガンマグロブリンを適宜補充します。感染症を併発した場合は、抗菌薬による適切な治療を行います。
②重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 関節滑膜切開術等
 膠原病による臓器病変で外科的手術が必要になることがあります(例:血管炎による腸管穿孔に対する腸管切除術、関節リウマチの人工関節再置換術、など)。治療による影響では、ステロイド大量療法後に大腿骨頭壊死を併発して手術を要する場合があります(例:人工股関節置換術)。また、肺膿瘍など重篤感染症を合併した場合、症例によって外科的なドレナージの手術が必要になります。さらに、悪性腫瘍の合併や外傷などで手術をする時もあります(例:肺がん合併による肺葉切除術)。
③関節リウマチ 手術・処置等なし
 メトトレキサートを主体とした治療に加え、効果が不十分な場合はさらに生物学的製剤やJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬などの免疫抑制療法を行って、病気の活動性を抑えて痛みを取るだけでなく、骨破壊や関節変形に進まないようにしています。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
心臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 170 3.78 4.26 0.00% 69.69
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 体外ペースメーキング術  他の病院・診療所の病棟からの転院以外 124 3.71 3.04 1.61% 70.81
050210xx97000x 徐脈性不整脈 心臓カテーテル法による諸検査等あり 手術・処置等1 なし、1,3あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 75 13.37 9.89 1.33% 75.08
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 心臓カテーテル法による諸検査あり 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 53 3.34 3.22 0.00% 69.51
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 経皮的冠動脈形成術等あり 46 11.04 11.59 0.00% 70.22
 当科では心血管疾患、特に虚血性心疾患を中心に急性期・慢性期共に拝見する機会が多く、上記の診断群分類が特に多くを占めている現状にあります。心臓を栄養する冠動脈(冠のように心臓の周囲を張り巡っているため、そう呼ばれます)が動脈硬化ならびに痙攣により狭くなることで血流が低下します。これにより心臓の筋肉に送り込まれる酸素・栄養が不足するため、酸素不足に陥ります。これを虚血状態といいます。
 その虚血性心疾患は狭心症・心筋梗塞の大きく2つに分けられます。労作性狭心症は冠動脈が動脈硬化等で器質的に狭くなり、労作時に心臓に十分な血流が供給出来なくなることで起こるもので、胸痛や胸部圧迫感・灼熱感を伴うことが多くあります(また冠攣縮性狭心症では痙攣により血管が細くなることから労作性狭心症同様の状況になり、胸痛や胸部圧迫感を来たします)。心筋梗塞では冠動脈内の動脈硬化が破裂し、冠動脈を完全に閉塞してしまうことで血流が途絶してしまいます。その結果心臓の筋肉自体が壊死してしまう状態です。最近の研究では心筋梗塞で亡くなられた方の半数以上が、発症から1時間以内にお亡くなりになっています。つまり病院に来られる前にお亡くなりになることが多い突然死を来す病気であります。原因のほとんどが心室細動と呼ばれる不整脈によるものです。心室細動では心臓の血液を全身に送り出す部屋(心室)がブルブル震えるのみ(細動)となり、血液を送り出せなくなります。そして脳や腎臓、肝臓などの体の重要な各臓器にも血液が行かなくなり、やがて死亡してしまう大変危険な状態です。
 これらの疾患に対しては、早期の受診と確実な診断ならびに治療が重要になってきますが、急性心筋梗塞に対する治療として大事なのは、再灌流療法(閉塞した冠動脈を再開し途絶えた心筋の血流を改善することにより心筋の壊死・ダメージを少なくする治療)を迅速かつ成功し得ることです。致死率の高い病態ではありますが、当科では速やかなカテーテル治療による再灌流療法およびICUでの入院管理によって、心筋梗塞の患者さんの死亡率は5%程度まで下がってきています。
腎・高血圧内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx991xxx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 経皮的腎生検法あり 59 8.85 6.45 0.00% 49.80
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等・人工腎臓あり 59 39.15 33.82 15.25% 69.88
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術・処置等なし 48 11.60 11.77 16.67% 61.50
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術・処置等なし 46 33.54 20.06 6.52% 61.80
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 38 9.97 7.59 0.00% 67.39
 日本だけでなく世界的にも、透析治療が必要となる末期腎不全の患者数は増加傾向にあり、また腎臓病が心臓や脳など他の重要臓器障害の大きなリスク要因であることが知られてきています。腎臓病は採血結果における腎機能障害だけでなく、多くの場合には血尿や蛋白尿といった検尿異常を伴うことが多いですが、このような所見は腎臓における何らかの障害の結果であることが多く、その原因までは判明できません。腎臓病治療は根底にある個々の疾患により、治療法や対応法が異なるため、原因の検索が非常に重要となります。これらの診断に現在最も有用と考えられているのが腎生検という検査方法で、腎臓の組織を採取し、顕微鏡を用いて組織学的に診断するものです。実際の検査方法は超音波ガイド下に体外から細い検査針を刺入して行うもので、検査時間も短く開腹手術などに比べて体への負担は非常に軽微です。腎生検に関して、当科は埼玉県のみならず全国的にも有数の検査実績があり、安全な検査の施行とともに、得られた検査結果から効果的かつ効率的な治療の選択を実施しています。例えば本邦における最も頻度が高い糸球体腎炎であるIgA腎症に対しては、腎生検結果に基づいて将来的な腎機能障害進行のリスク評価を行い、一定の基準を満たした場合は、有効な治療成績が報告されている扁桃摘出術及びステロイドパルス療法を行い、良好な診療成績が認められています。また高度な蛋白尿を呈するネフローゼ症候群や、急速に腎機能が進行してしまう急性進行性糸球体腎炎、急性腎不全などにおいても積極的に腎生検を行っており、やはり高い治療成績が得られています。治療方法に関しても、古典的な免疫抑制療法のみならず、一部の疾患には、より疾患特異性の高い分子標的療法や抗体医薬を用いた新規治療を行い、幅広い治療の選択肢を有しています。そのため、現在川越地域だけでなく、県内全域及び県外の医療機関から患者さんをご紹介いただき、治療に当たらせて頂いております。
 一方で、原因の如何によらず腎障害が進展すると、慢性腎臓病と言われる状態となります。慢性腎臓病の治療目標の1つは進行を予防し、透析療法への移行を遅らせることにあります。そのため当科では、外来および入院下で薬物療法や食事療法、安静療法により、少しでも進行を遅くさせることを目標に治療を行っています。また慢性腎臓病治療のもう1つの目標は合併症の予防と管理です。慢性腎臓病の進行とともに様々な合併症が現れますが、中には、生命をおびやかすようなものもあります。こういった合併症に関しても、各診療科と連携を行いながら、責任を持って診療を担当しています。さらに慢性腎臓病が進行すると、腎代替療法(透析療法)が必要になります。透析療法の開始に当たり、導入準備の手術(内シャント設置術や腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術)を担当し、また安全な透析の導入まで一貫して診療を担当しています。また、透析を導入された患者さんに対しても、安定した維持透析が行えるよう、近隣の透析施設と連携をしながら、全身管理、合併症管理に努めてまいります。
 腎臓移植について、臓器移植センターと連携しながら、献腎移植、生体腎移植が円滑に進められるよう取り組んでいます。特に移植後は全身管理がとても重要ですので、移植後外来として当科が担当してまいります。
 この様に当科は腎疾患患者さんの、全ての病期における診療に関して、継続的な治療をさせて頂いております。腎機能障害、特に尿所見異常を指摘された方で、ご心配な点、またご不明な点ありましたら何なりとご相談いただければと思います。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術・処置等・定義副傷病 なし 80 13.31 19.58 58.75% 64.26
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等  72 5.04 10.14 23.61% 77.64
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術・処置等・定義副傷病 なし 60 5.93 8.54 11.67% 45.82
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 造影剤注入手技 動脈造影カテーテル法あり 41 3.02 2.95 0.00% 64.80
010010xx03x00x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 定義副傷病 なし 23 26.52 20.55 17.39% 60.57
 当脳神経外科の臨床の中心は、脳腫瘍(神経膠腫、頭蓋底腫瘍など)、脳血管障害(脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病など)に対する高度な医療です。さらに、重症頭部外傷、小児脳疾患、周産期脳神経疾患など、通常の病院では受け入れ困難な患者さんをお引き受けするという地域の脳神経外科救急の最後の砦となっています。「困っている患者さんを断らない」をモットーとしておりますので、当科のDPC頻出病名を単純に多い順に示しますと上記のように軽症の頭部外傷や検査入院の症例数が上位となってしまいますが、これは当科が注力している臨床内容を反映するものではありません。当科の臨床の実際につきましては、当脳神経外科ホームページ(http:// https://www.smc-neurosurgery.com/)をご覧下さい。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 中心静脈注射等あり - - 21.78 - -
050161xx97x1xx 大動脈解離 冠動脈、大動脈バイパス移植術等 中心静脈注射等あり - - 28.45 - -
050090xx97x1xx 心内膜炎 弁形成術等あり 心臓カテーテル法による諸検査あり - - 48.35 - -
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 中心静脈注射等あり - - 21.24 - -
050080xx0111xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 心臓カテーテル法による諸検査、中心静脈注射等あり - - 33.80 - -
 手術後の患者さんが安心できるまで入院して頂きながら診療している為、転院率は低く、入院期間はやや長くなっております。そして、多くの患者さんは紹介先や他院へと逆紹介しております。
※規定により10症例未満は(-)で表示しています。
肝胆膵・小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
06007xxx9906xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし フルオロウラシル+レボホリナートカルシウム+イリノテカン塩酸塩+オキサリプラチンあり 216 4.66 5.06 0.00% 68.09
06007xxx9908xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし イリノテカン塩酸塩、リポソーム製剤 48 4.90 5.46 0.00% 64.15
06007xxx97x0xx 膵臓、脾臓の腫瘍 内視鏡的胆道ステント留置術等 48 15.31 11.74 4.17% 67.23
06007xxx010xxx 膵臓、脾臓の腫瘍 膵頭部腫瘍切除術 血行再建を伴う腫瘍切除術の場合等  47 27.89 24.71 0.00% 69.66
06007xxx97x6xx 膵臓、脾臓の腫瘍 内視鏡的胆道ステント留置術等 フルオロウラシル+レボホリナートカルシウム+イリノテカン塩酸塩+オキサリプラチンあり 36 8.81 12.96 0.00% 68.94
【肝臓・胆のう・膵臓領域】
