平成29年度 埼玉医科大学総合医療センター 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 2160 562 741 1543 1727 1830 3300 4648 1991 177
【定義】
平成29年度退院患者さんの人数を、入院時満年齢から算出した10歳刻みの年齢階級別に集計しています。

【考察】
70歳台が最も多く4,648名、続いて60歳台の患者さんが3,300名と併せて全体の約4割強を占めています。厚生労働省が実施した平成26年(2014)患者調査の概況によりますと、医療機関の年齢階級別に見た入院受療率(人口10万人対)は80歳以上がピークとなっていますが、当院は60~70歳代の患者さんが多いです。その他0歳代の患者さんや30~40歳代の患者さんも1,000名を大きく超えています。理由として小児の特定集中治療室であるPICUや重症外傷に対する診療を多く実施する高度救急救命センターがあること、ハイリスク分娩患者さんが入院するMFICU、未熟児が入院するNICUを有する総合母子医療センターがあることなどが挙げられます。

【参考】
厚生労働省平成26年(2014)患者調査の概況(2018年9月12日アクセス)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/14/
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
消化器・肝臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 経皮的胆管ドレナージ術等あり 131 11.50 10.61 3.82% 70.67
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 96 11.70 11.44 8.33% 73.55
060020xx04x0xx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術あり 68 9.68 8.73 0.00% 74.65
060300xx97100x 肝硬変(胆汁性肝硬変を含む。) TACEあり 59 15.25 13.61 6.78% 64.47
060050xx0300xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法 57 6.68 8.43 0.00% 73.93
リウマチ・膠原病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070560xx99x0xx 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患(全身性エリテマトーデス・強皮症・多発性筋炎等) 77 29.88 17.16 7.79% 55.48
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 10 52.30 19.65 20.00% 76.80
070560xx97x0xx 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患(全身性エリテマトーデス・強皮症・多発性筋炎等)輸血等あり 10 45.30 28.63 0.00% 62.50
070470xx99x0xx 関節リウマチ - - - - -
070560xx99x8xx 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患(全身性エリテマトーデス・強皮症・多発性筋炎等)リツキシマブ投与あり - - - - -
①全身性臓器障害をともなう自己免疫疾患
 当科では関節リウマチなどの炎症疾患や全身性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾患に対して、ステロイドや免疫抑制剤を中心とした加療を行っています。個々の免疫抑制剤における特有な副作用や、過剰な免疫抑制によってガンマグロブリンが低下しすぎることがあります。その場合は感染症の予防として、ヒトガンマグロブリンを適宜補充するため投与します。感染症を起こした場合は、抗菌薬による適切な治療を行います。

②全身性臓器障害をともなう自己免疫疾患 手術あり
 全身性自己免疫性疾患に対してステロイドや免疫抑制剤による加療中に、ステロイドによる副作用、感染症を含む有害事象、悪性腫瘍の合併や外傷などで手術をする時もあります(例:ステロイド性大腿骨頭壊死による人工股関節置換術、肺膿瘍による肺葉切除術、消化管感染症に引き続き起こる腸管穿孔による腸管切除術、人工関節感染のための人工関節再置換術、悪性腫瘍の合併による悪性腫瘍切除、など)。その場合は、感染症関係であれば抗菌薬治療を併用しつつ担当の外科にお願いし、手術を施行して頂きます。

③間質性肺炎
 関節リウマチのような炎症性疾患や、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症などの自己免疫性疾患自体、病原体による肺炎ではない「間質性肺炎」を合併する率が高く、そのような際はステロイドを含めた免疫抑制療法を行います。

④関節リウマチ
 メトトレキサートを主体とした治療に加え、効果が不十分な場合はさらに生物学的製剤やJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬などの免疫抑制療法を行って、病気の活動性を抑えて痛みを取るだけでなく、骨破壊や関節変形に進まないようにしています。

※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
心臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 心臓カテーテル法による諸検査あり 109 3.66 3.03 0.00% 66.65
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 経皮的冠動脈ステント留置術あり 心臓カテーテル法による諸検査あり 84 13.14 12.72 3.57% 65.90
050210xx97000x 徐脈性不整脈 ペースメーカ移植術あり 心臓カテーテル法による諸検査あり 心臓電気生理学的検査あり 75 12.49 11.21 2.67% 75.65
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等あり 心臓カテーテル法による諸検査あり 血管内超音波検査等あり 71 5.28 4.62 0.00% 68.17
050130xx99000x 心不全 24 19.79 17.71 12.50% 74.88
腎・高血圧内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 人工腎臓等あり 85 34.15 36.38 9.41% 68.64
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 経皮的生検法あり 53 7.19 7.35 0.00% 44.62
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 30 9.60 12.23 13.33% 54.33
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 27 36.15 22.12 0.00% 63.41
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 26 11.77 8.50 3.85% 66.77
日本だけでなく世界的にも、透析治療が必要となる末期腎不全の患者数は増加傾向にあり、また腎臓病が心臓や脳など他の重要臓器障害の大きなリスク要因であることが知られてきています。腎臓病は採血結果における腎機能障害だけでなく、多くの場合には屈尿や蛋白尿といった検尿異常を伴うことが多いですが、こういった所見は腎臓における何らかの障害の結果であることが多く、その原因までは判明できません。腎臓病治療は根底にある個々の疾患により、治療法や対応法や対応がそれぞれに異なるため、原因の検索が非常に重要となります。これらの診断に現在最も活用と考えられているのが腎生検という検査方法で、腎臓の組織を採取し、顕微鏡を用いて組織的に診断するものです。実際の検査方法は超音波ガイド下に体外から細い検査針を刺入して行うもので、検査時間も短く開腹手術などに比べて体への負担は非常に軽微です。腎生検に関して、当科は埼玉県のみならず全国的にも有数の検査実績があり、安全な検査の施行とともに、得られた検査結果から効果的かつ効率的な治療の選択を実施しています。慢性に進行する腎疾患だけでなく、高度な蛋白尿を呈するネフローゼ症候群や、急速に腎機能が進行してしまう急性進行性糸球体腎炎、急性腎不全などにおいても積極的な検索を行っており、高い治療成績が得られています。そのため、現在川越地域だけでなく、県内全域及び県外の医療機関から患者さんをご紹介いただき、治療にあてらせて頂いております。腎機能障害、特に尿所見異常を指摘された方で、ご心配な点、またご不明な点ありましたら何なりとご相談いただければと思います。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010040x099x00x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 67 10.91 19.10 70.15% 67.51
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 骨穿孔術等あり 57 6.04 9.68 21.05% 77.19
010010xx01x00x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 46 23.70 21.61 15.22% 53.35
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 41 6.93 7.34 36.59% 55.78
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤・不安定椎  脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む)椎弓切除等あり 34 11.32 17.28 2.94% 71.85
突然の手足の麻痺や言語障害などで発症することの多い脳卒中は、大きく出血と梗塞に分かれますが、病院でCTやMRIなどを撮影するまではこの2つを区別することはできません。出血を表す「非外傷性頭蓋内血腫」の症例数が多いのは、当科が地域の脳卒中急性期診療の中心的な役割を果たしていることを示しています。当院における「脳腫瘍」のDPC上の症例数は46件ですが、手術件数は年間100件を超えており埼玉県でトップの症例数となっています。脳腫瘍の治療においては手術にて後遺症を回避しかつできる限り摘出することがもっとも大切であり、転院率が低いことは多くの患者さんが後遺症なくご自宅へ戻られていることを表しています。「脊柱管狭窄症」を代表とする脊椎の手術も積極的に行っています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx01110x 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 心臓カテーテル法による諸検査あり 中心静脈注射等あり 17 51.88 28.11 11.76% 67.71
050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 中心静脈等あり 17 26.24 23.93 5.88% 66.82
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 中心静脈等あり - - - - -
050163xx01x10x 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 中心静脈等あり - - - - -
050080xx0111xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 心臓カテーテル法による諸検査 中心静脈等あり - - - - -
平均在院日数が長期である理由として、①再入院等にならず、スムーズな外来通院になるよう、かなり安定するまで入院を継続し、薬の調整も慎重に行っていることが考えられます。また②他院へのリハビリテーションの転院が難しいという埼玉県の事情があります。

