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放射線治療

2023年12月20日更新

放射線治療

放射線治療には、放射線を体外から照射する外部照射治療と、体内から照射する小線源治療があります。これらは外科手術や薬物療法と並び、悪性腫瘍に対する三大治療法の一つとも言われています。近年、放射線治療機器は飛躍的に進歩しており、侵襲性が低く、副作用を最小限に抑えることが可能となってきました。
当院では、放射線治療を単独で行ったり、外科手術や化学療法を併用して治療を行っています。 また、依頼科医師(又は紹介元の医師)と緊密な連携を図り治療にあたっています。

治療室の紹介

当院では外部照射治療機器2台と密封小線源治療機器1台を用いて治療を行っています。

外部照射治療

直線加速器(リニアック)といって医療用放射線の中でも高いエネルギーの放射線(X線および電子線)を患部に照射します。放射線の出口には鉛ブロックで自由な形状を作ることができるマルチリーフコリメーター(MLC)という機構を装備し、腫瘍の形状に合わせた照射野を形成できます。

マルチリーフコリメータ(MLC)

治療室1 TrueBeamSTx

治療室2 TrueBeam

治療室2 TrueBeam

  治療室1 治療室2
機種 VARIAN社製TrueBeamSTx VARIAN社製TrueBeam
代表的な症例 →脳腫瘍、前立腺がん等 →肺がん、乳がん等

(1)定位放射線照射(ピンポイント照射)

「脳内病変」
転移性脳腫瘍や手術が適応でない動静脈奇形(AVM)などに対して3次元的に多方向から放射線を集中させ治療します。周囲の正常組織にはほとんど影響がなく手術と同等の治療効果が期待できます。高精度な治療のため、事前にMRIの撮像や頭部固定具を作成、CT撮像等を行い、綿密な計画を立てます。
治療期間は、1日から数日程度で、1回の治療時間は30分程度です。
「肺腫瘍」
脳内病変に対する定位放射線照射の技術を応用したものです。肺がんや転移性肺腫瘍などが適応となります。当院では呼吸抑制用の固定具を用いることによって、精度の高い治療を行っています。

(2)密封小線源治療

密封小線源治療は放射線源を腫瘍部位に直接装着又は刺入することにより放射線を患部に集中させることができ、正常組織への放射線の影響を少なくし、目的の病変に高線量を照射することができます。この小線源を用いた照射法には、腔内照射と組織内照射に大別されます。当院では、放射線源イリジウム192Irを使用して腔内照射(子宮頸がん)および組織内照射(前立腺がん)を行なっています。

Canon社製 AquilionLightning

Canon社製 AquilionLightning

Elekta社製 フレキシトロンHDR

Elekta社製 フレキシトロンHDR

RALS水平断画像

RALS水平断画像

RALS矢状断画像

RALS矢状断画像

(3)強度変調放射線治療

頭頸部や肺、前⽴腺等に対して、腫瘍の形状に合わせ、周囲に存在する正常臓器をさける⾼精度放射線治療を施⾏しています。

頭頚部 IMRT

頸部 IMRT

肺部 IMRT

胸部 IMRT

前立腺 IMRT

前立腺 IMRT

治療時間(治療のながれ)

  • 診察

院内もしくは院外から紹介を受け、放射線治療医が患者さんの診察にあたり、放射線治療の必要性について、さらに治療方針(身体のどこに、どのような方法で照射するか)などをわかりやすく説明します。初診時には紹介状や治療上必要な画像検査のフィルムなどをお持ちください。

  • 看護師によるオリエンテーション

医師の診察後、看護師によるオリエンテーションがあります。患者さんが不安なく安⼼して治療が受けられるよう、動画やリーフレットを使⽤して治療について、よりわかりやすく説明を⾏っています。

  • 予約

放射線治療医によって診察ならびに治療内容の説明が終了した後、具体的な治療計画日、治療開始日が決定されます。通常、診察後1週間以内に治療が開始されます。(ただし手術後や化学療法併用等の場合、照射開始時期が1週間以降になることもあります)

  • 放射線治療計画(シミュレーション)

実際に放射線をどのように照射するかを決定し、体(皮膚表面)にマークを付ける作業を行います。当院ではCTシミュレーターを使用して治療計画を行います。目的範囲をCTにて撮影し、体表⾯に、治療位置を合わせるために必要な線を専⽤マーカーにて描いていきます。ここまでの一連の作業に約20分かかります。

CTシミュレーター画像

治療計画CT 装置
GE 社製 OPTIMA CT580W

撮影したCT 画像を基に放射線治療医が照射⽅法を決定し、3次元治療計画装置(Eclipse、iPLAN 等)にて計算を⾏い治療装置へとデータが送られます

  • 治療

基本的に治療は治療計画を立てた翌々日から行います。
治療の専用ベッドに寝ていただき、治療計画で皮膚に描いた印を正確に合わせていきます。リニアックはコンピューター管理された個人の治療方法を記録、照合等行っていますので、日々の照射を同じように行えるよう出来ています。1回の治療時間は約5~10分です。

  • 再診

放射線治療後は治療経過を判定するため、また放射線治療による反応がないか確認するため定期的に診察させていただきます。

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