 全国的に膵癌が増えています。膵癌は見つけにくいのみならず、癌の中でも最も予後が悪いとされております。しかしながら当院では、一般的には手術が困難とされる進行膵癌に対しても抗がん剤治療を先行し、膵癌の縮小を図ったうえで根治手術を行う術前化学療法を積極的に行っており、他施設から紹介された患者さんも来院されます。
 膵癌の患者さんは閉塞性黄疸を伴っていることが多くあり、そのような場合はまずは黄疸を下げる処置が必要です。消化器・肝臓内科に協力して頂き、内視鏡的減黄処置(内視鏡的経鼻胆管ドレナージや胆管ステント等)を行ってから、抗がん剤や手術を行います。
進行膵癌では、腹部の重要血管に浸潤があることも多いのですが、詳細な画像検査を行ったうえで、病変とともに血管を合併切除し再建する手術も多く行っております。他院で手術や治療が難しいと判断された方でも、治療が可能な場合もあります。
 当院では、腹腔鏡手術も積極的に行っており、胆のう結石に対する腹腔鏡下での胆のう摘出はもちろん、膵腫瘍に対しても腹腔鏡下の膵切除を行っております。また、ダビンチによるロボット膵切除も開始しております。急性胆のう炎に対しては発症早期に腹腔鏡下での胆のう摘出を行い、入院期間の短縮を目指しております。

【小児外科領域】
Top 5にありません。
血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 30 3.53 2.66 0.00% 69.13
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等・定義副傷病なし 29 12.34 5.18 3.45% 75.28
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 27 12.15 10.62 0.00% 78.63
050170xx99000x 閉塞性動脈疾患 手術・処置等なし 27 8.11 11.12 0.00% 73.04
050163xx9900xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術・処置等なし 21 5.10 8.08 0.00% 80.19
 総合医療センター血管外科では、下肢閉塞性動脈硬化症、血管炎、バージャー病などの動脈閉塞性疾患や大動脈瘤・内臓動脈瘤など動脈瘤疾患、下肢静脈閉塞や静脈瘤などの静脈疾患など血管外科領域の疾患全般を対象に専門的な診療を行っています。
 静脈疾患での当院の特色は、通常の下肢静脈瘤手術患者だけでなく深部静脈血栓症後後遺症からのうっ滞性皮膚潰瘍の患者が多く、おもに圧迫療法を中心に治療を行っています。このような患者さんは、生活習慣も変える必要があり、その指導を含め在院期間が長くなる傾向がありますが、このような疾患にもしっかり対処する病院が必要であり、当科の特色のひとつとなっています。
 動脈閉塞性疾患の診療においては診断から治療までを担当し、とくに全身に併存疾患を有し動脈硬化が進行している包括性高度慢性下肢虚血(CLTI)の患者では、血行再建として、バイパス手術、血管内治療(EVT)およびそれらを組み合わせたハイブリッド治療を行っており、血行再建以外にも血管新生療法、血液浄化療法(レオカーナ)を中心とした集学的治療を積極的に行い、予後の延長およびQOL(生活の質)の改善、維持に寄与しています。当センターは埼玉県中西部の中核総合病院ですが、CLTIなど他施設では治療に難渋する患者が埼玉全域から多数紹介されており、そのため、在院日数は全国平均より長くなっています。しかし、術後合併症の発生率、治療成績ともに良好な結果を残しており、となっています。
乳腺科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 85 10.93 9.99 1.18% 69.93
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 24 5.67 5.67 0.00% 61.79
090010xx97x0xx 乳房の悪性腫瘍 抗悪性腫瘍剤持続注入用植え込み型カテーテル設置 20 3.30 6.45 0.00% 55.35
090010xx99x0xx 乳房の悪性腫瘍 手術・処置等なし 13 6.85 9.71 0.00% 65.38
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍 乳腺腫瘍摘出術等 - - 4.04 - -
 入院患者さんのほとんどは手術目的です。乳腺悪性腫瘍症例の約1割程度は薬物療法による副作用や乳がん進行による救急処置等で入院による治療や管理が必要な症例となっています。そして、緩和医療となった症例に対しては連携施設へ転院することもあります。また、乳房全切除術を行った一部の症例に対しては同時に乳房を再建する手術を施行しておりますが、当院でのシステムでは術後にブレストケア科から形成外科に転科となるため本データには反映されておりません。
 また、当院では生殖可能な乳癌患者様には妊孕性温存についての説明を行い、妊孕性温存を希望する患者様には当院の産婦人科と連携し妊孕性温存(卵子凍結、受精卵凍結)しながらの乳がん治療を積極的に行っております。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 手術・処置等・定義副傷病 なし 175 12.07 10.06 0.57% 71.50
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍 経気管肺生検法 106 2.08 3.05 0.00% 72.12
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 45 8.80 9.68 0.00% 33.38
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 化学療法ありかつ放射線療法なし 21 12.19 8.60 0.00% 71.10
040200xx99x00x 気胸 手術・処置・定義副傷病 なし 18 5.39 9.24 0.00% 43.94
 総合医療センター呼吸器外科では、肺癌、転移性肺腫瘍などの肺悪性腫瘍や自然気胸、胸部外傷、炎症性疾患、気管・気管支狭窄など呼吸器外科領域の疾患全般を対象に専門的な診療を行っています。
 肺悪性腫瘍の診療においては診断から治療までを担当し、手術では、標準術式はもとより難易度の高い手術である気管気管支再建術や血管形成術を駆使した機能温存手術、左心房や胸壁などを合併切除する拡大手術、胸腔鏡やダビンチ(手術支援ロボット)を用いた低侵襲手術など様々な手術を行っています。手術以外にも化学療法、放射線治療を中心とした集学的治療を積極的に行い、緩和医療も取り入れて、予後の延長およびQOL(生活の質)の改善、維持に寄与しています。当センターは埼玉県中西部の中核総合病院であるため、合併疾患を有する方々も含め、他施設では治療に難渋する患者さんが数多く来院なさいます。そのため、在院日数は全国平均より若干長くなっていますが、術後合併症の発生率、治療成績ともに良好な結果を残しており、昨年度はリハビリ目的で転院された患者さん1名を除き全員がご自宅へ退院なさっています。なお、術後再発症例を中心に積極的に化学療法や放射線治療を行っておりますが、治療継続が困難となって患者さんには、緩和医療科と連携して在宅医療への移行や緩和医療施設への転院なども行っています。
 肺悪性腫瘍の次に多い気胸においても、若年者に多い自然気胸よりもご高齢で肺気腫や間質性肺炎を合併した難治性気胸の方々の治療を担当することが多いですが、在院日数は全国平均より短く治療成績は良好で、ほぼ全員がご自宅へ退院なさっています。
消化管・一般外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 103 15.40 15.40 3.88% 71.45
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 化学療法ありかつ放射線療法なし 87 8.87 8.87 0.00% 66.68
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 85 4.59 4.59 0.00% 70.56
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 75 18.05 18.05 2.67% 73.21
060040xx0200xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 肛門悪性腫瘍手術 切除等 71 14.89 14.89 1.41% 71.08
 食道がん、胃がん、大腸がんを中心とした消化管癌の外科的治療を主軸とした集学的治療を積極的に行っています。地域や病院の特性上、高齢者や併存疾患のある患者さんの比率が高いのが特徴の一つです。近年注目されているがんゲノム医療もゲノム診療科と連携し、高い専門性を維持しつつ総合的に診療することを心がけております。がんなどの悪性腫瘍以外にも、外科的治療が必要な状態の炎症性腸疾患、穿孔性腹膜炎などの腹部救急疾患や鼠径ヘルニア等、幅広い診療を行っております。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等・定義副傷病 なし 53 7.02 6.05 0.00% 3.26
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 50 6.70 5.89 0.00% 1.58
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 45 11.91 13.61 0.00% 2.64
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等なし 40 5.73 5.70 0.00% 4.58
150120xx99x1xx 脳性麻痺 人工呼吸等あり 26 4.65 8,80 0.00% 6.65
 前年36件で第4位だった喘息が53件でトップになり、55件でトップだった脳性麻痺が26件で第5位になったのが目立ちます。下気道感染症、尿路感染症、ウイルス性腸炎は横ばいです。これはコロナ禍で人の移動が制限されていたものが徐々に解除され、気道感染症が増えてきたことを反映していると考えています。ライノ・エンテロウイルスは喘息発作の誘発因子になっており、下気道感染症そのものによる入院には至らなくても、喘息発作を誘発されて入院となった症例が増えたものと思われます。その一方、脳性麻痺の患者の入院が減っているのはいわゆる医療支援入院がスタッフの新型コロナウイルス感染症で制限された時期があるためと考えます。これからも救急医療、医療的ケア児の医療、在宅医療に力を入れていきたいと思います。
新生児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 手術・処置等なし 154 6.61 6.13 0% 0
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満) 手術・処置等なし 123 7.38 10.92 0% 0
140010x299x2xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満) パリビズマブ 35 31.86 28.04 0% 0
140010x299x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満) 人工呼吸等 28 28.68 20.87 0% 0
140010x497x4xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1000g未満) 肺サーファクタントありかつパリビズマブあり等 17 137.00 128.34 0% 0
 一年間に生まれてくる新生児の数はついに81万人まで減ってしまい、我が国の少子化はさらに一層深刻の度合いを増しています。一方で、生まれてくる一人一人の新生児は、ご家族だけでなく社会にとってもとても貴重な存在になっていると言う事でもあります。当センターは埼玉県内に2カ所ある総合周産期母子医療センターの一つで、年間およそ650人の新生児が入院し、そのうちの約半数は出生体重が2500g未満の低出生体重児です。最近は、出生体重が1000g未満の特別に小さな児も少なくありません。昨年度も多くの低出生体重の赤ちゃんが入院し、多くの子ども達が元気にご家族の元へ帰って行きました。
 どんなに小さく生まれようとも、また、どんなに大変な状態で生まれようとも、一人一人の赤ちゃんが元気になってご家族の元に帰って行く事。そして健やかに成長してゆく事を願って、私たちは引き続き、毎日精一杯努力して行きたいと思います。
小児循環器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
14031xx003x0xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 心室中隔欠損閉鎖術 単独のもの等 - - 13.75 - -
14031xx09910xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 心臓カテーテル法による諸検査 - - 4.18 - -
14029xxx01x0xx 動脈管開存症、心房中隔欠損症 弁形成術等 - - 14.46 - -
050070xx99000x 頻脈性不整脈 手術・処置等・定義副傷病 なし - - 6.24 - -
060130xx0200xx 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患) 内視鏡的消化管止血術等 - - 8.87 - -