※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
肝胆膵・小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
06007xxx9907xx 膵臓、脾臓の腫瘍 フルオロウラシル+レボホリナートカルシウム+イリノテカン塩酸塩水和物+オキサリプラチンあり 172 4.30 6.31 0.00% 65.23
060335xx02000x 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 78 7.14 7.40 0.00% 61.76
06007xxx97x7xx 膵臓、脾臓の腫瘍 経皮的胆管ドレナージ術等あり フルオロウラシル+レボホリナートカルシウム+イリノテカン塩酸塩水和物+オキサリプラチンあり 32 8.00 19.29 0.00% 64.75
06007xxx0100xx 膵臓、脾臓の腫瘍 膵頭部腫瘍切除術 血行再建を伴う腫瘍切除術の場合等 29 21.90 24.37 0.00% 68.38
06007xxx99040x 膵臓、脾臓の腫瘍 化学療法ありかつ放射線療法なし 29 4.07 11.32 0.00% 61.45
肝胆膵外科では、術前に抗がん剤治療を3〜8ヶ月行ったのちに、手術をする方法により、従来は手術不能と考えられていた高度進行膵癌を積極的に手術しています。DPC名称でフルオロウラシル+レボホリナートカルシウム+イリノテカン塩酸塩水和物+オキサリプラチンとあるのは、主に術前に抗がん剤治療を目的に入院されている患者さんです。一般に進行膵癌の患者さんは、閉塞性黄疸という状態に陥っている場合が多く、抗がん剤治療の導入時に、胆管ドレナージを行って、抗がん剤を行います。
血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050170xx99000x 閉塞性動脈疾患 61 4.70 7.98 1.64% 70.67
050180xx97xxxx 静脈・リンパ管疾患 リンパ管吻合術等あり 45 3.18 3.20 0.00% 65.98
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 39 10.90 12.51 0.00% 78.85
050170xx02000x 閉塞性動脈疾患 動脈形成術、吻合術 指(手、足)の動脈等 心臓カテーテル法による諸検査あり 25 13.96 16.50 8.00% 70.40
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 心臓カテーテル法による諸検査あり 25 5.92 5.68 12.00% 72.16
埼玉県においては,下肢の閉塞性動脈疾患に対する血行再建術を施行できる施設は,当科以外にはほとんどありません。当科では下腿動脈を含む下肢動脈血行再建術やカテーテル治療を多く施行しておりますが,手術を行わずに保存的治療を選択する場合もございます。下肢静脈瘤に対しては,静脈内ラジオ波焼灼術とストリッピング手術とを病状によって適宜選択して施行しております。腹部大動脈瘤に対しては,開腹人工血管置換手術とステントグラフト内挿術(カテーテル治療)とを,患者さんの全身状態,瘤と血管の性状やかたちに適した形で選択しております。透析患者さんのブラッドアクセスに関しましては,腎臓内科,血液浄化部と連携し,血管条件の不良な方でのシャント造設や,シャントトラブルに対する外科的治療を行っています。
ブレストケア科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx03x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 70 7.24 6.37 0.00% 57.13
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳房悪性腫瘍手術 単純乳房切除術(乳腺全摘術)等 38 10.74 10.15 0.00% 61.92
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む)) 37 12.41 11.45 0.00% 62.92
090010xx97x0xx 乳房の悪性腫瘍 その他の手術あり 31 3.16 5.96 0.00% 58.52
090010xx99x00x 乳房の悪性腫瘍 手術なし - - - -
乳癌手術において乳房温存率は約70%です。近年では腋窩郭清を行わず、センチネルリンパ節生検のみで終了しているものが圧倒的に多いです。さらに小さな非浸潤性乳管癌ではセンチネルリンパ節生検も省略し、QOL(生活の質)向上に配慮しています。乳房切除術例では乳房再建についても、形成外科と十分連携して行っています。

※規定により10症例未満は(-)で表示しています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 肺悪性腫瘍手術等あり 165 13.25 12.35 0.61% 69.11
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 経皮的針生検法等あり 109 2.26 3.59 0.00% 71.36
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 化学療法ありかつ法放射線療法なし 67 12.90 11.99 1.49% 65.60
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 30 10.43 10.04 3.33% 37.73
040040xx99000x 肺の悪性腫瘍 18 16.00 14.60 5.56% 75.28
総合医療センター呼吸器外科では、肺癌、転移性肺腫瘍などの肺悪性腫瘍や自然気胸、胸部外傷、炎症性疾患、気管・気管支狭窄など呼吸器外科領域の疾患全般を対象に専門的な診療を行っています。
肺悪性腫瘍の診療においては、画像や気管支鏡の先進的な検査方法を用いた診断から治療までを担当し、手術では標準術式はもとより、難易度の高い手術とされている気管気管支再建術や血管形成術を駆使した機能温存手術、左心房や胸壁などを合併切除する拡大手術、胸腔鏡を用いた低侵襲手術など様々な手術を行っています。手術以外にも化学療法、放射線治療を中心とした集学的治療を積極的に行い、緩和医療も取り入れて予後の延長およびQOL(生活の質)の改善、維持に寄与しています。
当センターは埼玉県中西部の中核総合病院であるため、合併疾患を有する方々も含め他施設では治療に難渋する方々が数多く来院なさいます。そのため、在院日数は全国平均よりやや長くなっていますが、術後合併症の発生率、治療成績ともに良好な結果を残しており、ほぼ全員がご自宅へ退院なさっています。
また、肺悪性腫瘍の次に多い気胸においても、若い男性に多い自然気胸よりもご高齢で肺気腫や間質性肺炎を合併した難治性気胸の方々の治療を担当することが多く、在院日数は全国平均よりやや長くなっていますが、気胸が治癒しほぼ全員がご自宅へ退院なさっています。
消化管・一般外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx01000x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 86 14.33 15.61 2.33% 72.05
060020xx02x0xx 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 63 15.52 17.27 3.17% 68.41
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 51 6.45 5.56 0.00% 35.90
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 化学療法ありかつ放射線療法なし 51 8.65 9.69 0.00% 69.33
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 30 8.97 8.98 16.67% 71.80
食道がん、胃がん、大腸がんを中心とした消化管がんの外科的治療を中心とした集学的治療を積極的に行っています。地域や病院の特性上、高齢者や併存疾患のある患者さんの比率が高いのが特徴の一つです。がんなどの悪性腫瘍以外にも虫垂炎、腸閉塞、穿孔性腹膜炎等の腹部救急疾患の診療にも重点的に取り組んでおります。近年全国的に腹腔鏡手術が増加傾向にあり、当科においても積極的に実施しています。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040100xxxxx00x 喘息 111 5.29 6.32 0.90% 2.92
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 94 6.63 5.94 1.06% 1.48
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 90 6.60 5.70 2.22% 3.39
150010xxxxx0xx ウイルス性腸炎 52 4.56 5.50 1.92% 3.96
150070x0xx01xx 川崎病(2歳以上) 血清交換療法等あり 44 6.91 10.70 2.27% 4.02
当センター小児科では救急診療に力を入れております。そのため、入院患者様の病気分類の上位3つは喘息、急性気管支炎・急性細気管支炎・下気道感染症、肺炎等(1歳以上15歳未満)で、昨年と順位は少し入れ替わっていますが、子どもに多くみられる呼吸器系疾患が占めています。また、4番目はウイルス性腸炎と消化器系の急性疾患になっています。5番目の川崎病は心臓の後遺症が出現しないか比較的長期の経過観察が必要な病気ですが、発症は急性です。
 このように急性疾患を中心に対応しておりますが、呼吸器疾患で入院される患者様の中には人工呼吸器を装着するような基礎疾患を持っておられる方もいらっしゃいます。小児集中治療室も併設している当科ではそのような患者様の急性増悪にも対応できます。
 「未来を作る手助けを」のキャッチフレーズの下、全ての子どもの健やかな生活をサポートできれば、と考えております。
NICU・新生児
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 212 6.18 6.18 2.83% 0.00
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 162 11.49 11.49 1.23% 0.00
140010x299x2xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) パリビズマブあり 53 36.00 27.18 0.00% 0.00
140010x199x1xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 中心静脈注射等あり 39 16.15 11.50 10.26% 0.00
140010x497x4xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1000g未満) 新生児仮死蘇生術 仮死1度のもの等 肺サーファクタントありかつパリビズマブあり等 24 130.04 126.52 0.00% 0.00
産科・MFICU
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120170xx01x0xx 早産、切迫早産 子宮破裂手術等 182 47.30 31.42 0.55% 33.08
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 148 14.34 9.75 0.00% 34.21
120170xx99x0xx 早産、切迫早産 109 30.99 20.41 22.94% 32.49
120260xx01xxxx 分娩の異常 子宮破裂手術等 65 10.51 9.67 1.54% 35.11
120180xx02xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 骨盤位娩出術等 63 9.84 8.64 0.00% 34.89
当院総合周産期母子医療センターは国内最大規模であるため、妊娠28週未満に出生する可能性のある非常に重症な切迫早産症例が多いことが特徴です。極力早産を防ぐべく、子宮収縮抑制薬を最大量まで使用し、早産の主原因である絨毛膜羊膜炎に対しては、厳格な抗生物質による治療を行っていますが、治療に抗して早産となる症例も少なくありません。胎児の状況を勘案して、可能な限り負荷を少なくするため、分娩様式はしばしば帝王切開が選択されますが、スムースな経腟分娩が予想される場合は経腟分娩も行っています。また、多胎妊娠症例も年間120〜130例あり、これもDPCコード120170の多い一因となっています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 139 6.64 6.28 0.00% 41.55
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 74 5.93 6.37 0.00% 42.12
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 56 11.38 9.91 0.00% 45.55
120140xxxxxxxx 流産 53 2.58 2.43 0.00% 35.85
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 48 13.19 12.94 0.00% 58.67
当院には国内最大級の規模を持つ周産期センターがあるため、産科の症例数を多く取り扱っていますが、不妊症治療や悪性腫瘍を含む婦人科手術にも力に入れています。特に近年では腹腔鏡手術が充実しており、子宮筋腫や卵巣嚢腫の手術はほとんどが腹腔鏡下に行われています。生理痛、生理不順、赤ちゃんが欲しい〜妊娠、出産、更年期など、女性の身体は年齢によって様々に変化していくため、そのライフサイクルの中で遭遇する悩み事も様々です。私達は、多くの女性の方々の力になれるように、幅広い分野に対応できる充実した設備を持っています。
内分泌・糖尿病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) インスリン製剤(注射薬に限る)あり  29 14.21 14.27 0.00% 62.03
100071xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全あり。) インスリン製剤(注射薬に限る)あり 25 14.40 14.63 4.00% 62.16
100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 18 4.11 5.76 0.00% 54.89
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 16 13.13 13.57 0.00% 44.31
100071xx99x000 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全あり。) 15 13.27 12.07 6.67% 64.93
内分泌・糖尿病内科の入院診療では2型糖尿病の教育入院(年間50~60名)と副腎皮質機能異常の検査入院と糖尿病ケトアシドーシスの診療実績が多くなっております。転院はほとんどありませんが、退院時の他院への紹介を多く行っています。糖尿病は5大疾病の1つであり地域医療計画に基づき専門的診療を行っています。外来診療では新患数が月平均107名となっており、地域の中核病院の診療科としての役割を果たしています。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 リツキシマブあり  56 21.02 16.48 0.00% 64.88
130010xx97x2xx 急性白血病 リンパ節摘出術等あり 化学療法あり 51 37.20 40.97 1.96% 69.08
130030xx99x00x 非ホジキンリンパ腫 26 8.42 10.28 15.38% 65.15
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫 リンパ節摘出術等あり リツキシマブあり 20 51.30 33.42 5.00% 69.00
130030xx97x3xx 非ホジキンリンパ腫 リンパ節摘出術等あり 化学療法ありかつ放射線療法無し 16 50.00 34.49 12.50% 66.50
血液内科には重症の悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、急性白血病の患者さんが多く入院されております。手術とは輸血療法を指します。多発性骨髄腫やその他血液疾患の患者さんも多く受診されていますが、合併症が少ない場合には外来での治療導入が中心となっており、疾患別入院TOP5には含まれません。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 化学療法ありかつ法放射線療法なし 161 9.21 11.99 1.86% 69.50
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 気管支ファイバースコピー等あり 54 8.15 3.59 0.00% 72.46
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2-なし 50 18.32 19.65 12.00% 69.30
040040xx99000x 肺の悪性腫瘍 44 15.48 14.60 13.64% 74.32
040040xx9909xx 肺の悪性腫瘍 ベバシズマブあり 28 20.14 10.56 0.00% 66.36
当科では、さまざまな呼吸器疾患を扱っています。外来を受診された患者さんで、入院が必要な場合は、当科の入院病床には限りがあるため、近隣の病院へお願いすることがあります。その状況の中で、呼吸器内科の専門的な診療を必要とする場合は、当院での入院をお願いしています。その状況の中で、肺がんを疑われる患者さんの気管支鏡などによる生検診断のための入院や、診断後の治療のための入院、間質性肺炎の治療のための入院が多くなっています。またこれら疾患に関して、専門的に診療している病院は近隣になく、転院後も引き続き当科で診療を継続させて頂くことが多いような状況です。
神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)エダラボンあり 115 18.23 16.38 24.35% 65.24
010110xxxxx40x 免疫介在性・炎症性ニューロパチー ガンマグロブリンあり 41 20.90 16.95 9.76% 57.54
010090xxxxx00x 多発性硬化症 37 9.43 13.98 2.70% 46.70
010060x2990411 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) エダラボンあり 副傷病(腎臓または尿路の感染症等)あり 29 22.86 18.34 34.48% 71.24
010080xx99x00x 脳脊髄の感染を伴う炎症 26 16.42 9.99 7.69% 45.73
当科では脳血管障害のうち脳梗塞、および免疫性ニューロパチー、多発性硬化症をはじめとする免疫性神経疾患の診療を精力的に行っています。

