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輸血部

2021年11月15日更新

ご挨拶

高齢化の進むわが国において輸血医療はますますその必要性を増していますが、その一方で献血者数の減少には歯止めがかからず、血液製剤の十分な確保は難しくなっています。輸血医療においてもっとも大切な「患者さん本位の輸血治療(patient blood management)」を実践するため、また限りある血液資源を有効に活用するため、輸血部スタッフによる輸血監視と臨床支援は欠かせない活動のひとつと考えています。さらに、止血目的の輸血治療の重要性が叫ばれるなか、輸血専門集団による診療科のサポートは重要な責務と考えています。

当院は地域に根ざす大学病院として、重症かつ緊急度の高い患者さんを数多く診療しており、輸血に使用される血液製剤量は年間5億円を超えて膨大です。輸血医療の必要性・有用性は言うまでもありませんが、より大切なのは安全性であり、輸血にかかわるスタッフの責任は重大であると認識しています。輸血部スタッフ一同、ひとつひとつの業務を迅速かつ着実に行うことが、患者さんの幸福につながるものと信じて日々活動しています。

当科の診療について

輸血部は診療科と協力し、血液製剤の安全で適正な使用を推進することを目標として日々の業務を行っています。外来、病棟、手術室などでの輸血における血液製剤の選択と払出し業務に加え、輸血の適応や投与量、止血用分画製剤の投与についてのコンサルテーションも受けています。血液製剤の管理・払出し・投与の際にはバーコードによるコンピューター認証システムを採用しており、人為的ミスによる輸血事故の発生リスクを最小限まで低めています。また末梢血幹細胞移植等の先進的な治療において、造血幹細胞の採取、保管など重要な役割を果たしています。さらに、産科、整形外科、泌尿器科を中心に、待機的手術患者さんの自己血の採取・保管も一手に引き受けています。

一方、主な検査業務は、血液型検査、不規則抗体検査、交差適合試験、HLA検査、CD34陽性細胞測定です。赤血球に対する不規則抗体が検出された患者さんには「不規則抗体カード」をお渡しし、他の医療機関を受診された際にも保有抗体情報が共有されるよう努めています。また輸血後感染症検査を推進する目的で、輸血を受けられた患者さんに「輸血後感染症検査カード」を作成してお渡しし、その実施率の向上に努めています。

なお、輸血検査および血液製剤・血漿分画製剤の受注、払出し業務は、中央検査部の協力により24時間体制で行っています。

診療スタッフ

氏名 資格 職位 専門分野 認定資格
山本 晃士
(やまもと こうじ)
輸血部スタッフ001
教授 教育主任
診療部長
血液凝固線溶学
輸血療法
日本血液学会専門医
日本輸血・細胞治療学会認定医
日本血栓止血学会認定医
久保田 寧
(くぼた やすし)
輸血部スタッフ002
教授 研究主任 造血幹細胞移植
輸血療法
日本血液学会専門医
日本輸血・細胞治療学会認定医
日本造血・免疫細胞療法学会認定医

外来担当医表

輸血部
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医療機関の方へ

当院輸血部は県下でも1、2を争う年間輸血量をまかなっており、それにともなう輸血検査および血液製剤・分画製剤払出しの業務量は膨大です。輸血治療の適正化が強く叫ばれる昨今の情勢に鑑み、赤血球製剤だけでなく新鮮凍結血漿や血小板製剤についても受注時に輸血の適切性をチェックし、必要に応じて診療科と協議しています。「適正輸血」=「実効性のある最小限の輸血」との考え方に基づき、適正輸血を推進するためには輸血部スタッフによる輸血オーダーチェックが必須のプロセスと考えて活動しています。また、新鮮凍結血漿については輸血部内で解凍操作を行うことで、診療科スタッフの業務負担軽減につなげているだけでなく、投与量自体の減少にも寄与しています。血漿分画製剤についても輸血部にて一括管理しており、アルブミン製剤を始めとして適正使用を推し進めています。これらの取り組みによって輸血管理料Iの継続的な取得はもちろんのこと、血液製剤廃棄量の大幅な減少(3年前の4分の1以下)を達成しており、貴重な血液資源の有効活用にも貢献しています。

さらに近年では、大量輸血を必要とする出血患者さんに対する輸血治療に介入し、血小板製剤や凝固因子製剤の投与タイミングの検討など、止血目的の輸血治療を先導しています。特に、多発外傷や産科出血患者さんでの大量出血の主因とされる高度な低フィブリノゲン血症に対しては、濃縮フィブリノゲン製剤の積極的な投与を推進し、当該患者さんの救命および予後改善に大きく貢献しています。

このように当院輸血部は、患者さんに有益で無駄のない、安全な輸血医療を提供することを最大の業務目標に掲げて活動しています。

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