 小児循環器専門医3名(県内2位)が在籍し、先天性心疾患、不整脈、川崎病、心筋疾患など幅広い疾患、すなわち小児循環器疾患全般に対応しています。対象は胎児から小児期全般まで、一部の先天性心疾患では成人まで幅広く診療しています。当科の活動は、院内外の幅広い部門の協力を得ながら行っており、PICU(小児集中治療室)・NICUに入院時はPICU・NICUが主科となっているため、この表の数は氷山の一角です。胎児については母上のお腹の中におり、入院時は産科の病棟です。また、当院では先天性心疾患の開心術を2020年に開始し、順調に症例を重ねています。手術は埼玉医科大学3病院チームの総力を挙げて施行する体制です。症例毎に最適な治療計画を立てますので、どのような症例でもご相談をお受けしています。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 187 11.99 9.38 0.00% 34.84
120170x199xxxx 早産、切迫早産(妊娠週数34週未満) 手術なし 75 32.77 20.78 18.67% 33.28
120170x101xxxx 早産、切迫早産(妊娠週数34週未満) 子宮破裂手術等 75 53.08 36.67 0.00% 33.12
120260x001xxxx 分娩の異常(分娩時出血量2000ml未満) 子宮破裂手術等 57 11.09 9.37 0.00% 36.00
120182xx02xx0x 前置胎盤及び低置胎盤 子宮筋腫摘出(核出)術 腟式等 34 9.53 13.61 0.00% 33.88
 当院総合周産期母子医療センターは国内最大規模であるため、妊娠28週未満に出生する可能性のある非常に重症な切迫早産症例が多いことが特徴です。極力早産を防ぐべく、子宮収縮抑制薬を最大量まで使用し、早産の主原因である絨毛膜羊膜炎に対しては、厳格な抗生物質による治療を行っていますが、治療に抗して早産となる症例も少なくありません。胎児の状況を勘案して、可能な限り負荷を少なくするため、分娩様式はしばしば帝王切開が選択されますが、スムースな経腟分娩が予想される場合は経腟分娩も行っています。また、多胎妊娠症例も年間120〜130例あり、これもDPCコード120170の多い一因となっています。さらに、埼玉県から委託された「母体救命コントロール事業」では、前置癒着胎盤や脳出血のリスクの高い妊娠高血圧症候群などの搬送を原則全例応需しているため、DPCコード120180、120260、120182が多い一因となっています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 175 7.13 5.98 0.00% 43.03
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 102 6.18 6.04 0.00% 42.67
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 78 11.92 10.48 0.00% 58.86
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 62 2.47 3.02 0.00% 39.26
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 49 13.88 9.27 2.04% 46.45
 当院には国内最大級の規模を持つ周産期センターがあるため、産科の症例数を多く取り扱っていますが、不妊症治療や悪性腫瘍を含む婦人科手術にも力に入れています。特に近年では腹腔鏡手術が充実しており、子宮筋腫や卵巣嚢腫の手術はほとんどが腹腔鏡またはロボット(Da Vinciシステム)を用いて行われています。初期の子宮頸部悪性腫瘍では子宮を温存しています。生理痛、生理不順、赤ちゃんが欲しい〜妊娠、出産、更年期など、女性の身体は年齢によって様々に変化していくため、そのライフサイクルの中で遭遇する悩み事も様々です。私達は、多くの女性の方々の力になれるように、幅広い分野に対応できる充実した設備を持っています。
内分泌・糖尿病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) インスリン製剤 39 13.92 14.28 2.56% 68.64
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 手術・処置等・定義副傷病なし 15 13.73 13.43 6.67% 40.27
10006xxxxxx1xx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) インスリン製剤 10 9.20 13.16 0.00% 42.90
100250xx99x21x 下垂体機能低下症 手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病あり - - 8.01 - -
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等なし - - 10.80 - -
 内分泌・糖尿病内科では埼玉県地域医療計画に基づき地域医療連携を通した専門診療を実施しており、医療圏における糖尿病重症化予防対策と希少難治性疾患の診断治療を重点的に取り組む方針を取っています。また、1型糖尿病症例に対して積極的にインスリンポンプなどを導入し治療をしています。急性期医療としての入院診療では糖尿病ケトアシドーシスや非ケトン性高浸透圧状態患者を多く診療する一方で、糖尿病を合併する外科症例、救急症例そして周産期症例等の難易度の高い症例の診療実績が多く、当科では積極的にチーム医療を推進し看護部、薬剤部、栄養部による多職種チームである代謝メディカルチームによる疾患横断的な栄養代謝管理を行っています。 
 外来診療では内分泌疾患を数多く診療し、特にバセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患の症例数は群を抜いており、地域の専門的な内分泌拠点医療施設として機能しています。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130010xx97x2xx 急性白血病 リンパ節摘出術等 化学療法あり 28 43.79 37.16 3.57% 57.43
130030xx97x50x 非ホジキンリンパ腫 リンパ節摘出術等 リツキシマブ+フィルグラスチム等 21 45.90 30.75 0.00% 64.86
130040xx99x5xx 多発性骨髄腫、免疫系悪性新生物 手術なし ダラツムマブ等 19 22.05 16.47 5.26% 66.42
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし リツキシマブ 14 24.93 10.00 7.14% 71.43
130010xx97x0xx 急性白血病 リンパ節摘出術等 手術・処置等なし 13 24.00 14.33 15.38% 77.77
 血液内科では従来より急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器腫瘍に対する入院化学療法治療を数多く行っておりますが、新規治療薬の増加による予後の改善によって従来治療法がなかった再発又は難治、高齢者といった重症例に対する治療が増えています。1列目の「急性白血病 手術あり」では患者数が多く在院日数も長いですが、これは従来治療法のなかった高齢者に対する化学療法が開発されたため治療適応となった高齢の患者数が増加したためと考えます。悪性リンパ腫や多発性骨髄腫では患者のQOLを考慮して入院をせず外来で化学療法を導入する例も増加しておりますが、2列目の「非ホジキンリンパ腫 手術あり」では、確定診断のつかない悪性リンパ腫疑いの重症例あるいは全身状態不良症例が、総合病院である当院の各科への紹介を介して血液内科に紹介となる例が多く、生検から診断と治療開始後の全身状態改善までの日数が長くなるため在院日数が長くなる傾向になっていると考えます。また、3列目の「多発性骨髄腫」も入院が必要となるような脊椎圧迫合併や再発・難治などの全身状態不良例が多いためと考えられます。4列目の「非ホジキンリンパ腫」と5列目の「急性白血病」では再発・難治症例、終末期症例が多く全身状態も不良のため在院日数が長いと考えられますが、早期の転院や在宅診療導入など患者背景に応じた対策を入院の早い段階から進めるなど改善できる余地があると考えます。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 149 9.92 8.60 2.01% 70.30
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等なし 70 23.46 18.57 7.14% 70.90
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術・処置等なし 51 21.20 13.49 15.69% 70.57
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍 手術なし ニボルマブ 経気管肺生検法等あり 29 5.24 3.05 3.45% 76.62
040040xx9902xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 化学療法なしかつ放射線療法あり 28 29.93 20.04 28.57% 72.82
 当科では、さまざまな呼吸器疾患を扱っています。外来を受診された患者さんで、入院が必要な場合は、当科の入院病床には限りがあるため、近隣の病院へお願いすることがあります。その状況の中で、呼吸器内科の専門的な診療を必要とする場合は、当院での入院をお願いしています。その状況の中で、肺がんを疑われる患者さんの気管支鏡などによる生検診断のための入院や、診断後の治療のための入院、間質性肺炎の治療のための入院が多くなっています。またこれら疾患に関して、専門的に診療している病院は近隣になく、転院後も引き続き当科で診療を継続させて頂くことが多いような状況です。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) エダラボンあり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 42 21.05 15.97 40.48% 67.24
010155xxxxx00x 運動ニューロン疾患等 手術・処置等・定義副傷病 なし 18 15.44 13.13 0.00% 64.33
010090xxxxx0xx 多発性硬化症 手術・処置等なし 17 15.65 14.51 0.00% 55.06
010080xx99x0x1 脳脊髄の感染を伴う炎症 手術・処置等なし 15歳以上 16 19.25 16.85 0.00% 47.06
010110xxxxx4xx 免疫介在性・炎症性ニューロパチー ガンマグロブリン 15 33.80 16.50 33.33% 60.73
(1)当院は、埼玉県急性期脳梗塞治療ネットワーク(SSN)の基幹病院であり、近隣地域の救急隊、他の医療機関と緊密に連携し、脳梗塞をはじめとする超急性期の脳血管障害症例の診療に積極的に取り組んでいます。また超急性期の脳梗塞のみならず、発症早期の一過性脳虚血発作、頸動脈などの頭蓋外および頭蓋内脳動脈の閉塞・狭窄による脳虚血症状を有する症例についても他施設、および脳神経外科と協同し幅広く診療しています。当科入院の脳梗塞症例の特色は、心原性脳梗塞をはじめとする重症例が多いことです。適応症例について血栓溶解療法(t-PA静注療法)、血管内治療(カテーテルによる血栓回収療法)による血行再建療法を脳神経外科と協同し積極的に行っています。
 2022年度の脳梗塞の総件数は224件でした(3日以内201件、その他23件)。従いまして、一過性脳虚血発作を含む脳梗塞のほとんどが3日以内に入院していることが示されています。実際、発症から数時間で来院し、速やかに治療を開始しています。コロナの影響もあり2022年度の脳梗塞(3日以内)の入院件数は201件と、2021年度の251件と比較して減少し、平均在院日数は昨年度19.0→ 22.57日と延長し、転院率48.3→ 48.0%と横ばいで推移しています。当院において基幹病院としての急性期治療、リハビリが適切な行われ、地域医療連携によるリハビリ転院が円滑に進められていると考えられます。
(2)免疫介在性・炎症性ニューロパチー ガンマグロブリンあり
当科のギラン・バレー症候群(GBS)、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)をはじめとする免疫性ニューロパチー入院症例数は国内有数の実績を誇り、治療介入臨床試験も積極的に行っております。これらの疾患について、当科での平均在院日数33.80日が全国平均16.50日よりも多く、転院率が約33%と比較的低い理由として、重症でかつ専門的治療を継続的に必要とする症例の来院・紹介が多いことがあります。ガンマグロブリンの供給が全国的に滞っていることも、神経免疫疾患を多数集め集約的に診療を行っている当科に症例が集中する要因となっています。当科では免疫グロブリン療法、血漿浄化療法を積極的に行い、かつ先進的高度医療を積極的に取り入れ,可能な限り平均在院日数の短縮につながるよう治療にあたっております。
(3)脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし
当科では,重篤で集中治療を要する感染性脳炎、感染性髄膜脳炎例の入院が多く、かつ免疫性疾患、変性疾患との鑑別が難しい非典型的感染性脳脊髄炎、髄膜炎例が診断・治療目的で紹介される場合が多いことが特徴です。そのため、診断、治療および回復までの期間に時間を要する症例の割合が多く、平均在院日数19.25日が全国平均16.85日よりも多くなっております。今後も重症例、難治例、診断困難例の紹介を積極的に受け入れ、引き続き早期診断に務め、早期かつ的確な治療を行い、重症度の高い患者には早期から集中管理下で高度医療を積極的に施行していきます。
(4)多発性硬化症
当科は多発性硬化症の診療において国内有数の実績を誇っております。入院診療では、新規診断の症例、再発の症例が含まれます。他施設から治療抵抗例、診断難渋例の紹介が増えておりますが、迅速な診断と治療介入により平均在院日数は15.65日と全国平均14.51日とほぼ同等です。新規症例につきましては引き続き早期診断、早期治療を行い、疾患活動性の高い患者へは早期から治療効果の高い疾患修飾薬の投与を行っていきます。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160620xx01xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。) 腱縫合術等 98 9.30 13.19 2.04% 36.52
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 98 20.33 20.14 2.04% 68.65
160610xx01xxxx 四肢筋腱損傷 靱帯断裂形成手術等 87 8.09 16.41 1.15% 67.21
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 78 21.72 22.44 5.13% 73.77
070050xx97xxxx 肩関節炎、肩の障害(その他)  肩腱板断裂手術等 36 12.92 20.55 8.33% 75.69
・肘、膝の外傷
 膝の外傷では、前十字靱帯損傷、半月板損傷に対する関節鏡手術を多く手がけています。関節鏡は低侵襲で様々な処置を行うことができ膝関節では一般的な手技ですが、合併症なく行うには技術的な慣れが必要で多くの手術件数をこなしている必要があります。半月板損傷に対しては関節軟骨保護、膝関節機能のためできるだけ切除術ではなく縫合術を選択し半月板温存を図るようにしております。また、救急に力を入れている当院の特色もあって、交通外傷による後十字靭帯損傷に対する手術も多く手がけています。
 数は多くありませんが、肘関節鏡も行っています。野球をはじめとするスポーツや加齢によって生じた変形や遊離体(関節ねずみ)に対する切除術を中心に行っています。
・股関節骨頭壊死、股関節症変形性股関節症(加齢によって関節の軟骨がすり減り痛みが生じている病態)や大腿骨頭壊死(股関節の太もも側の骨が何らかの原因によって潰れている病態)、関節リウマチによる関節破壊に対して、人工股関節全置換術を行っています。手術方法を工夫し股関節の安定性に重要な役割を果たす靭帯を温存するようにしたところ、早期に歩行自立を達成される患者さんが多くなり患者数も増加し、入院期間は2019年は在院日数が22.28日でしたが2022年は在院日数が20.33日と短縮しました。病院の特徴として重篤な全身合併症を抱えておられる患者さんも多く、そういった患者さんの入院が長期にわたる例もありますが、特に手術後に問題がない場合は、10日-2週間ほどで退院される患者さんがほとんどです。
・四肢筋腱損傷
 当科での四肢筋腱損傷に対する治療の多くは、腱板という肩を支える組織に生じた断裂を修復する腱板縫合術です。一度に大きな力が加わって断裂することよりも加齢によって擦り切れて断裂することが多いため、中高年者に多く見られます。腱板断裂を生じると上肢の挙上が痛みや脱力のため困難となったり夜間痛を生じたりします。注射やリハビリテーションなどの保存療法で改善しない場合が手術適応となります。当院では腱板縫合は関節鏡による低侵襲手術で行っており早期の回復が見込めます。入院期間は1週間-10日ほどです。手術後は肩を装具で固定しますが、外来でのリハビリテーションで徐々に肩の動きを拡大していきます。腱板縫合術は術後の疼痛が強いことが多いため、麻酔科の協力を仰ぎ神経ブロックにより術後疼痛の緩和を図っています。
・膝関節症
 人工膝関節置換術は、変形性膝関節症(加齢によって関節の軟骨がすり減り痛みが生じている病態)に対する最も一般的な手術法です。変形の程度や活動度に応じて、関節をすべて人工関節に変える全置換術とするか、変形の強い部分だけを変える部分置換手術とするか選択します。入院期間は片側手術であれば術後2週間程度で退院する患者さんがほとんどですが、両側同時手術を行う患者さんや多くの合併症をもっておられる高齢患者さんなどでは少し長くなります。ただ術式の改良等もあり、2020年の在院日数が23.42日でしたが、本年度は21.72日と短縮しました。また関節変形が重度ではない症例に対しては、膝周囲骨切り術も行っています。骨切り術の利点は、関節が温存されるため術後の活動に制限がなく、しゃがみ動作など膝を深く曲げることも可能なことです。若くて活動性の高い患者さんにお勧めしています。
・肩関節炎、肩の障害
 肩関節の変形の強い方への人工関節置換術や肩関節内視鏡を用いた損傷部位の除去手術などを行っています。平均在院日数は全国平均よりも短く、今後も患者数が増加する見込みです。転院される方は肩以外の疾患をお持ちの場合になります。
形成・美容外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070520xx97xxxx リンパ節、リンパ管の疾患 リンパ管吻合術等 41 9.63 8.32 0.00% 64.90
160200xx02000x 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等・定義副傷病 なし 37 4.57 4.72 0.00% 28.97
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法等 28 4.25 2.90 0.00% 67.21
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 14 16.07 9.99 0.00% 47.21
02001xxx97x0xx 角膜・眼及び付属器の悪性腫瘍 眼瞼結膜悪性腫瘍手術等 13 12.92 7.47 0.00% 69.62
 リンパ浮腫は、がんの治療や先天的な異常で四肢のリンパの流れが障害されておこる難治性のむくみで、放置すれば象皮症のように極端に悪化することがあります。治療は圧迫療法などの保存的治療と、滞ったリンパ管にバイパスを作り流れを改善する外科的治療を組み合わせて治療を行います。最近の傾向として、できるだけ病態が進行しないうちに手術を行う方が5年後の治療経過がよいため、手術のタイミングは早めに判断するようになってきています。この手術では顕微鏡下に血管やリンパ管を吻合するマイクロサージャリーという技術を用い、体の負担を極限まで少なく配慮しながら行います。保存療法と手術治療を絶妙に組み合わせると良好な成果を上げられることから、院内・院外から多くのご紹介をいただいております。この「マイクロサージャリー」の技術を用いる治療分野としては、他にも乳がんの治療で乳房を失った場合に行われる「乳房再建」でも用いられます。たとえば患者さん自身のお腹などの皮膚・脂肪組織をこのマイクロサージャリーの技術を用いて胸に移植し自然な乳房の形を再現することができます。乳癌術後の乳房再建においては患者さんの希望・状況に応じてシリコンインプラント、自家組織再建とも偏りなく行っています。また、ブレストケア科との連携により乳癌と同時に組織拡張器を挿入する一次再建にも力を入れています。
 鼻骨骨折は顔面骨骨折の中で最も多く、鼻の変形をきたすことがあります。鼻の形を十分評価して必要であれば鼻骨骨折整復固定術を行いますが、当院では全身麻酔下に行うことで、患者さんの痛みを最小限にしつつ十分な整復を行うようこころがけています。また頬骨骨折や眼窩底骨折なども頻度の高い顔面骨骨折に含まれており、積極的に治療を行っています。 
 眼瞼下垂症は生まれつき・外傷性・加齢性などさまざまな原因で上瞼(まぶた)が開けにくくなり、瞼が重たく感じたり、視野の邪魔になったりする状態です。瞼の解剖や機能を熟知した形成外科医が手術を行うことで患者さんの術後の満足度に貢献しています。当院ではまぶたに特化した専門外来(まぶた外来)を開設しており、整容面・機能面での改善を必要とされる多くの患者さんを他院からご紹介いただいております。
 最近は眼瞼腫瘍の切除・再建術にも力をいれています。眼瞼腫瘍は皮膚腫瘍の中でも稀であり、また眼瞼は眼球を保護する重要な役目をしているため専門的な診療が必要となります。眼科と密な連携を組み、整容面・機能面とも十分な治療を行えるため、ご紹介いただく患者さんも増加傾向です。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 61 6.44 5.69 0.00% 38.05
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 59 8.25 7.73 0.00% 25.93
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 59 7.14 6.23 0.00% 55.80
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 舌下腺腫瘍摘出術等 59 6.80 6.81 0.00% 58.59
030428xxxxxxxx 突発性難聴 52 7.90 8.56 0.00% 52.29
 扁桃周囲膿瘍、突発性難聴は緊急入院の対象となる疾患で、全国的に見てもかなり症例数が多いです。慢性扁桃炎に対しては口蓋扁桃摘出術が主たる治療になります。また、突発性難聴に対しては副腎皮質ステロイド大量投与療法(点滴)を中心とする治療を行っております。いずれの疾患の在院日数は全国平均在院日数とほぼ同等となっています。また、これら5つの疾患の治療は当科のみで完結しています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 水晶体再建術等 片眼 735 3.11 2.63 0.00% 74.23
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 網膜光凝固術等  87 4.98 5.80 0.00% 66.91
020160xx97xxx0 網膜剥離 網膜光凝固術等 片眼 83 7.23 8.05 0.00% 57.46
020180xx97x0x0 糖尿病性増殖性網膜症 網膜光凝固術等 片眼 34 5.85 6.31 2.94% 60.29
020240xx97xxx0 硝子体疾患 硝子体切除術 片眼 29 29 5.07 0.00% 66.86
 白内障手術は、散瞳不良、進行例、水晶体振盪、水晶体脱臼などの難易度が高い症例、高齢や全身合併症のため入院が必要な症例、全身麻酔下での手術が必要とされる症例などが紹介されてくることが多いです。全身麻酔下での白内障手術は、両眼同時に行うこともあります。白内障手術は原則、2泊3日の入院で行っていますが、全身状態が悪い方は、入院退院の負担を軽減するため、月曜日入院し、火曜と金曜に片眼ずつ行い、土曜に退院する場合があります。1泊2日入院や日帰り白内障手術に関しては検討中です。網膜剥離、黄斑前膜、黄斑円孔、糖尿病網膜症、硝子体出血などに対する網膜硝子体手術が多いのも基幹病院としての特徴です。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 37 9.92 7.29 0.00% 73.95
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等なし 30 19.13 13.50 0.00% 59.50
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等  19 5.47 3.94 0.00% 48.16
080110xxxxx0xx 水疱症 手術・処置等なし 18 47.78 28.56 11.11% 74.17
080090xxxxxxxx 紅斑症 18 21.22 10.58 0.00% 50.44
1) 皮膚の悪性腫瘍 (黒色腫以外) : 「扁平上皮癌」や「基底細胞癌」が中心ですが、「外陰部乳房外パジェット病」にも対応しています。腫瘍切除後に単純縫縮が困難な場合は、皮弁形成術や植皮術、人工真皮固定術を行っております。
2) 膿皮症 : 皮膚の細菌感染症である「蜂窩織炎」や「丹毒」が中心です。重症化し易い糖尿病患者や免疫抑制剤を使用中のリウマチ疾患患者、高齢者も受け入れています。抗生剤治療に加えて、必要に応じて壊死組織の外科的切除、持続陰圧療法なども行っています。
3) 皮膚の良性新生物 : 「脂肪腫」や「色素性母斑 (ほくろ)」、「脂腺母斑」が中心です。多くの方は術後早期に退院し、外来再診時に抜糸しています。術後に長期安静が必要な「巨大腫瘍」や「毛巣洞」は創部が落ち着くまで入院としているため、平均在院日数が全国平均よりもやや長めになっています。
4) 水疱症 : 自己免疫性水疱症 (「天疱瘡」や「類天疱瘡」) が中心です。副腎皮質ホルモンの内服・外用治療のほか、難治例ではステロイドパルス療法や免疫抑制薬治療、免疫グロブリン大量療法、血漿交換療法を組み合わせて対応しています。