(1)(4)
脳梗塞について、当科入院症例の特徴は、心原性脳梗塞をはじめとする重症例が多いことです。平均在院日数は18.2日とやや長いですが、一方でリハビリ継続のために転院する割合は24%と比較的低いことが示されています。重症度が多いながらも、早期から適切な治療・リハビリ開始が行われた結果、良好な予後が得られていると考えられます。
重症の脳血管障害では誤嚥性肺炎、尿路感染症をはじめとする合併症を来す場合があります。当科では重症の脳梗塞が多いため、そのような合併症を来す症例がありますが、入院経過中に合併症がない場合と比較して、これらの合併症を有する場合に平均在院日数、転院率が高いことが示されています。合併症を来すことが平均在院日数、転院率を増加させていると考えられます。合併症による脳梗塞自体の予後への影響はありません。

(2)免疫介在性・炎症性ニューロパチー
当科では、ギラン・バレー症候群(GBS)、慢性炎症性脱髄性多発根神経(CIDP)をはじめとする免疫性ニューロパチー症例の入院症例は、国内有数の実績を誇っております。これらの疾患は重症のことが多く、より長い在院日数が必要とされることがあります。しかし、当科では平均在院日数23.4日と比較的短期間のうちに退院し、リハビリ継続のための転院率も9.7%と比較的低いことが示されています。免疫グロブリン療法、血液浄化療法を早期から積極的に行い、高い治療効果が得られているためと考えられます。

(3)多発性硬化症
当科は多発性硬化症の診療において国内有数の実績を誇っております。入院診療では、新規診断の症例、再発の症例が含まれますが、平均在院日数は9.4日と短期であり、早期診断し、また早期治療を行っていることが示されています。

(5)脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし
脳脊髄の感染を伴う炎症には、髄膜炎、脳炎などの感染性疾患が含まれます。これらの疾患、特に脳炎は重篤なものが多く、より長い在院日数が必要とされることが多いのですが、当科における平均在院日数16.4日と比較的短期間のうちに退院し、リハビリ継続のための転院率は7.7%と比較的低いことが示されています。必要な症例に免疫グロブリン療法や血漿浄化療法を含めた適切な治療を早期から開始し、高い治療効果が得られているためと考えられます。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 93 26.11 23.14 7.53% 65.56
160620xx01xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。) 腱縫合術等 79 9.61 11.41 0.00% 33.16
160610xx01xxxx 四肢筋腱損傷 靱帯断裂形成手術等 64 13.75 19.87 1.56% 68.03
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 55 31.24 25.09 1.82% 73.07
070341xx020xxx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 後方又は後側方固定等 46 20.74 22.08 23.91% 69.57
①変形性股関節症(関節の軟骨がすり減り痛みが生じている病態)や大腿骨頭壊死(股関節の太もも側の骨が何らかの原因によって潰れている病態)、関節リウマチによる関節破壊に対して、人工股関節全置換術を行っています。在院日数が26.1日ですが、現在は手術前の入院を短縮しています。しかし抗凝固剤(血液サラサラの薬)を内服していらっしゃる患者さんが多く、7日前より入院して点滴することが必要で短縮にも限界があります。そうでない場合、約14日で退院される患者さんがほとんどです。
③肩腱板断裂は60台をピークとして発症する肩関節周囲の筋腱損傷です。肩の痛み、運動障害、夜間痛などを発症します。注射やリハビリテーションなどの保存療法で改善しない例に手術を施行します。当院では全例関節鏡による低侵襲手術で行い、術後の疼痛も少なく早期の回復が見込めます。術後1~2週で退院し、外来でのリハビリテーション継続で徐々に肩の機能を改善していきます。」
④人工膝関節全置換術も股関節と同様ですが、股関節よりも高齢な方が多く、多くの合併症をもっていらっしゃる患者さんが多いです。60代の患者さんの場合は手術後10日~14日で退院される患者さんがほとんどです。
⑤頚部や腰部の脊柱管狭窄により手足のしびれや運動障害を起こすことがあり、ある程度重症な場合に手術を行います。手術では神経の圧迫を取り除いたり、脊椎を固定します。歩行が不自由な方は、リハビリ病院に転院して頂くことが多いので転院率が比較的高くなります。
形成・美容外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 47 6.55 5.60 0.00% 34.77
070520xx97xxxx リンパ節、リンパ管の疾患 リンパ節摘出術等あり 45 11.04 9.71 0.00% 62.22
090010xx05xxxx 乳房の悪性腫瘍 組織拡張器による再建手術(一連につき) 乳房(再建手術)の場合等 34 12.18 8.02 0.00% 49.06
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 眼瞼下垂症手術等あり 26 4.00 3.29 0.00% 73.81
161000x199x0xx 熱傷・化学熱傷・凍傷・電撃傷(Burn Index10未満) 20 13.50 12.10 0.00% 22.80
高度救命救急センターを中心とする病院であるため外傷が多く、その中でも特に顔面外傷 (鼻骨骨折、頬骨骨折、眼窩骨折、上顎骨折、顔面多発骨折)は形成外科が担当しています。また熱傷症例も多く、手術が必要であったり、創部の管理が必要であったりして、入院管理となることも多いです。リンパ浮腫に対してリンパ管臍静脈吻合術を専門の医師により施行しています。リンパ浮腫療法士との連携により総合的治療を行っており、術後は集中排液プログラムによりリハビリとも連携しながら集学的治療を行って手術との相乗効果を狙っています。
乳癌術後の乳房再建においては患者さんの希望・状況に応じてシリコンインプラント、自家組織再建とも偏りなく行っています。また、ブレストケア科との連携により乳癌と同時に組織拡張器を挿入する一次再建にも力を入れています。
まぶた外来の専門医師が隔週で手術を行っており、整容面・機能面での改善が良好であるため他院からの紹介患者さんが多いです。
鼻骨骨折はリニカルパスを用いて2泊3日、眼瞼下垂は3泊4日の入院としていますが、状況に合わせて延長することも可能です。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 123 5.72 5.48 0.00% 40.70
030428xxxxxxxx 突発性難聴 91 7.74 9.18 0.00% 58.42
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 84 7.99 7.23 0.00% 56.89
030390xx99xxxx 顔面神経障害 78 8.10 9.45 0.00% 54.46
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 鼻副鼻腔腫瘍摘出術等あり 73 7.44 7.58 0.00% 57.03
扁桃周囲膿瘍、突発性難聴、顔面神経麻痺は緊急入院の対象となる疾患で、全国的に見てもかなり多い症例数です。突発性難聴および顔面神経障害は副腎皮質ステロイド大量投与療法(点滴)を中心とする治療を行っており、全国の平均在院日数よりも短期間の入院で良好な治療成績を得ています。慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下副鼻腔手術、唾液腺腫瘍に対する腫瘍摘出術の症例数も多いですが、これらの疾患に対する在院日数は全国平均在院日数とほぼ同等です。また、これらの疾患での転院率はいずれも0%であり、当科で治療が完結しています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020320xx97xxxx 眼瞼、涙器、眼窩の疾患 手術あり 10 3.00 3.32 0.00% 13.60
020280xx99xxxx 角膜の障害 手術なし - - - - -
020320xx99xxxx 眼瞼、涙器、眼窩の疾患 手術なし - - - - -
180060xx97xxxx その他の新生物 手術あり - - - - -
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2-なし - - - - -
眼瞼下垂や眼瞼内反症手術は基本的に日帰り手術(外来手術)ですが、抗凝固薬や抗血小板薬を内服しているような全身合併症のある高齢者には入院して手術を行っています。眼窩腫瘍などの眼部の腫瘍に関する手術が多いのは当科の特徴です。重症な角膜潰瘍は失明することがあるため、入院して適切な治療を集中的に行っています。

※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080011xx99xxxx 急性膿皮症 43 16.37 11.73 2.33% 60.56
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 36 6.17 4.14 0.00% 51.22
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 30 10.73 8.50 0.00% 71.63
080005xx99x1xx 黒色腫 中心静脈注射等あり 25 9.92 10.26 0.00% 62.08
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 23 8.78 8.95 0.00% 60.00
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術) 95 8.26 7.31 0.00% 72.47
11012xxx020x0x 結石等の上部尿路疾患に対する経尿道的尿路結石除去術等 86 6.58 5.75 0.00% 63.22
110070xx02020x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術手術)と化学療法 54 9.30 7.64 0.00% 72.26
110070xx99x20x 膀胱腫瘍 化学療法あり 50 12.46 11.31 0.00% 70.10
110080xx01x0xx 前立腺の悪性腫瘍に対する前立腺悪性腫瘍手術等 43 16.14 12.92 0.00% 69.19
膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術あり
膀胱腫瘍に対する経尿道的手術は診断と治療の目的を有し、膀胱腫瘍の初期治療として泌尿器科では基本的な術式です。当科では完全切除と正確な深達度診断を目的とした新しい経尿道的切除法(経尿道的剥離術、Trans-Urethral Dissection; TUD)も適応のある方に提示しています。

上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術等あり
上部尿路結石に対する経尿道的尿路結石除去等の治療を行っています。合併症などにより他院での治療が難しい患者さんに対しても麻酔科をはじめとした各診療科と連携をとり安全な治療を提供しています。

膀胱腫瘍 手術なし化学療法あり
当科では進行膀胱がんに対する集学的治療を積極的に行っています。転移性・再発性膀胱癌の患者さんにはゲムシタビン・シスプラチン療法(GC療法)だけでなく、ゲムシタビン・カルボプラチン療法、ゲムシタビン・パクリタキセル療法など様々な化学療法のレジメンを準備し、患者さんに適した治療を行える環境を整えています。

前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等あり
前立腺がんに対して標準的な手術療法として前立腺全摘除を行っています。適応となる方にはミニマム創内視鏡下手術を提案いたします。
ER科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷の経過観察入院 29 2.00 7.34 0.00% 12.38
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 15 3.00 3.58 6.67% 51.60
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 創部縫合等の創傷処理あり - - - - -
161060xx99x0xx 食物以外のアレルギーによるアナフィラキシー等 - - - - -
080270xxxx0xxx 食物アレルギーによるアナフィラキシー等 - - - - -
小児の頭部外傷は、転倒して頭を打ったというような軽微な外傷でも救急診療を引き受ける施設が少ないのが現状です。当院では小児の頭部外傷に対し、重症から軽症の患者まで引き受けています。脳振盪については退院後の生活指導も行っております。
薬物中毒については、集中治療はもちろん、精神科医師とも協力しサポートします。

※規定により10症例未満は(-)で表示しています。
高度救命救急センター
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160870xx01x00x 頸椎頸髄損傷 脊椎固定術等あり 46 23.33 31.71 71.74% 69.80
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術等あり 42 16.64 27.09 85.71% 68.12
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 34 10.56 7.34 29.41% 57.29
160870xx01x1xx 頸椎頸髄損傷 脊椎固定手術等あり(人工呼吸等あり) 33 48.94 47.74 75.76% 67.45
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 32 2.91 3.58 9.38% 41.59
高度救命救急センターに入院される患者さんの疾患は多岐にわたりますが、当院では重症外傷の患者さんが多く入院されています。なかでも多いのが頸椎・頸髄損傷の患者さんです。当院では受傷後、できるだけ早期に固定術を実施し、後遺障害の軽減に努めています。高エネルギーを受けた多発性重度損傷の患者さんが多く、四肢の骨折や頭部外傷等が多くなっています。
重症な患者さんの多くは急性期の診療が終了した段階で、近隣または患者さんの居住地域の連携医療機関に転院し、加療を継続していただいております。近年、病床機能分化が推進されており、各医療機関が持つ機能を果たしていくことが社会的に求められています。当センターも連携施設との関係を強化し、患者さんの病態にあった医療機関へ紹介・転院することを推進しています。上記にお示ししている通り、重篤な診断群分類は非常に高い転院率であり、近隣の連携施設と良好な関係が構築されていることが分かります。
またその他外傷以外の重篤な疾患も多くあり、重症感染症や多臓器不全、心肺停止蘇生後等があります。上記にあるように薬物分析装置や緊急透析に対応可能な設備を備えており、急性薬物・毒物中毒の患者さんの診療も多く実施されています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 94 35 28 78 38 - 1 7
大腸癌 46 66 80 101 56 - 1 7
乳癌 70 111 27 19 33 - 1 6,7
肺癌 124 66 168 274 93 35 1 6,7
肝癌 17 24 11 - 54 35 1 7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【対象・集計条件】
平成29年度の退院患者さんのDPCデータから、「初発」に分類された5大癌(胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌)の治療で入院した患者さんを抽出し、UICC病期分類から算出されたステージ毎に集計しました。規定により「再発」に分類される患者さんやステージ0の患者さんは除外されています。また10症例未満は規定により(−)で表示しています。

【解説】
がんのステージとは、がんがどれくらい進行しているのかという進行度合を意味しています。最も早期のステージ0からI→Ⅱ→Ⅲ→Ⅳとあり、ステージⅣ期が最も進行している状態となります。
ステージI期 腫瘍が筋肉の層まででとどまっており、リンパ節に転移はしていない
ステージⅡ期 リンパ節に転移はしていないが、筋肉の層を超えて浸潤(広がること)している。または、腫瘍は広がっていないが、リンパ節に僅かに転移している
ステージⅢ期 腫瘍が筋肉の層を超えて深く浸潤(または臓器の壁を超えて露出)しており、リンパ節転移もみられる
ステージⅣ期 がんが臓器の壁を超えて、まわりの主要な血管等に浸潤しているか、遠隔転移(離れた他の臓器へ転移)している

がんのステージ分類としては、UICC(国際対がん連合)が採用しているTNM分類が、国際的に利用されています。Tは腫瘍(Tumor)、Nは節(Node)、Mは転移(Metastases)のことで、この三つを元にして癌の進行度を表すのがTNM分類です。癌の大きさや深さ、リンパ節への転移の有無、他臓器への遠隔転移の有無などから、総合的にステージを判断します。今回の集計ではこの病期分類を使用しています。がんは見つかった時のステージがとても重要です。ステージ0期やⅠ期の早期がんと呼ばれるものであれば、5年生存率が90%を超える事も珍しくありません。しかし、ステージⅣ期の状態で見つかると、その後の生存期間は途端に短くなります。がんは早期発見・早期治療で生存率が高まると考えるのが一般的です。当院のがん診療は早期がんに対する内視鏡治療をはじめ、胸腔鏡や腹腔鏡を中心とした低侵襲外科手術療法、化学療法、放射線治療やターミナルケア(緩和ケア等)を組み合わせ、患者さんの各ステージに応じた組織横断的チーム医療を実施しています。