5) 紅斑症 : 発熱や粘膜疹を有する「多形滲出性紅斑」が中心です。主に補液やステロイド内服治療などを行っています。その他、「紅皮症」や「結節性紅斑」、「スイート病」にも対応しています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺針生検法 208 2.61 2.45 0.48% 72.64
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 99 10.86 11.30 0.00% 69.53
110070xx03x20x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 化学療法あり 62 8.05 6.66 0.00% 72.82
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 55 6.65 5.29 0.00% 61.84
110070xx99x20x 膀胱腫瘍 手術なし 化学療法あり 50 10.68 9.51 2.00% 75.92
・前立腺の悪性腫瘍 前立腺針生検法あり
 前立腺針生検は、前立腺癌の診断を確定し、治療方針を正確に決めるために必須の検査です。当センターでは、経直腸超音波ガイド下経会陰生検法を採用しています。感染の合併症が少なく、局所麻酔で施行できる利点があります。
・前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等あり
 当センターでは2020年10月よりダヴィンチ・システムを用いたロボット支援前立腺全摘除術を導入しました。根治性を維持しつつ、より低侵襲な治療を提供しています。
・膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術あり
 膀胱腫瘍または膀胱がんに対して、診断の確定と治療を目的に行う手術です。
・上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術あり
 腎結石、尿管結石に対する標準的手術です。当センターでは、合併症などにより他院での治療が難しい患者さんに対しても麻酔科をはじめとした各診療科と連携をとり安全な治療を提供しています。大きな腎結石の方に対しては、経皮的結石破砕術と組み合わせて行う手術(Endoscopic Combined Intra Renal Surgery:ECIRS)をご提案することもあります。
・膀胱腫瘍 化学療法あり
 進行膀胱がんに対して、抗がん剤・手術・放射線・免疫療法を組み合わせた集学的治療を積極的に行っています。転移・再発性の膀胱がんの患者さんには従来の抗がん剤治療をはじめ免疫チェックポイント阻害剤であるペムブロリズマブやアベルマブ、抗体薬物複合体であるエンホルツマブ・ベドチンといった様々な治療方法を提供できる環境が整っています。
救命救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160870xx01x00x 頸椎頸髄損傷 脊椎、骨盤脱臼観血的手術等 109 34.48 30.41 76.15% 71.64
160690xx01xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 脊椎、骨盤脱臼観血的手術等 41 54.17 31.20 65.85% 26.00
160990xx97x0xx 多部位外傷 四肢切断術等 29 38.14 16.93 55.17% 57.72
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等・定義副傷病 なし 28 2.04 3.61 10.71% 36.96
160870xx97x00x 頸椎頸髄損傷 その他の手術あり  24 9.63 20.87 8.33% 66.25
救命救急センターには外因性・内因性を問わず多岐にわたる患者さんが入院されますが、当高度救命救急センターは本邦随一の本格的な外傷センター、そして埼玉県ドクターヘリの基地病院として、県全域から365日24時間体制で重症外傷の患者さんを多く受け入れ高度な治療を行っています。治療成績については、下記のリンク先をご参照ください。
救命救急科 治療成績
小児科(PICU)
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 24 11.13 5.89 8.33% 1.17
060160x101xxxx 鼠径ヘルニア(15歳未満) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 19 3.21 2.78 0.00% 1.00
140590xx97xxxx 停留精巣 停留精巣固定術 17 3.00 3.00 0.00% 2.12
150040xxxxx0xx 熱性けいれん 手術・処置等なし 11 2.73 3.64 0.00% 2.18
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術・処置等・定義副傷病 なし - - 8.54 - -
 当院の小児集中治療室(PICU)は、院内、院外、疾患の種類の有無にかかわらず、すべての小児の重症患者に対して24時間、365日対応しております。小児の重症の内科疾患においては呼吸不全が多く、肺炎、細気管支炎、慢性呼吸不全、ARDSなどの症例が多くなります。外科疾患においては、術後無呼吸を起こすような乳児の鼠径ヘルニアや停留睾丸の手術、術後気道狭窄を起こす扁桃&アデノイド手術、ハイリスクな重症心身障害の気管切開、胃ろう手術、術後管理が必要な先天性心疾患手術、脳外科手術、外傷疾患に対する手術などに対応しています。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
感染症科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050090xx97x0xx 心内膜炎 弁置換術等 - - 38.90 - -
040170xxxxxx0x 抗酸菌関連疾患(肺結核以外) 定義副傷病 なし - - 8.81 - -
180010x0xxx0xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等なし - - 19.61 - -
060335xx97x00x 胆嚢炎等 その他の手術あり  - - 16.63 - -
- - - -
 令和4年度については、感染症科として専門性の高い疾患である感染性心内膜炎や抗酸菌感染などについての入院診療を行った。実際には総合診療内科・感染症科と合同で診療を行っているため、上記の指標のみで当科の入院診療実績を反映しているわけではありません。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
総合診療内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし - - 13.61 - -
180020xxxxxxxx 性感染症 - - 9.89 - -
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等なし - - 13.50 - -
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く。) 定義副傷病 なし - - 9.48 - -
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等・定義副傷病 なし - - 14.67 - -
 令和4年度は総合診療内科・感染症科の入院患者さんの多くが新型コロナウイルス感染症の患者さんでした。このため、当指標は同科の今年度の入院診療実績を反映するものではありません。
 当科では大学病院、地域の中核病院の総合診療内科として、近隣医療機関で診断困難な不明熱症例や難治性全身感染症(感染源不明な敗血症、H I V、輸入感染症、真菌症、梅毒、抗酸菌症)など専門性の高い臓器不定疾患に対応しています。コロナ禍においては総合医療センターの総力を上げて、第1波から重症例を含めた新型コロナウイルス感染症を受け入れてまいりました。当科は院内のコロナ感染対策やコロナ病棟の運営にあたり、各部署の協力のもとリーダーシップをとってまいりました。引き続き、当院で対処可能な新興再興感染症や不明熱、敗血症、輸入感染症症例に対応して地域の中核病院としての役割を果たしたいと考えております。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 74 17 33 35 129 13 1 8
大腸癌 21 84 93 91 147 43 1 8
乳癌 59 56 14 - 19 17 1 8
肺癌 154 42 95 282 76 189 1 8
肝癌 - 11 - 15 79 36 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【対象・集計条件】
 5大癌とよばれている胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝がんの治療で入院した患者さんをがんの進行ステージと治療後再発した症例数に分けて集計しております。当院では早期がんに対する内視鏡治療をはじめ、胸腔鏡や腹腔鏡を中心とした比較的患者さんにとって負担の少ない手術方法から、抗がん剤治療、放射線治療や痛みの管理などの緩和ケア等、患者さんのステージに応じた医療を提供しています。
※ステージ0の患者さんは除いて集計されています。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。

【参考】
・国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん情報」
 URL: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
・国立がん研究センター がん情報サービス
 胃がん  URL:https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/index.html
 大腸がん URL:https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/index.html
 乳がん  URL:https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/index.html
 肺がん  URL:https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/index.html
 肝がん  URL:https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/index.html
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 10 34.80 81.1
重症 35 17.20 72.57
超重症 - - -
不明 57 20.86 73.31
 日本呼吸器学会が定めている年齢や検査データ、身体の状態によって軽症、中等症、重症、超重症に分類するA-DROP分類にて集計しています。当院は高度急性期を担う医療機関であり、中等症~超重症に該当する患者さんがほとんどです。患者さんの状態に応じて救命救急センターにて治療を行うこともあります。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 201 23.57 71.89 47.76%
その他 23 25.87 67.70 39.13%
 当院は、埼玉県急性期脳梗塞治療ネットワーク(SSN)の基幹病院であり、近隣地域の救急隊、他の医療機関と緊密に連携し、脳梗塞をはじめとする超急性期の脳血管障害症例の診療に積極的に取り組んでいます。また超急性期の脳梗塞のみならず、発症早期の一過性脳虚血発作、頸動脈などの頭蓋外および脳動脈の閉塞・狭窄による脳虚血症状を有する症例についても他施設、および脳神経外科と協同し幅広く診療しています。当科入院の脳梗塞症例の特色は、心原性脳梗塞をはじめとする重症例が多いことです。適応症例について血栓溶解療法(t-PA静注療法)、血管内治療(カテーテルによる血栓回収療法)による血行再建療法を脳神経外科と協同し積極的に行っています。
 2022年度の脳梗塞の総件数は224件でした(3日以内201件、その他23件)。従いまして、一過性脳虚血発作を含む脳梗塞のほとんどが3日以内に入院していることが示されています。実際、発症から数時間で来院し、速やかに治療を開始しています。2022年度の脳梗塞(3日以内)の入院件数は201件と、2021年度の257件と比較して減少し、平均在院日数は2021年度20.67→ 2022年度23.57日と延長しましたが、転院率45.09→ 48.0%と増加しております。当院において基幹病院としての急性期治療、リハビリが適切に行われ、地域医療連携によるリハビリ転院が円滑に進められていると考えられます。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
消化器・肝臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 279 1.06 1.10 0.00% 67.96
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 140 2.66 8.84 3.57% 70.63
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 98 1.85 4.50 0.00% 75.37
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 60 1.98 4.13 0.00% 69.45
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 44 1.43 6.86 0.00% 76.02
 大腸のポリープは良性でも将来癌になる可能性があるので、ある程度の大きさになると大腸のカメラ(内視鏡)を使って切除します。胃や十二指腸のポリープ、さらに早期の胃癌も内視鏡で切除可能です。また、食道や胃、大腸の出血もまず内視鏡で観察して、出血している血管をクリップで挟んだりして止血を試みます。さらに極めて高度な治療として、胆管が炎症や癌などにより狭くなったり途絶したりした場合には、内視鏡でチューブを挿入して胆管を広げるステント留置術を行います。また、肝臓の癌に対して足の付け根の動脈からカテーテルを挿入して癌のすぐそばまでカテーテルの先を進めてから抗癌剤を注入し、癌を養う血管を詰める治療も数多く行われています。
心臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 154 1.59 2.33 0.72% 69.96
K597-2 ペースメーカー交換術 35 1.06 6.40 0.00% 77.23
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術 不安定狭心症に対するもの 35 0.03 20.92 5.71% 70.50
K5461 経皮的冠動脈形成術 急性心筋梗塞に対するもの 32 0.00 18.97 6.25% 69.88
K5972 ペースメーカー移植術 経静脈電極の場合 22 6.47 8.05 0.00% 75.89
 心臓内科では虚血性心疾患(冠動脈の狭窄・閉塞)に対する治療を、カテーテルという細い管を用いて積極的に行っています。これをカテーテルインターベンションといいます。
 親指の付け根・手首・肘・足の付け根などからカテーテルを局所麻酔で心臓まで挿入し、そこから冠動脈の狭くなっている部分へガイドワイヤーと呼ばれる細く柔軟な針金を通します。それに沿って風船を進め拡張することで狭くなっている箇所を押し広げます。続けてステントと呼ばれる網目状の金属をしっかりと留置することで、内側から確実に拡張します。これにより動脈硬化によって狭くなっていた冠動脈の血流が改善し、心臓への負担が回復します。現在は経皮的冠動脈ステント留置術が治療の主流となっておりますが、私共の施設では昨年最新式の血管撮影装置を導入し、最先端の治療が可能となりました。またその侵襲度を更に軽減させるために、なるべく細いカテーテルを用いながら親指の付け根や手首からのカテーテルインターベンションを実施できるように努めております。石のように進行した高度な動脈硬化に対してもダイヤモンドによる高速回転式切除術が可能です。
 今後の高齢化社会を考慮すると、これらの需要は高まることが必至であり、より安全かつ低侵襲で確実な治療が求められると考えております。
腎・高血圧内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの 112 7.00 16.38 5.41% 68.77
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 13 1.00 9.29 0.00% 41.71
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 10 3.60 14.60 0.00% 61.30
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 初回 - - - - -
K607-3 上腕動脈表在化法 - - - - -
 腎不全が進行し老廃物や水分が貯留してしまう場合に、血液を浄化する治療法として透析療法があります。透析療法には大きく分けて、「血液透析」と「腹膜透析」があり、どちらの治療も受ける場合には準備のための手術が必要となります。
 血液透析は血液を多量に体外に導き、血液透析膜を介して血液を浄化します。このため多量の血液が流れるように静脈と動脈を繋げた血管(内シャント)を作成する必要があります。これが「内シャント設置術」と呼ばれる手術です。腹膜透析は腹腔と呼ばれるお腹の空間に透析液を貯留することで血液を浄化させる治療です。腹腔内に透析液を貯留するためにカテーテルという管を挿入します。これが「連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術」と呼ばれる手術です。
 透析療法は患者さん自身のライフスタイルの一部となる治療であり、外来診療の経過の中で患者さんと相談しながら、透析が必要になった時期(透析導入期)に合わせて行う必要があります。いずれの治療法においても川越周辺の地域においては中心的施設であり最も多くの患者さんに対して診療にあたっています。
 また、安全に血液透析を開始された後でも、時間が経過するにつれ、ある一定の頻度で内シャントは狭窄や閉塞を起こします。血管にカテーテルを挿入し、内シャントの狭窄部をバルーンで拡張する方法を経皮的血管拡張術(PTA)といい、近年急速に広まっています。特に薬剤塗布バルーンカテーテルや人工血管被覆ステント留置など新規治療デバイスも積極的に使用し、先進的な取り組みを行なっていることから、県内全域からご紹介を頂いております。
 これら治療に関しまして、ご不明な点があれば何なりとご相談ください。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫洗浄・除去術(穿頭) 74 23.00 41.00 25.68% 84.00
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術 その他のもの 53 4.36 23.11 15.91% 53.61
K1781 脳血管内手術 1箇所 39 0.75 20.88 25.00% 60.75
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング 1箇所 24 2.38 31.96 37.50% 37.50
K145 穿頭脳室ドレナージ術 22 0.32 33.18 54.55% 54.55
 当科は、他の病院では治療困難な手術難易度の高い脳腫瘍や脳動脈瘤などの手術を数多くお引き受けしている施設です。本表の2位から4位がそれに該当しますが、実際にはこれらの手術に対してさまざまな手術を行っているため、脳腫瘍や動脈瘤の手術数はこちらの数字よりずっと多いものになります。正確な手術件数は当脳神経外科ホームページ(http:// https://www.smc-neurosurgery.com/)をご覧下さい。また慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術が1位、穿頭脳室ドレナージが5位となっていますが、これらはいずれも当科が救急医療にも注力している結果として、手術件数が多くなっています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5551 弁置換術 1弁のもの - - - - -
K5601ニ 大動脈瘤切除術(上行)(その他) - - - - -
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術 2吻合以上のもの - - - - -
K5541 弁形成術 1弁のもの - - - - -
K5943 不整脈手術(メイズ手術) - - - - -
 手術後の患者さんが安心できるまで入院して頂きながら診療している為、転院率は低く、入院期間はやや長くなっております。そして、多くの患者さんは紹介先や他院へと逆紹介しております。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
肝胆膵・小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 70 2.89 4.59 0.00% 63.09
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 43 3.42 11.49 0.00% 65.19
K7032 膵頭部腫瘍切除術 リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍切除術の場合又は十二指腸温存膵頭切除術の場合 28 1.86 24.00 0.00% 70.71
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 22 1.22 6.33 0.00% 71.17
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 17 1.00 1.00 0.00% 5.12
【肝臓・胆道・膵臓領域】
 近年では膵癌や胆管癌、転移性肝癌といった悪性疾患に対する手術件数が増加し、良性疾患である胆のう結石症に対する腹腔鏡下での胆のう摘出の件数は減少傾向です。
 病院の性質上、高難度と言われる手術を増加させることを周囲からも求められております。膵癌や胆管癌、肝臓癌に対する手術件数が近年増加しております。難治といわれる肝臓胆道膵臓領域の悪性疾患に対して、血管合併切除を要する拡大手術も積極的に導入し、治癒切除を目指しています。また重症肝不全に対する生体肝移植、末期腎不全に対する腎移植、Ⅰ型糖尿病に対する膵移植(膵腎同時移植)も併せて行っております。

【小児外科領域】
 5番目の腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側)は、女児の鼠径ヘルニアに施行しています。当科では女児には整容性に優れている腹腔鏡下手術を施行していますが、男児には安全性を重視して精管や精巣動静脈を直視下に確認できる従来法を行っています。
血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 40 5.55 12.93 2.50% 74.55
K5607 大動脈瘤切除術(腹部大動脈(その他)) 23 10.00 11.50 0.00% 77.50
K5612ロ ステントグラフト内挿術 1以外の場合 腹部大動脈 23 2.19 10.24 0.00% 78.48
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 22 1.05 1.00 0.00% 68.23
K6147 バイパス移植術(その他の動脈) 18 4.00 10.00 0.00% 75.00
 総合医療センター血管外科では、下肢閉塞性動脈硬化症、血管炎、バージャー病などの動脈閉塞性疾患や大動脈瘤・内臓動脈瘤など動脈瘤疾患、下肢静脈閉塞や静脈瘤などの静脈疾患など血管外科領域の疾患全般を対象に専門的な診療を行っています。
 最も多く行っている下肢動脈閉塞性疾患の手術では、特にCLTI患者は埼玉全域から多数紹介されており、そのため、在院日数は全国平均より長くなっていますが、患者さんの全身状態や組織欠損の進行に合わせて、バイパス手術だけでなく、血管内治療(EVT)および、その組み合わせのハイブリッド治療を行っています。近年、当科でもEVTが増加傾向にあり、低侵襲性を考慮した適応を遵守すれば有効な治療法であり、積極的に取り組んで行く方針です。しかし、侵襲がやや大きいバイパス手術も、局所麻酔と静脈麻酔を用いて安全に手術を行っており、術後合併症も迅速に対処することで結果として重症化を低く抑えられいます。また術後の患者に関しては、リハビリ目的で転院する患者さんも多く、地域関連病院の連携がより重要となっています。
 腹部腸骨動脈瘤の手術では、ステントグラフト治療と人工血管置換術を患者の身体的リスクに応じてバランス良く施行しています。最近は、解剖学的(形態的)理由で、ステントグラフト治療が不能のため人工血管置換術に回る患者も多くなり、リスクの高く難易度が高い手術も対応してます。術後合併症の発生率、治療成績ともに良好な結果を残しており、術後の患者に関しては、全員が自宅への退院が可能となっています。
乳腺科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4763 乳腺悪性腫瘍(乳房切除・腋窩部郭清伴わないもの) 61 1.00 7.56 0.00% 64.89
K4762 乳腺悪性腫瘍(乳房部分切除術)(腋窩部郭清を伴わない 24 1.13 3.25 0.00% 58.88
K4765 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの 21 1.14 10.43 0.00% 61.29
K6112 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) 12 0.09 1.45 0.00% 57.91
K4742 乳腺腫瘍摘出術 長径5センチメートル以上 10 0.83 2.33 0.00% 31.50