【胃がん】
胃がんの5年生存率は、Ⅰ期で約97%を超える高い数値となっています、しかし、Ⅱ期は約65%、Ⅲ期は47%、Ⅳ期では7%と非常に厳しい数値となっています。胃がんにおけるステージは、胃の粘膜上皮に発生した癌腫が漿膜といわれるリンパ節との境の方向までいかに深達しているか、リンパ節に乗ってどこまで転移しているか等を元にして分類されます。胃がんはステージによって治療方法が変わります。ステージⅠのような早期のがんであれば、内視鏡手術や腹腔鏡手術で切除ができるため正確な診断が必要不可欠となります。当院のデータを見るとステージⅠ期の患者さんが1番多い事がわかりますが、2番目にステージⅣ(遠隔転移)のいわゆる治療が難しい患者さんも多く見られます。このように早期のステージから遠隔転移のような治療が難しい患者に対して幅広い診療が行われていることが伺えます。

【大腸がん】
大腸がんは、赤肉や加工肉の摂取が多い人、アルコールを大量に摂取する人、肥満傾向の人がに発生することが多いと言われています。このように大腸がんは生活習慣の影響を大きく受けるがんとなっています。特徴としては、5大がんの中でも粘膜から深達するスピードが遅く治療として手術等の外科的治療が有効となっています。胃がんと同様に早期のものであれば内視鏡手術が実施され、深達が進んでいるがんに対しては腹腔鏡を使った外科的手術が行われます。当院のデータを見るとステージⅠ期、Ⅱ期の早期のものだけでなくⅢ期、Ⅳ期の患者も多く診察しているため、早期の外科的手術の治療から放射線療法・化学療法が多く実施されていることがわかります。

【乳がん】
乳がんは、他の部位のがんと比較しても5年生存率が95.2%と高く、予後が良いがんといえます。特徴としては、40歳代後半から50歳代前半の女性に最も多く、次に30歳代後半に発生しています。昨今メディアで注目され、マンモグラフィーや超音波検査等によるがん検診が注目されてきています。上記の検査を受け、早い段階でがんを発見し適切な治療を受ける事が大切です。乳がんの5年生存率はステージⅡ期で95%、Ⅲ期でも79%と非常に高い数値ですがⅣ期になると32%と厳しい数値となっています。当院のデータを見るとステージⅠ期・Ⅱ期の患者さんが多く標準的な治療として部分切除等による温存療法が実施されます。また、当院の特徴として、がん検診の結果を持参する患者さんや他院からの紹介の患者が多く来院されます。

【肺がん】
肺がんは日本のがんで亡くなる人の死因第1位となっています。最も発生を高める因子として喫煙があり、5年生存率は49.4%となっています。肺がんには「小細胞肺がん」(約15~20%)と「非小細胞肺がん」(約75~80%)の2種類があります。非小細胞がんは、胸部レントゲンで多く発見され男性の肺癌の40%、女性の肺がんの70%以上を占めています。治療としては外科的切除あるいは化学療法との併用により治療が行われます。小細胞肺がんに関しては、悪性度が高いうえに増殖が早いため脳・骨・肝臓・副腎等多くの部位へ遠隔転移しやすい傾向があります。しかし他の肺癌と異なり抗生剤が非常によく効くとされているため、原則の治療として化学療法が行われます。当院のデータを見てみるとステージⅢ期、Ⅳ期が多く治療の難しい患者さんが非常に多く来院していることがわかります。このことから当院では、外科的治療から化学療法、放射線療法、緩和ケア等のターミナルケアまで集学的治療が幅広く実施されていることがわかります。

【肝がん】
肝がんは、はじめから肝臓にできる「原発性肝がん」と他臓器からの転移で診断される「転移性肝がん」の2つに分けられます。「原発性肝がん」は肝細胞がんと肝内胆管がん等に分けられ、大半は肝細胞がんで占められます。5年生存率は53.6%となっています。男性では40歳代後半、女性では50歳代後半で多く見られます。肝がんになる特徴として、がんとなる前に慢性肝炎を起こします。ほとんどの肝炎の原因はB型やC型の肝炎ウイルス、アルコールによる炎症が起きた後、肝硬変となり癌化します。原発性肝がんの5年生存率は、Ⅰ期でも57%と低いためⅣ期では4%となり極めて予後の悪いがんと言えます。上記でも記載したように肝がんは転移性のものが原発性肝がんの約20倍も発生するため、転移性肝がんは今回の集計では「再発」に分類されています。当院のデータを見ても108例あり、原発の肝がんより多いことがわかります。

【参考】
・「全がん協部位別臨床病気別5年相対生存率(2007-2009年診断症例)」
 URL:http://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/seizonritsu/seizonritsu2009.html

・「病気がみえる(消化器・呼吸器)」
 編集:医療情報科学研究所   発行:メディックメディア
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 20 13.65 60.05
中等症 87 19.05 73.13
重症 27 25.44 80.74
超重症 17 16.94 71.24
不明 - - -
[集計条件]
平成29年度の退院患者さんのなかで、成人の市中肺炎で入院加算された患者さんを、重症度別に症例数、平均在院日数、平均年齢を算出しました。入院の契機となった傷病名及び衣料資源を最も投入した傷病名に対するICD10コードがJ13~J18$で始まるものに限定しています。重症度分類は、A-DROPスコアを用い、軽症~超重症の4段階で表記しました。


[解説]
肺炎は「がん」「心疾患」「脳血管障害」に続き日本人の死因第4位となっている疾患です。高齢化社会に伴い、近年増加傾向にあります。今回の対象となっている市中肺炎は、病院外で日常生活をしていた人に発症する肺胞の急性炎症です。健常者や軽度の基礎疾患を持つ患者さんに発症します。若者から高齢者まで幅広い年代でみられ、原因微生物も細菌・ウイルスなど多岐にわたります。軽症の場合は外来での治療が可能ですが、重症化すると入院加療を要し、急性呼吸不全や敗血症性ショックを起こした超重症例では、ICU等での集学的治療を要します。特に高齢の患者さんや基礎疾患を持った患者さんが重症化しやすい疾患です。
A-DROPシステムとは肺炎の重症度分類方法で、以下の5つの項目の頭文字を取ったものです。スコア0を軽症(外来治療)、1~2を中等度(外来または入院治療)、3を重症(入院治療)、4~5を超重症(ICU治療)として推奨される治療を判断できるようになっています。

[A-DROPシステム]
※規定により10症例未満は(-)で表示しています。
A(Age):男性70歳以上、女性75歳以上
D(Dehydration):BUN 21mg/dl以上または脱水あり
R(Respiration):SpO2  90%以下(PaO2 60torr以下)
O(Orientation):意識障害あり
P(Pressure):血圧(収縮期)90mmHg以下

当院のデータでは、中等度が87例と最も多くなっており、平均年齢は重症が最も高くなっています。平均在院日数については、高齢の患者さんや重症度が高い方ほど治療が長期化しやすくなっています。当院では重症に分類される方の在院日数が長くなっています。また平均年齢もこの区分が高いです。当院は高度急性期を担う医療機関であり、人工呼吸器を要する急性呼吸不全や敗血症性ショックを起こすような超重症に分類されている患者さんも17名いらっしゃいます。重症患者さんには必要に応じ救命救急センターやICUにて全身管理を行っております。その他、ハイフローセラピー等の呼吸療法を積極的に実施しています。また軽症に分類される患者さんであっても、基礎疾患(がんや糖尿病)をお持ちの患者さんや高齢患者さんは重症化してしまうことがあるため、入院加療を行う場合があります。このため外来治療が可能であるとされている[軽症]に分類される方にも一定数入院加療を実施しています。