 手術症例の約2割に乳房を温存する手術を行っており、乳房を温存する割合は全国統計と同様に減少傾向にあります。近年では乳房を温存する手術で整容性が保てない症例に対しては、無理な乳房温存手術はせずに乳房全切除とともに乳房同時再建を行う傾向が多いのも一つの原因です(当院ではブレストケア科から形成外科に転科となるため掲載されておりません)。そして、乳房を温存する手術を行った場合には残乳房に対して放射線治療が予定されます。そのために、放射線治療のための通院が困難と想定される患者様(高齢者や通院困難者)には乳房を温存する手術を敬遠することがしばしば散見されます。また、約7割の症例に対しては脇のリンパ節郭清を行わずにセンチネルリンパ節を生検するのみで終了しているものが多いです。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性(肺葉切除1肺葉超手術用支援機器使用) 101 2.50 7.57 0.00% 72.36
K5131 胸腔鏡下肺切除(肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) 48 6.44 3.00 0.00% 38.11
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 区域切除 33 2.17 9.21 0.00% 75.21
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 28 1.95 5.84 0.00% 69.84
K513-2 胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術 11 1.82 5.36 0.00% 55.18
 総合医療センター呼吸器外科では、肺癌、転移性肺腫瘍などの肺悪性腫瘍や自然気胸、胸部外傷、炎症性疾患、気管・気管支狭窄など呼吸器外科領域の疾患全般を対象に専門的な診療を行っています。
 最も多く行っている肺悪性腫瘍の手術では、標準術式(肺葉切除+リンパ節郭清)はもとより難易度の高い手術とされている気管気管支再建術や血管形成術を駆使した機能温存手術、左心房や胸壁などを合併切除する拡大手術、患者さんの全身状態や癌の進行具合に合わせた縮小手術など様々な手術を行っています。近年、早期肺癌の患者さんには肺葉切除ではなく縮小手術である区域切除が行われることが増えつつあり、今後は区域切除が標準的手術となってゆく可能性が示されています。当科でも区域切除が増加傾向にあり、今後も積極的に取り組んで行く方針です。標準手術や縮小手術には胸腔鏡やダビンチ(手術支援ロボット)を用いた低侵襲手術を積極的に行っており、現在当科の肺悪性腫瘍手術では胸腔鏡やダビンチを用いた低侵襲手術が全体の88%を占めています。また肺嚢胞切除術は、比較的若い患者さんの自然気胸では全身麻酔下に胸腔鏡手術を行っていますが、高度の閉塞性肺疾患を合併した難治性気胸で他施設では全身麻酔下手術は不能とされた患者さんに対しては、硬膜外麻酔と静脈麻酔を用いて安全に胸腔鏡手術を行っています。
 当センターは埼玉県中西部の中核総合病院であるため、ご高齢の患者さんや合併疾患を有する患者さんも含め、他施設では治療に難渋する患者さんが数多く来院なさいますが、術後合併症の発生率、治療成績ともに良好な結果を残しています。昨年度はリハビリが必要な肺癌術後患者さんが1名転院となりましたが、それ以外は全員がご自宅へ退院なさっています。
消化管・一般外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 97 2.42 7.73 2.25% 71.20
K740-22 腹腔鏡下直腸切除・切断術 低位前方切除術 68 1.93 8.03 3.33% 68.03
K6335 ヘルニア手術 鼠径ヘルニア 54 1.58 2.92 0.00% 70.83
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 52 3.56 9.00 2.78% 2.78
K726-2 腹腔鏡下人工肛門造設術 45 2.47 15.20 17.78% 17.78
 定時手術、緊急手術にかかわらず術式の定型化に努め、大腸がんや胃がんにおいては、周術期治療内容も定型化している結果として、平均在院日数が全国平均を大きく下回っております。地域の特性上、リスクの高い患者さんの割合が高いものの、緊急手術を含めて低侵襲な外科治療を選択しています。ロボット支援手術を大腸がん、胃がんの標準術式として実施しており、今後食道がんにおいても導入する予定です。
新生児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9131 新生児仮死蘇生術 仮死第1度のもの 86 0.00 55.47 0.00% 0
K9132 新生児仮死蘇生術 仮死第2度のもの 45 0.00 98.96 4.44% 0
K7291 腸閉鎖症手術 腸管切除を伴わないもの - - - - -
K5351 胸腹裂孔ヘルニア手術 経胸又は経腹 - - - - -
K734 腸回転異常症手術 - - - - -
 当センターは埼玉県内に2カ所ある総合周産期母子医療センターの一つで、年間およそ650人の新生児が入院し、そのうちの約半数は出生体重が2500g未満の低出生体重児です。最近は、出生体重が1000g未満で生まれる特別に小さな児も少なくありません。
 新生児仮死蘇生術は、児が生まれた時の状態を点数化して評価し、点数に応じて処置方法が変わってくるため、出生した児、個々の状態に合わせて治療が選択されます。仮死状態で出生する新生児の数は年々減る傾向にありますが、より重症の仮死第2度の児については、退院まで長い期間が必要です。また、低出生体重児では、消化管穿孔などの外科的合併症を併発することもありますが、当科の合併症発生率は全国的に見ても低率です。
 出生直後からの緊急事態を乗り越え、ご家族のもとに元気な赤ちゃんをお返しできる様に、引き続き努力したいと思います。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
産科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 292 14.51 6.04 0.00% 34.21
K8981 帝王切開術 緊急帝王切開 197 12.21 6.86 0.00% 34.55
K9061 子宮頸管縫縮術 マクドナルド法 21 5.95 27.10 4.76% 35.00
K9062 子宮頸管縫縮術 シロッカー法又はラッシュ法 19 1.78 4.28 0.00% 35.00
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 14 1.00 4.25 0.00% 30.88
 当院総合周産期母子医療センターの特徴は、ほとんどの妊婦さんが何らかの合併症(例えば、妊娠高血圧症候群、糖尿病、高血圧、全身性エリテマトーデス、慢性腎炎、子宮筋腫など)を有しており、胎児機能不全を起こす可能性が高く、しばしば帝王切開や鉗子分娩による急速遂娩が必要となります。また、このような理由で前回帝王切開になった妊婦さん、あるいは子宮筋腫核出術後など、瘢痕子宮のため今回の分娩も帝王切開が選択される症例が多いです。これが、K8982やK8981が多い一因となっています。
 子宮頸管無力症による切迫流早産に対しては、シロッカー法やマクドナルド法による頸管縫縮術を必要としますが、このような既往を有する妊婦や妊娠初期・中期に頸管が短縮し、頸管無力症が疑われる妊婦の紹介が多いです。これが、K9061とK9062の多い一因となっています。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 150 1.30 5.77 0.00% 46.59
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 122 1.14 4.46 0.00% 42.90
K867 子宮頸部(腟部)切除術 63 0.46 1.00 0.00% 39.19
K877 子宮全摘術 53 3.26 10.25 1.89% 51.43
K872-2 腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術 46 1.07 4.00 0.00% 35.89
 卵巣のう腫や子宮内膜症など、良性の卵巣腫瘍に対してはほぼ全例を腹腔鏡下手術で行っています。子宮筋腫や子宮腺筋症などに対する子宮全摘手術に関しては、臍を超える大きなものに対しては開腹手術を行っていますが、それ以下のものに対しては腹腔鏡またはロボット(Da Vinciシステム)を用いて施行し、開腹手術より多くなっています。子宮筋腫に対しても多くを腹腔鏡またはロボットで行っており、妊娠・出産を希望する患者さんに対しては筋腫のみを摘出して子宮を温存しています。
 悪性腫瘍に対する手術も県内屈指の症例数を施行していますが、子宮頸部の上皮内がんや高度異形成に対しては子宮頸部円錐切除術を施行し、子宮を温存しています。最近では、乳癌卵巣癌症候群に対する腹腔鏡下予防的卵巣卵管切除術も施行しています。
脳神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K178-4 経皮的脳血栓回収術 30 0.03 34.13 83.33% 76.23
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
K386 気管切開術 - - - - -
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 - - - - -
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) - - - - -
(1)経皮的脳血栓回収術・経皮的頸動脈ステント留置術
 当院は埼玉県急性期脳梗塞治療ネットワーク(SSN)の基幹病院であり、近隣地域の救急隊、他の医療機関と緊密に連携し、脳梗塞をはじめとする超急性期の脳血管障害症例の診療に積極的に取り組んでいます。当科入院の脳梗塞患者さんの特色は、心原性脳梗塞による重症例が発症早期に救急搬送されることです。急性期血行再建療法の適応患者さんについては、血栓溶解療法(t-PA静注療法)、血管内治療(カテーテルによる血栓回収療法)による血行再建療法を脳血管センター・脳神経外科と協同し積極的に行っていることから経皮的脳血栓回収術の患者数が多いと考えられます。また同様に、頭蓋内動脈の動脈硬化性病変に起因する脳梗塞患者さんには経皮的脳血管形成術を、頭蓋外頸動脈の動脈硬化性病変に起因する患者さんには経皮的頸動脈ステント留置術を施行する機会も多いと考えられます。
(2)気管切開術
 気管切開術を行った場合の平均在院日数、および転院率が高いことが示されています。当科では心原性脳塞栓症をはじめとする重症脳梗塞、ギラン・バレー症候群、脳炎、重症筋無力症クリーゼなど重症の神経難病疾患を多く診療しています。これらの症例では呼吸障害を伴う場合も少なくなく、必要な場合に限り気管切開術を行っています。気管切開術は全身状態をみながら耳鼻咽喉科と連携を密にして慎重に行っております。


※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 224 1.17 17.76 7.27% 72.90
K080-41 関節鏡下肩腱板断裂手術 簡単なもの 79 1.06 5.80 1.85% 65.61
K069-3 関節鏡下半月板縫合術 59 1.02 7.27 1.69% 41.49
K079-21 関節鏡下靱帯断裂形成手術 十字靱帯 39 1.00 7.53 0.00% 30.65
K1342 椎間板摘出術 後方摘出術 30 2.39 16.91 17.39% 17.39
・人工関節置換術、肩、股、膝
 股関節や膝関節において変形性股関節症(加齢によって関節の軟骨がすり減り痛みが生じている病態)や大腿骨頭壊死(股関節の太もも側の骨が何らかの原因によって潰れている病態)、関節リウマチによる関節破壊等に対して、人工関節置換術を行っています。また、近年、肩の変形性関節症に対する人工関節置換術も増えてきました。合併症を抱えておられる患者さんも多く、必要な治療のため入院が長期にわたる例もありますが、特に手術後に問題がない場合は、10日-2週間ほどで退院される患者さんがほとんどです。
・関節鏡視下肩腱板断裂手術
 肩には腱板という肩関節の動きを支える構造があり、その断裂を修復するのが腱板縫合術です。加齢によって擦り切れて断裂することが多いため、中高年者に多く見られます。腱板断裂を生じると上肢の挙上が痛みや脱力のため困難となったり夜間痛を生じたりします。注射やリハビリテーションなどの保存療法で改善しない場合が手術適応となります。当院では腱板縫合は関節鏡による低侵襲手術で行っており早期の回復が見込めます。手術後は肩を装具で固定しますが、外来でのリハビリテーションで徐々に肩の動きを拡大していきます。腱板縫合術は術後の疼痛が強いことが多いため、麻酔科の協力を仰ぎ神経ブロックにより術後疼痛の緩和を図っています。平均術後日数も5.95日で多くの方が早期退院されます。
・関節鏡視下半月板縫合術
 膝の外傷による半月板損傷に対する関節鏡手術を多く手がけています。近年では加齢に伴う半月板損傷に対する手術も増えております。半月板損傷に対しては関節軟骨保護、膝関節機能のためできるだけ切除術ではなく縫合術を選択し半月板温存を図るようにしております。また数は多くありませんが、肘関節鏡も行っています。
・関節鏡下靱帯断裂形成手術 十字靱帯
 膝前十字靱帯損傷患者に対する関節鏡手術での靱帯再建手術を多く手がけています。コロナ禍でスポーツによる前十字靭帯損傷が減少しておりましたが、コロナ禍が明け現在では以前と同等またはそれ以上に前十靱帯損傷患者が増加しております。靱帯再建手術の成績が良好であり、多くの患者が術後6~9か月後にスポーツ復帰を果たしております。また将来的な変形性膝関節症の発症予防にも貢献していると考えられています。救急に力を入れている当院の特色もあって、交通外傷による後十字靭帯損傷に対する手術も多く手がけています。