※規定により10症例未満は(-)で表示しています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 312 23.41 68.85 37.65%
その他 12 19.00 62.17 5.00%
当院は、埼玉県急性期脳梗塞治療ネットワーク(SSN)の基幹病院であり、近隣地域の救急隊、他の医療機関と緊密に連携し、脳梗塞をはじめとする超急性期の脳血管障害症例の診療に積極的に取り組んでいます。また超急性期の脳梗塞のみならず、発症超早期の一過性脳虚血発作、頸動脈などの脳実質外および脳動脈の閉塞・狭窄による脳虚血症状を有する症例についても他施設、および脳神経外科と協同し幅広く診療しています。
脳梗塞についての平均在院日数は23.4日とやや長いが、一方でリハビリ継続のために転院する割合は37.7%と比較的低いことが示されています。当科入院の脳梗塞症例の特色は、心原性脳梗塞をはじめとする重症例が多いことです。適応症例について血栓溶解療法(t-PA静注療法)、血管内治療(カテーテルによる血栓回収療法)による血行再建療法を脳神経外科と協同し積極的に行っています。重症度が多いながらも、早期から適切な治療・リハビリ開始が行われた結果、良好な予後が得られていると考えられます。一過性脳虚血発作を含む脳梗塞について、ほとんどが3日以内に入院していることが示されていますが、実際には発症から数時間で来院し、速やかに治療を開始しています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
消化器・肝臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 218 1.04 1.22 0.00% 67.06
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 82 2.21 7.26 6.10% 74.83
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 81 2.83 15.81 1.23% 68.51
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術 78 2.09 6.81 0.00% 74.19
K654 内視鏡的消化管止血術 63 0.70 9.62 3.17% 73.46
心臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 60 2.55 3.33 1.67% 67.62
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術 急性心筋梗塞に対するもの 59 0.00 16.14 10.17% 67.75
K5972 ペースメーカー移植術 経静脈電極の場合 52 4.12 12.87 7.69% 73.60
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術 不安定狭心症に対するもの 33 0.52 11.00 3.03% 69.30
K597-2 ペースメーカー交換術 21 1.14 8.29 0.00% 81.33
当科では、狭心症・心筋梗塞などの冠動脈疾患を積極的に受け入れているため、その治療である冠動脈ステント留置術が多くなっており、その半数は緊急手術となっています。また、脈が遅いために気が遠くなる、気を失うなどの症状のある方にはペースメーカー治療を推奨しているため、その植え込み手術と電池切れの場合の交換術も多くなっています。なお、ペースメーカー移植術には、心不全治療としての両心室ペースメーカー移植術と心室頻脈・心室細動といった致死的な不整脈治療としての植込型除細動器移植術は含まれていません。
腎・高血圧内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 134 10.60 18.94 5.22% 67.79
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 19 4.47 19.42 10.53% 59.68
K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 16 3.88 5.75 0.00% 70.06
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 11 1.00 9.00 0.00% 38.64
K6072 血管結紮術 その他のもの - - - - -
腎不全が進行し老廃物や水分が貯留してしまう場合に、血液を浄化する治療法として透析療法があります。透析療法には「血液透析」と「腹膜透析」があり、どちらの治療も受ける場合には準備のための手術が必要となります。
血液透析は血液を多量に体外に導き、血液透析膜を介して血液を浄化します。このため多量の血液が流れるように静脈と動脈を繋げた血管(内シャント)を作成する必要があります。これが「内シャント設置術」と呼ばれる手術です。
腹膜透析は腹腔と呼ばれるお腹の空間に透析液を貯留することで血液を浄化させる治療です。腹腔内に透析液を貯留するためにテンコフカテーテルという管を挿入します。これが「テンコフカテーテル挿入術(連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術)」と呼ばれる手術です。
透析療法は患者さん自身のライフスタイルの一部となる治療であり、外来診療の経過の中で患者さんと相談しながら、透析が必要になった時期(透析導入期)に合わせて行う必要があります。いずれの治療法においても川越周辺の地域においては中心的施設であり最も多くの患者さんに対して診療にあたっています。ご不明な点があれば何なりとご相談ください。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術 その他のもの 69 6.49 30.59 17.39% 54.86
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 66 0.41 7.52 19.70% 76.00
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓切除 33 1.33 8.88 3.03% 72.27
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング 1箇所 29 2.03 42.55 37.93% 61.93
K1781 脳血管内手術 1箇所 22 1.00 24.68 31.82% 59.55
脳腫瘍は実に130種類以上もあり、治療方針もさまざまです。しかしもっとも大切なことは、まずきちんとした手術を行うこと、つまり最大の摘出を合併症なく達成すること、です。頭蓋内腫瘍に関しては全ての脳腫瘍に対応可能であることが当脳神経外科の特徴です。髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫などの良性脳腫瘍は、全摘出による完治を目指しますが、合併症がないことを最優先いたします。神経膠腫を代表とする悪性脳腫瘍では、モニタリングと術中ナビゲーションを利用した最大摘出を行い予後の改善に努めています。複雑な頭蓋底腫瘍摘出術や、内視鏡下経鼻腫瘍摘出術も数多く行っています。
慢性硬膜下血腫というのは、脳神経外科で最も多い病気の一つです。程度は千差万別ですが、頭部外傷後の1ヶ月程度に頭痛、嘔気、片麻痺などの症状で発見されます。慢性硬膜下血腫の多くは穿頭術と血腫腔洗浄で完治します。
脳動脈瘤の治療に関しても積極的に取り組んでいます。動脈瘤治療は、血管内手術と開頭手術の双方の指導医と専門医が複数在籍しており、最新かつ最適な治療を受けていただくことができます。動脈瘤がみつかっただけでも、その心理的負担はたいへん大きいものがあります。当科は独自のデータをお示しし、そのような不安の軽減にも努めています。
もう一つ当脳神経外科にて症例数の多い疾患は、辛い顔面の痛みを生じる三叉神経痛や顔が勝手にぴくぴく動いてしまう片側顔面痙攣に対する神経血管減圧術です。豊富な症例数に基づき、治癒率に関しても良好であると考えています。
以上当脳神経外科の得意分野TOP5を紹介しましたが、その他の脳神経外科疾患に対してもご遠慮なくご相談ください。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術 2吻合以上のもの 38 10.21 26.47 10.53% 66.58
K5551 弁置換術 1弁のもの 10 11.90 29.70 0.00% 70.20
K5541 弁形成術 1弁のもの - - - - -
K5552 弁置換術 2弁のもの - - - - -
K5601ニ 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈 その他のもの - - - - -
平均在院日数が長期である理由として、①再入院等にならず、スムーズな外来通院になるよう、かなり安定するまで入院を継続し、薬の調整も慎重に行っていることが考えられます。②社会的事情を含む患者さん側の要望を極力尊重し、退院を強要しておりません。③他院へのリハビリテーションの転院が難しいという埼玉県の事情があります。

※規定により10症例未満は(−)で表示しています。
肝胆膵・小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 111 3.16 4.58 1.80% 62.59
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 36 1.00 1.00 0.00% 4.28
K6335 ヘルニア手術 鼠径ヘルニア 33 0.97 1.03 0.00% 2.64
K7032 膵頭部腫瘍切除術 リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍切除術の場合又は十二指腸温存膵頭切除術の場合 29 3.83 27.00 0.00% 70.38
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 25 2.04 4.96 8.00% 66.76
肝胆膵外科では、肝癌や膵癌、胆道癌ならびに胆石症などの良性疾患も治療しています。胆石症などに対する胆のう摘出術は、主に腹腔鏡を用いた手術(K672-2)を行います。通常、手術後は3日間ほどで退院することができます。また、癌の治療においては、手術と抗がん剤治療を併用した治療を積極的に行っています。特に、進行した膵癌に対しては、抗がん剤を安全に注射するために左胸に埋め込み型のカテーテルを手術で埋め込み、手術前に抗がん剤治療を行った後に手術を行う方法を積極的に行っており、そのため、膵頭部腫瘍切除術(K7032)に並んで、抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置術(K6113)、内視鏡的胆道ステント留置術(K688)を数多く行っています。
小児外科では鼠径ヘルニア手術が多いという特徴があります。表の中に2種類の鼠経ヘルニア手術がある理由は、女児には整容性に優れている腹腔鏡手術(K634)を導入していますが、男児には安全性を重視して精管や精巣動静脈を直視下に確認できる従来法(K6335)を行っているからです。
血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5612 ステントグラフト内挿術 腹部大動脈 37 2.08 7.70 0.00% 78.38
K6147 血管移植術、バイパス移植術 その他の動脈 34 4.03 11.12 8.82% 69.74
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 33 1.21 1.03 0.00% 65.00
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 27 2.04 3.19 11.11% 72.70
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 26 1.58 2.73 7.69% 67.69
埼玉県においては,下肢の閉塞性動脈疾患に対する血行再建術を施行できる施設は当科以外にはほとんどありません。当科では下腿動脈を含む下肢動脈血行再建術や,カテーテル治療を多く施行しております。当科で治療する患者さんの特色は,糖尿病,透析など合併疾患が多く,また足に潰瘍,壊死などを持つ重症の方が多いことです。このような患者さんに対して,手術,カテーテル治療,薬物療法,フットケアなどを適宜組み合わせた総合的な治療を,形成外科,皮膚科,糖尿病科と連携したチームで行っております。
腹部大動脈瘤を中心とした動脈瘤に対しては,ひとつの治療法のみに固執することなく,開腹人工血管置換手術とステントグラフト内挿術(カテーテル治療)とを,患者さんの全身状態,瘤と血管の性状かたちに適した形で選択しており,手術成績も良好です。
下肢静脈瘤に対しては,静脈内ラジオ波焼灼術とストリッピング手術とを患者さんの条件により適宜選択して施行しております。
透析患者さんのブラッドアクセスに関しましては,腎臓内科,血液浄化部と連携し,血管条件の不良な方でのシャント造設や,シャントトラブルに対する外科的治療を行っています。

ブレストケア科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 71 2.01 4.24 0.00% 57.27
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 37 3.16 4.95 2.70% 61.14
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 35 2.34 7.60 0.00% 62.60
K4765 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの 29 2.14 9.59 0.00% 65.48
K4764 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。)) - - - - -
乳癌手術において乳房温存率は約70%です。近年ではまた腋窩郭清を行わず、センチネルリンパ節生検のみで終了しているものが圧倒的に多いです。さらに小さな非浸潤性乳管癌ではセンチネルリンパ節生検も省略し、QOL(生活の質)向上に配慮しています。乳房切除術例では乳房再建についても、形成外科と十分連携して行っています。
また、化学療法時には抗がん剤を注入するための埋込み型カテーテルを作成し、腕からの点滴確保に苦労しないよう配慮しています。このこともQOL向上に寄与しています。

※規定により10症例未満は(-)で表示しています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 78 2.10 10.42 0.00% 68.28
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 32 2.03 5.81 3.13% 69.63
K5131 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) 31 5.13 5.87 3.23% 39.03
K5143 肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 21 2.38 14.67 0.00% 68.43
K5132 胸腔鏡下肺切除術 その他のもの 17 1.88 6.41 0.00% 57.00
総合医療センター呼吸器外科では、肺癌、転移性肺腫瘍などの肺悪性腫瘍や自然気胸、胸部外傷、炎症性疾患、気管・気管支狭窄など呼吸器外科領域の疾患全般を対象に専門的な診療を行っています。
最も多く行っている肺悪性腫瘍の手術では、標準術式はもとより、難易度の高い手術とされている気管気管支再建術や血管形成術を駆使した機能温存手術、左心房や胸壁などを合併切除する拡大手術、胸腔鏡を用いた低侵襲手術など様々な手術を行っています。比較的早期の方々には胸腔鏡下に標準手術や縮小手術を行っていますが、やや進行した方には開胸下に標準手術や拡大手術を行っており、胸腔鏡下手術が全体の約80%を占めています。
当センターは埼玉県中西部の中核総合病院であるため、合併疾患を有する方々も含め、他施設では治療に難渋する方々が数多く来院なさいます。そのため、術前、術後の管理に日数を要することも多く、在院日数は全国平均よりやや長くなっていますが、術後合併症の発生率、治療成績ともに良好な結果を残しています。昨年度はリハビリ病院に転院なされた方を除きほぼ全員がご自宅へ退院なさっています。
また、肺悪性腫瘍の次に多い気胸においても、若い男性に多い自然気胸よりもご高齢で肺気腫や間質性肺炎を合併した難治性気胸の方々の治療を担当することが多く、在院日数は全国平均よりやや長くなっていますが、気胸が治癒しほぼ全員がご自宅へ退院なさっています。
消化管・一般外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 鼠径ヘルニア手術 129 1.09 3.05 0.78% 67.36
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 71 2.37 11.07 1.41% 70.83
K7193 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術 55 4.89 16.02 9.09% 72.47
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 48 0.38 4.98 0.00% 34.23
K655-22 腹腔鏡下胃切除術 悪性腫瘍手術 39 2.31 11.92 2.56% 67.28
食道がん、胃がん、大腸がんを中心とした消化管がんの外科的治療を中心とした集学的治療を積極的に行っています。地域や病院の特性上、高齢者や併存疾患のある患者さんの比率が高いのが特徴の一つです。がんなどの悪性腫瘍以外にも虫垂炎、腸閉塞、穿孔性腹膜炎等の腹部救急疾患の診療にも重点的に取り組んでおります。近年全国的に腹腔鏡手術が増加傾向にあり、当科においても積極的に実施しています。
NICU・新生児
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9131 新生児仮死蘇生術 仮死第1度のもの 93 0.00 63.63 1.08% 0.00
K9132 新生児仮死蘇生術 仮死第2度のもの 31 0.00 116.71 6.45% 0.00
K5622 動脈管開存症手術 動脈管開存閉鎖術(直視下) - - - - -
K386 気管切開術 - - - - -
K734 腸回転異常症手術 - - - - -
産科・MFICU
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 287 21.13 6.21 0.35% 34.07
K8981 帝王切開術 緊急帝王切開 189 18.29 6.66 0.00% 33.96
K9061 子宮頸管縫縮術 マクドナルド法 45 10.18 22.71 4.44% 33.27
K9062 子宮頸管縫縮術 シロッカー法又はラッシュ法 44 2.16 5.07 0.00% 34.84
K9063 子宮頸管縫縮術 縫縮解除術(チューブ抜去術) 13 7.31 2.15 0.00% 35.69
当院総合周産期母子医療センターの特徴は、ほとんどの妊婦さんが何らかの合併症(例えば、妊娠高血圧症候群、糖尿病、高血圧、全身性エリテマトーデス、慢性腎炎、子宮筋腫など)を有しており、胎児機能不全を起こす可能性が高く、しばしば帝王切開や鉗子分娩による急速遂娩が必要となります。また、このような理由で前回帝王切開になった妊婦さん、あるいは子宮筋腫核出術後など、瘢痕子宮のため今回の分娩も帝王切開が選択される症例が多いです。
 上述したような状況であるため、マクドナルド法やシロッカー法による頸管縫縮術を必要とする妊婦さん、取り扱っている妊婦さんのほとんどが多胎妊娠を含む多くの合併症を有しているため、緊急帝王切開あるいは選択的帝王切開を必要とする妊婦さんが非常に多いです。
 また、当院産婦人科は複数の腹腔鏡下手術技術認定医を有する施設で、県内で有数の腹腔鏡下手術症例を有する施設です。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 103 1.00 4.18 0.00% 40.86
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 87 1.16 5.14 0.00% 46.25
K877 子宮全摘術 67 2.39 8.45 0.00% 51.30
K872-2 腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術 65 0.97 4.15 0.00% 36.95
K867 子宮頸部(腟部)切除術 53 0.40 1.00 0.00% 42.68
卵巣のう腫や子宮内膜症など、良性の卵巣腫瘍に対してはほぼ全例を腹腔鏡下手術で行っています。子宮筋腫や子宮腺筋症などに対する子宮全摘手術に関しては、臍を超える大きなものに対しては開腹手術を行っていますが、それ以下のものに対しては腹腔鏡下手術で施行し、腹腔鏡下手術の方が多くなっています。子宮筋腫に対しても多くを腹腔鏡下手術で行っており、妊娠・出産を希望する患者さんに対しては筋腫のみを摘出して子宮を温存しています。悪性腫瘍に対する手術も県内屈指の症例数を施行していますが、子宮頸部の上皮内がんや高度異形成に対しては子宮頸部円錐切除術を施行し、子宮を温存しています。

神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 気管切開術 10 13.00 66.50 70.00% 70.00
K178-4 経皮的脳血栓回収術 - - - - -
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) - - - - -
K722 小腸結腸内視鏡的止血術 - - - - -
(1)気管切開術
当科で関連する手術は気管切開術が最も多く、気管切開術を行った場合の平均在院日数、および転院率が高いことが示されております。これは、当科では心原性脳塞栓症をはじめとする重症脳梗塞、ギラン・バレー症候群、脳炎、重症筋無力症クリーゼなど重症疾患を多く診療しており、これらの疾患では呼吸障害を来し、気管切開術を要する場合が多いためと考えられます。気管切開術は全身状態をみながら耳鼻咽喉科と連携を密にして慎重に行うようにしています。

※規定により10症例未満は(-)で表示しています。

整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 180 3.21 23.62 5.56% 68.63
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓切除 54 3.09 15.17 11.11% 69.56
K080-41 関節鏡下肩腱板断裂手術 簡単なもの 51 1.29 10.88 0.00% 67.04
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓形成 31 3.52 16.13 22.58% 68.32
K079-21 関節鏡下靱帯断裂形成手術 十字靱帯 31 1.52 8.35 0.00% 30.77
変形性股関節症(関節の軟骨がすり減り痛みが生じている病態)や大腿骨頭壊死(股関節の太もも側の骨が何らかの原因によって潰れている病態)、関節リウマチによる関節破壊に対して、人工股関節全置換術を行っています。人工膝関節全置換術も股関節と同様ですが、股関節よりも高齢な方が多く、多くの合併症をもっていらっしゃる患者さんが多いです。60代の患者さんの場合は手術後10日~14日で退院される患者さんがほとんどです。

肩腱板断裂は60台をピークとして発症する肩関節周囲の筋腱損傷です。肩の痛み、運動障害、夜間痛などを発症します。注射やリハビリテーションなどの保存療法で改善しない例に手術を施行します。当院では全例関節鏡による低侵襲手術で行い、術後の疼痛も少なく早期の回復が見込めます。術後1~2週で退院し、外来でのリハビリテーション継続で徐々に肩の機能を改善していきます。