・椎間板摘出術、後方摘出術
 腰椎椎間板ヘルニアの半数はヘルニアのみの症状で比較的短期間に退院可能です。中には重症の両下肢麻痺を発症される方もいて、入院が長かったり、リハビリ転院を要する方が含まれます。また、当院では、腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアを合併している方の手術も多く、その場合も比較的長い入院と長期のリハビリが必要になります。そのため術後19.10日と比較的長い入院期間となっているものと考えます。
形成・美容外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K628 リンパ管吻合術 39 1.03 7.28 0.00% 66.15
K2191 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法 26 1.00 2.07 0.00% 65.93
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術 肩、上腕、前腕、大腿、下腿、躯幹 16 1.00 5.17 0.00% 63.33
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術 単純切除 14 1.00 13.67 0.00% 75.33
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径3センチメートル以上6センチメートル未満 12 1.00 4.57 0.00% 55.43
 リンパ管吻合術は四肢のリンパ浮腫の患者さんに対し、顕微鏡下でリンパ管と静脈を吻合することでリンパ液を静脈に流すことでリンパの流れを改善する手術のことで、直径0.8mm以下のリンパ管を縫合する(スーパー)マイクロサージャリーという技術を用います。これにより局所麻酔で施行可能で体の負担を極限まで少なくした治療となっており、安定した成果をあげています。
 このマイクロサージャリーを用いることで大きな進歩があったのは「乳房再建」においても同様です。乳房再建はゲル充填人工乳房(シリコンインプラント)による再建の他に上記に示したマイクロサージャリーを用いた自家組織移植による乳房再建を行っています。乳癌術後の乳房再建においては患者さんの希望・状況に応じてシリコンインプラント、自家組織再建とも偏りなく行っています。また、ブレストケア科との連携により乳癌と同時に組織拡張器を挿入する一次再建にも力を入れています。
 眼瞼下垂症手術の中でも眼瞼挙筋前転法は、上眼瞼を切開し、眼瞼挙筋を前転させることでまぶたの開きをよくする手術です。まぶた外来というまぶたに特化した専門外来を開設しており、整容面・機能面での改善が良好であるため他院からの紹介患者さんが多いです。
 四肢・体幹軟部腫瘍摘出術の中で一番多いのは脂肪腫です。当科では、術前の画像検査により可能と判断した場合には、整容面に配慮して超音波乳化吸引装置を用いて小切開から摘出しています。通常の切開から直接腫瘍を摘出する場合も、きずの長さや方向について慎重に検討し、再発を最大限防ぐことと、術後のきずあとを最小限にすることの両立を工夫しています。
 皮膚、皮下腫瘍摘出術では粉瘤など最も頻度の多い皮膚腫瘍をはじめ、特に顔面に生じたものなど整容的な考慮が必要となる部分を中心に、軟部腫瘍と同様きずの長さや方向を慎重に検討して術後なるべく目立たないきずあとになるよう工夫しています。その他、皮膚科との連携も強いため皮膚の悪性腫瘍切除術にも力を入れています。有棘細胞癌や基底細胞癌をはじめ皮膚科と協議しながら切除範囲を決定し、局所皮弁や植皮術などを駆使し再建術を行っております。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 57 1.00 6.40 0.00% 27.32
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 46 1.00 5.35 0.00% 54.91
K4571 耳下腺腫瘍摘出術 耳下腺浅葉摘出術 20 1.00 5.80 0.00% 61.25
K3932 喉頭腫瘍摘出術 直達鏡によるもの 20 1.00 1.15 0.00% 60.00
K4611 甲状腺部分切除術(片葉) 17 3.41 6.06 0.00% 59.35
 口蓋扁桃摘出術(慢性扁桃炎に対する手術)、内視鏡下鼻副鼻腔手術(慢性副鼻腔炎に対する手術)、耳下腺腫瘍摘出術、喉頭腫瘍摘出術、甲状腺手術はいずれも耳鼻咽喉科領域の代表的な手術ですが、いずれの手術も症例数が多く、平均術前日数および平均術後日数はどの手術も全国平均とほぼ同等です。また、これらの手術後の転院率は0%で、これらの手術症例の治療が当科で完結しています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 730 1.02 1.07 0.00% 74.36
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの 212 0.98 3.95 0.94% 65.04
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術 その他のもの 37 0.89 3.84 0.00% 67.30
K2172 眼瞼内反症手術 皮膚切開法 19 1.00 1.00 0.00% 8.79
K2821イ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 縫着レンズを挿入するもの 13 1.00 2.46 0.00% 67.77
 白内障手術は、散瞳不良、進行例、水晶体振盪、水晶体脱臼などの難易度が高い症例、高齢や全身合併症のため入院が必要な症例、全身麻酔下での手術が必要とされる症例などが紹介されてくることが多いです。白内障手術は2泊3日の入院で行っています。
 網膜剥離、黄斑前膜、黄斑円孔、糖尿病網膜症、硝子体出血などに対する網膜硝子体手術が多いのも基幹病院としての特徴です。近年、過去に白内障手術で挿入した眼内レンズが眼底に落下するという患者さんが徐々に増加しています。その場合、落下した眼内レンズを摘出し、新しい眼内レンズを強膜に固定するという手術を行います。これも難易度の高い手術です。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術 単純切除 38 1.47 10.45 0.00% 72.58
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径3センチメートル以上6センチメートル未満 13 1.00 5.38 0.00% 54.92
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径6センチメートル以上12センチメートル未満 - - - - -
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径2センチメートル以上4センチメートル未満 - - - - -
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径2センチメートル未満 - - - - -
1) 「皮膚悪性腫瘍切除術」は単純切除だけで年間38件施行しています。「悪性黒色腫」で転移が疑われる方 (腫瘍細胞の深部浸潤を示唆する潰瘍や腫瘤がみられる方) はセンチネルリンパ節生検を行い、リンパ節転移の有無を組織学的に確認しています。
2) サイズの大きな腫瘍の多くは「脂肪腫」です。ただし、臨床的に脂肪腫と思われても腫瘍サイズが大きかったり急速に増大したりしているような例では「脂肪肉腫」である可能性があります。そういった症例はあらかじめ針生検を行い、組織学的に悪性でないことを確認してから全摘しています。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器) 97 1.13 8.75 0.00% 69.44
K8036イ 膀胱悪性腫瘍(経尿道的・電解質溶液利用のもの) 90 1.29 6.40 0.00% 74.03
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 54 1.52 4.20 0.00% 61.89
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 32 1.59 8.19 0.00% 71.44
K775 経皮的腎(腎盂)瘻造設術 30 0.90 16.20 10.00% 73.67
・K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器)
 当センターでは2020年10月よりダヴィンチ・システムを用いたロボット支援前立腺全摘除術を導入しました。根治性を維持しつつ、より低侵襲な治療を提供しています。
・K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの
 膀胱腫瘍または膀胱がんに対して、診断の確定と治療を目的として行う基本的な内視鏡手術です。
・K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの
 腎結石、尿管結石に対する標準的手術です。当センターでは、合併症などが原因で他院での治療が難しい患者さんに対しても、麻酔科をはじめとした各診療科と連携を取り安全な治療の提供を心がけています。大きな腎結石に対しては、経皮的結石破砕術と組み合わせて行う手術(ECIRSと略称されます)をご提案することもあります。最近は、安全面に配慮しつつ抗凝固薬・抗血小板薬の内服を継続したままでの治療も行っています。
・K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術
 腎がんに対する腹腔鏡下根治的腎摘除術・腎部分切除術、腎盂・尿管がんに対する腹腔鏡下腎尿管全摘除術が含まれます。従来の開放手術と比べて低侵襲な治療が可能となり、患者さんの負担軽減につながっています。
・K775 経皮的腎(腎盂)瘻造設術
 尿管結石による尿管閉塞のために水腎症をきたし、そこに細菌感染が起こると腎盂腎炎を起こして、生命を脅かす敗血症となる場合があります。これを治療するための手術が経皮的腎瘻造設術であり、当院で数多く行っています。また、進行した消化器・婦人科がんをはじめとして様々な理由により両側の尿管が閉塞して腎不全になることがあり、これを治療するためにも腎瘻造設は行われます。
救命救急科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1422 脊椎固定術、椎弓切除、椎弓形成(後方又は後側方固定) 101 0.86 13.43 17.82% 64.14
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓形成 82 0.80 29.60 39.02% 73.51
K128 骨盤内異物(挿入物)除去術 48 1.00 6.67 0.00% 34.00
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等) 止血術 45 0.00 5.00 2.22% 65.67
K046-3 一時的創外固定骨折治療術 44 0.00 23.67 47.73% 52.59
救命救急センターには外因性・内因性を問わず多岐にわたる患者さんが入院されますが、当高度救命救急センターは本邦随一の本格的な外傷センター、そして埼玉県ドクターヘリの基地病院として、県全域から365日24時間体制で重症外傷の患者さんを多く受け入れ高度な治療を行っています。治療成績については、下記のリンク先をご参照ください。
救命救急科 治療成績
小児科(PICU)
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K836 停留精巣固定術 17 1.00 1.00 0.00% 2.12
K6335 ヘルニア手術 鼠径ヘルニア 11 1.00 1.00 0.00% 1.09
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) - - - - -
K6333 ヘルニア手術 臍ヘルニア - - - - -
K7152 腸重積症整復術 観血的なもの - - - - -
 当院の小児集中治療室(PICU)は、院内、院外、疾患の種類の有無にかかわらず、すべての小児の重症患者に対して24時間、365日対応しております。小児の重症の内科疾患においては呼吸不全が多く、肺炎、細気管支炎、慢性呼吸不全、ARDSなどの症例が多くなります。外科疾患においては、術後無呼吸を起こすような乳児の鼠径ヘルニアや停留睾丸の手術、術後気道狭窄を起こす扁桃&アデノイド手術、ハイリスクな重症心身障害の気管切開、胃ろう手術、術後管理が必要な先天性心疾患手術、脳外科手術、外傷疾患に対する手術などに対応しています。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 25 0.14%
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 112 0.62%
異なる 19 0.10%
 播種性⾎管内凝固症候群(DIC)や敗⾎症等については重篤な合併症であり、当院は患者数が低く推移しております。
※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
更新履歴
令和5年9月29日 令和4年度指標を公開しました。