頚部や腰部の脊柱管狭窄により手足のしびれや運動障害を起こすことがあり、ある程度重症な場合に手術を行います。手術では神経の圧迫を取り除いたり、脊椎を固定します。歩行が不自由な方は、リハビリ病院に転院して頂くことが多いので転院率が比較的高くなります。
形成・美容外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K628 リンパ管吻合術 44 1.89 7.61 0.00% 62.39
K333 鼻骨骨折整復固定術 27 1.15 1.22 0.00% 27.63
K2191 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法 26 1.00 2.00 0.00% 73.81
K476-4 ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術(乳房切除後) 24 1.92 9.04 0.00% 47.46
K4765 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの 17 1.94 13.12 0.00% 45.00
当院では外科手術、婦人科手術、泌尿器科手術、乳腺手術後のリンパ浮腫に対して、リンパ管縄静脈吻合術を週1~2回、専門の医師により施行しています。専門性が高い分野であるため周辺地域からの紹介も多いです。リンパ浮腫療法士との連携により総合的治療を行っており、術後は集中排液プログラムによりリハビリとも連携しながら集学的治療を行って 手術との相乗効果を狙っています。
高度救命救急センターを中心とする病院であるため外傷が多く、その中でも特に顔面外傷 (鼻骨骨折、頬骨骨折、眼窩骨折、上顎骨折、顔面多発骨折)は形成外科が担当しています。
乳癌術後の乳房再建においては患者さんの希望・状況に応じてシリコンインプラント、自家 組織再建とも偏りなく行っています。また、ブレストケア科との連携により乳癌と同時に組織拡 張器を挿入する一次再建にも力を入れています。
眼瞼下垂手術は、まぶた外来の専門医師が隔週で手術を行っており、整容面・機能面での改善が良好であるため他院からの紹介患者が多いです。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 76 1.00 6.76 0.00% 19.87
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 54 1.28 6.46 0.00% 59.67
K319 鼓室形成手術 40 1.00 5.33 0.00% 45.05
K4571 耳下腺腫瘍摘出術 耳下腺浅葉摘出術 36 1.28 5.86 0.00% 53.94
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 35 1.17 5.80 0.00% 54.17
口蓋扁桃摘出術(慢性扁桃炎に対する手術)、内視鏡下鼻副鼻腔手術3型および4型(慢性副鼻腔炎に対する手術)、鼓室形成手術(慢性中耳炎または真珠腫性中耳炎に対する手術)、耳下腺腫瘍摘出術はいずれも耳鼻咽喉科領域の代表的な手術ですが、いずれの手術も症例数が多く、平均術前日数および平均術後日数はどの手術も全国平均とほぼ同等です。また、ここにあげた手術に関しては手術後の転院はなく、治療は当科ですべて完結しています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 486 1.00 2.01 0.41% 74.07
K2172 眼瞼内反症手術 皮膚切開法 - - - - -
K2822 水晶体再建術 眼内レンズを挿入しない場合 - - - - -
K234 眼窩内腫瘍摘出術(表在性) - - - - -
K2191 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法 - - - - -
当科の水晶体再建術(白内障手術)は、混濁が進行した例やチン小帯が弱い例などの難症例、高齢者、全身合併症のある患者などが多いです。原則、3泊4日の入院で、安全な手術を心がけております。眼瞼下垂や眼瞼内反症手術は、基本的に日帰り手術(外来手術)ですが、抗凝固薬や抗血小板薬を内服しているような全身合併症のある高齢者には入院して手術を行っています。眼窩腫瘍などの眼部の腫瘍に関する手術が多いのは当科の特徴となっています。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術 単純切除 47 1.06 10.43 2.13% 69.64
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径6センチメートル以上12センチメートル未満 16 1.06 4.81 0.00% 53.50
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径3センチメートル以上6センチメートル未満 13 0.85 3.08 0.00% 47.92
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径2センチメートル以上4センチメートル未満 - - - - -
K753 毛巣洞手術 - - - - -
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 91 1.80 6.21 0.00% 71.30
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 84 1.61 4.21 0.00% 63.40
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 その他のもの 70 1.53 6.31 0.00% 73.46
K773 腎(尿管)悪性腫瘍手術 54 2.59 11.54 0.00% 69.67
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 38 1.00 7.11 5.26% 62.50
膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用)
膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他)
膀胱腫瘍に対する経尿道的手術は診断と治療の目的を有し、膀胱腫瘍の初期治療として泌尿器科では基本的な術式です。灌流液として非電解質溶液を用いる従来の術式に加え、生理食塩水を灌流液として用いる術式のいずれも採用しています。

経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの
上部尿路結石に対する標準的治療です。合併症などにより他院での治療が難しい患者さんに対しても麻酔科をはじめとした各診療科と連携をとり安全な治療を提供しています。大きな腎結石の方に対しては、経皮的結石破砕術と組み合わせて行う手術(Endoscopic Combined Intra Renal Surgery:ECIRS)をご提案することもあります。最近では安全面に配慮しつつ抗凝固薬・抗血小板薬の内服を継続したままでの治療も行っています。

腎(尿管)悪性腫瘍手術
腎がんに対する腎摘除・腎部分切除、腎盂尿管がんに対する腎尿管全摘を含みます。適応可能な症例についてはミニマム創内視鏡下手術を行っています。腎がんで部分切除が可能な患者さんに対しては、残存腎機能の温存のため腎部分切除をお勧めします。部分切除の際は腎血管無阻血法・阻血法を使い分け、安全性と術後の腎機能に配慮しています。一方で局所進行症例では消化管・一般外科、肝胆膵外科、麻酔科など他の診療科の協力のもと拡大手術も積極的に行っています。

経尿道的尿管ステント留置術
尿管結石や悪性腫瘍などによる尿管の通過障害に対する治療として行います。経尿道的尿路結石除去術の術前処置(内視鏡の通過を容易にする目的)として行う場合もあります。
高度救命救急センター
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方又は後側方固定) 72 1.51 48.93 73.61% 59.32
K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 63 1.60 20.89 44.44% 49.94
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 62 0.92 30.34 72.58% 61.00
K1426v 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓形成 45 1.11 24.29 71.11% 71.42
K125 骨盤骨折観血的手術(腸骨翼及び寛骨臼骨折観血的手術を除く) 16 3.31 33.75 87.50% 59.88
高度救命救急センターでは多くの重症外傷の患者さんが入院されています。その多くは高エネルギー外傷、多発性重度損傷であり、複数回に渡り、全身麻酔下の大きな手術を要するケースも少なくありません。
上記データでは平均術前日数はほぼ2日以内であり、主要手術が早期に実施されていることが示されています。これから当センターが短期間の間に大きな手術を実施するための充実した診療体制が取られていることが分かります。
術式は骨折に対する固定術が多く見られます。特に脊椎固定術は全国的に見ても症例数が多く、特に頸椎・頸髄損傷に対する緊急内固定術の実施件数が多くなっています。また四肢の骨折では特に重篤な開放骨折と呼ばれる折れた骨が皮膚から飛び出している状態の患者さんも非常に多く、当院はこれらに対する創外固定器を用いた緊急の固定手術やプレートやスクリュー、髄内釘と呼ばれる骨髄の中に固定用の金属を挿入する方法など、非常に多岐にわたる外科的治療を実施しています。
重症な患者さんは当院での治療を終えられた段階で、回復期病棟やリハビリテーション等を中心とした医療機関へ転院し治療を継続します。転院率はいずれも高い数値であり、近隣の医療機関と充実した連携体制が構築されていることが伺えます。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 26 0.14%
異なる 11 0.06%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 168 0.9%
異なる - -
【集計について】
平成28年度における当院の退院患者さんの総数に占める症例数の割合を請求率として集計しています。医療資源を最も投入した傷病名が播種性血管内凝固症候群(DPC6桁130100)、敗血症(DPC6桁180010)、その他の真菌感染症(DPC6桁180035)、手術・処置等の合併症(DPC6桁180040)について、入院の契機となった傷病名(DPC6桁レベル)の同一性の有無を区別して症例数を集計しました。

【指標の定義と意味】
DPC制度における診療報酬は「医療資源を最も投⼊した傷病名」で決定されます。この「医療資源を最も投入した傷病名」は原則として原疾患を選択することとなっています。
播種性⾎管内凝固症候群(DIC)や敗⾎症等、これらのDPCコードの多くは、重篤な合併症であり、多くの医療資源を投じるため、高い診療報酬が設定されています。このためアップコーディング(より高い診療報酬を得るために意図的に傷病名コーディングの操作を行うこと) が多く発⽣する診断群分類とされています。また「⼊院契機となった傷病名」と「医療資源を最も投⼊した傷病名」が異なっている場合は原疾患ではなく⼊院後に発症した合併症での請求である可能性が⾼いと判断されます。このことから、これらのDPCコードの請求率は実際の診療内容が正確に診療報酬に反映され、適切な診療報酬請求がなされているか否かを判断する指標のひとつとなっています。しかしながら、播種性⾎管内凝固症候群や敗⾎症は致死率の高い超重症合併症であり、⾼度急性期医療を担う医療機関では⼀定程度発⽣します。これらのDPCコードが全くないとすれば重症な症例を扱っている医療機関としては不⾃然ですし、多すぎることも問題となります。

【当院の請求率】※10症例以下は規定により(−)で表示しています。
10症例以上発生しているものは、180010 敗血症 37件(うち入院契機病名と異なるものが11件)、180040 手術・処置の合併症176件(うち入院契機病名と異なるものが8件)でした。入院契機と同一であるということは入院時既にその疾患に罹患していたことを意味します。当院は高度急性期を担う医療機関であり、入院時すでに重篤な合併症を発症した状態で入院する患者さんがいらっしゃいます。これは地域の医療機関より救急搬送されるケースが典型的です。
当院の請求率で下記の参考数値(全国平均)を上回っているものは180040 手術・処置の合併症 (入院契機病名と同一のもの)168件(0.9%)でした。この内訳は以下の通りです。
T80$ 輸液,輸血及び治療用注射に続発する合併症 4件
T81$ 処置の合併症,他に分類されないもの 64件
T82$ 心臓及び血管のプロステーシス,挿入物及び移植片の合併症 73件
T84$ 体内整形外科的プロステーシス,挿入物及び移植片の合併症 8件
T85$ その他の体内プロステーシス,挿入物及び移植片の合併症 21件
T87$ 再接着及び切断に特有の合併症 2件
T88$ 外科的及び内科的ケアのその他の合併症,他に分類されないもの 4件

最も多く発生しているT82$は透析シャントの閉塞に対する拡張術実施の患者さんが多くを占めています。これは透析シャントを設置している患者さんに一定程度発生する代表的な合併症です。その他、ペースメーカー電池消耗による交換もこの診断群となります。

【参考数値】
平成30年3月に厚生労働省が発表した平成28年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000196043.html)によりますと全国のDPC対象病院のDPC発生総数は9,580,629件でした。そのなかでこの指標の対象となっている各DPCの発生件数と全DPCのなかで占める割合は以下の通りです。
130100 播種性血管内凝固症候群 24,583件(0.33%)
180010 敗血症 54,894件(0.16%)
180035 その他真菌症 3,917件(0.02%)
180040 手術・処置の合併症 70,416件(0.24%)
更新履歴
2018.9.27
平成29年度病院指標を公開しました。